★21 優真さんとお母さん
よろしくお願いします。
キャンプの夜、お母さんは泣いていた。
優真の野郎、お母さんをフリやがったか!って思ったら、
逆にお母さんが断っていた。なんでお母さんが泣くの?
「私には優真と付き合う資格がない。」って何ソレ?
お母さんが滅茶苦茶ヘコんでいたので、そのときは我慢した。
だけど、お母さんが優真さんを避け続けるのを見て、爆発してしまった。
「いい加減にして!
お母さんは自分だけが良かったらいいの?
優真さんを裏切ったからダメって言うけど、
まだ、優真さんはお母さんのことが好きなんだよ!
優真さんはこれから、お母さんと幸せになりたいんだよ!
断るってことは優真さんをもっと不幸にするってなんで分からないの!」
「わ、私のせいで優真がもっと不幸になるの?」
お母さんは絶望し、机につっぷして泣き続けた・・・
・・・
木曜日の夕方、優真さんから電話があった。
「冬美が帰って来たら、連絡もらえないかな?
冬美と連絡がつかなくって。」
いつもよりかなり遅く帰って来たお母さんは、
優真さんに車で送ってもらって、幸せそうにとろとろに融けていた。
なになに?何があったの?
「一旦、会社に戻ってから寄るから。」
「うん、美味しいご飯作って待ってるね!」
お母さんが乙女になって、こちらも笑顔いっぱいの優真さんを送り出した。
「お母さん、どうかしたの?」
「うん!梶原にデタラメの発注をやらされたの!
それを優真が防いでくれたの!
で、逆恨みした梶原が私に襲いかかってきたところを、
優真が助けてくれたの!」
お母さんがテンション高く、目を輝かせて、
言葉が子どもっぽくなって、ホントに嬉しそうに教えてくれた!
後悔を引きずっていたお母さんを一発で、恋する乙女に変えていた!
さすが、優真さん!
「わかる!良かったね、お母さん!」
お母さんの両手をぎゅっとつかむとお母さんは満面の笑顔で肯いた。
「うん!」
ルンルンしながら、お母さんは料理を始めた。
2時間後、ようやく優真さんがドアを開けた。
「遅くなってゴメン!」
「おかえりなさい。遅くまでご苦労様!一緒に食べよう。」
お母さんはまるで新妻のような迎え方だった!可愛いよ~
「うん、美味しい!さすが、瑞希の師匠だね。美味しいわ!」
「うん、うん!」
お母さんも優真さんもホントに幸せそうだった。
食後にお母さんは優真さんと私にカフェオレを用意してくれた。
そして、いそいそと優真さんの隣に座って姿勢を正した。
この前は、優真さんは私の隣にいたのに、今日はお母さんの隣なんだね。
少し、寂しいな・・・
優真さんははち切れんばかりの笑顔で話し出した。
「瑞希。さっき冬美にもう一度、告白したら、うんって言ってくれた!」
お母さんは嬉し、恥ずかしそうに肯いた!
「全部、瑞希のお陰だ。ありがとう。」
満面の笑顔の2人は息ピッタリに頭を下げた。
「おめでとう!良かったね!」
ホントに良かったよ。うん。
だけど、ほんの少し、ほんの少しだけ胸が痛い・・・
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