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15/23

★15 優真さんとお母さん②

よろしくお願いします。


ブックマーク、高評価、ありがとうございます。


エレベーターを降りて歩き出すと、優真さんが階段を駆け下りてきた!

「瑞希!」


すっごく嬉しかった!だけど。

「お母さんと話したいんでしょ?ふ・た・り・で!」

冗談ぽく言ってみたけど、ツラい。


「お母さんとはこの前たっぷり話したよ。今日は瑞希とだ。」

このジゴロ!嬉しくって胸がいっぱいになってしまった。


近くの小さくてショボくて、誰もいない公園のベンチに並んで座った。


「ホント、びっくりしたよ。瑞希が冬美の娘だって。」

「恋人だったんでしょ?なんで別れたの?

守りたかった人ってお母さんだよね?」


「違う、違う。恋人じゃなかったよ。」

ホントに恋人じゃなかったんだ。でも・・・


「・・・水曜日ね、お母さん、すっごく嬉しそうだった。

あんなお母さん、初めて見たよ。

・・・ねえ、お母さんと仲良くしてくれる?」


「ああ、モチロンだよ。」

優しく優真さんは微笑んでくれたけど、私は顔を背けた。


「ありがと。・・・もう、私、来るの、辞めるね?」

「どうしたの、突然。」


感情があふれて、心配そうな優真さんに叩きつけた!

「お母さんのことが好きなんでしょ!」


一瞬、固まった優真さんは真剣な表情となって、

一言、一言大事そうに話した。


「・・・正直、俺は瑞希に恋は出来ない。

だけど、凄く、凄く、大事に思っている。

瑞希といる時間は凄く楽しくて、大切な時間だよ。

だから、瑞希が良ければだけど、これからも会って欲しいな。

誰かと一緒でもいいからさ。」


恋は出来ないと言われ涙がこぼれた。


でもすごく大事に思っているって言われて凄く嬉しかった。


優真さんは涙がこぼれ続ける私の頭を優しく撫でてくれた。

・・・

「10分ほど歩くと和菓子屋さんがあるんだ。なにが食べたい?」

「おはぎ!」


「いいね!そこのきなこは2種類あるんだ。

中身があんこ入と、モチ米だけのやつ。」


「ええ~、あんこ入ってないなんて邪道よ!」

ちっちっちっと指を振って、元気になったことをアピールすると、

優真さんは笑って逆張りしてきた。

「何を言ってる?甘さはきなこだけで充分だ!」

・・・

「ただいま!おはぎを6個も買って来たよ!」

「ありがとう。・・・優真、ありがとう。」

笑顔の私を見てお母さんはホッとしたようだった。


向かいで美味しそうにおはぎを食べていたお母さん。


食べ終わるとその表情が突然曇った。


「優真、ゴメン。ここで伝えさせて。」

お母さんが唇を震わせていた。

どうしたの?


「いいよ。」

隣にいる優真さんは優しく応えると、私の手を握りしめた。


「えっ、ちょっと。お母さんの前で口説くの止めてよ。」

冗談ぽく言ってみたけど、優真さんは私の目を見つめ、

ゆっくりと話した。


「俺はずっと瑞希の味方だよ。」

えっ、なんなの?


「あのね、瑞希、落ち着いて聞いてね。

・・・私は高校1年の時、レイプされたの。」


レイプ!お母さんが?

「嘘!嘘だよね?そんな冗談、酷いよ!」

私を見つめるお母さんの目は暗く沈んでいた。


「私は犯人を刑務所にたたきこんでやろうとしたの。

でも、周りは隙を見せた私が悪いとか、許してやれとか、

そもそも嘘じゃないかとか、色々言われたんだ。

弱っている私を励ましてくれたのが幼なじみの優真なんだ。

だけど、両親と一緒に私は、優真にも内緒で故郷を逃げ出したんだ。」


ホントなの?イヤ!イヤだ、もう止めて!そんな話、聞きたくない!


私を見つめているお母さんの目から涙がこぼれ続けていた。

お母さんの口が開いたけど、声を出さず閉じられた。

まだこれ以上、言いにくいことがあるの?


「妊娠がわかったから。大事な、大事な貴女を産むことに決めたから。」

「わ、わ、私はレイプで出来た子なの?」


「貴女は大事な私の娘よ。」

「嘘!嘘!嘘!」

私が絶望にまみれながら叫んだのに、お母さんはゆっくりと首を振った。


「いや~!」

泣き叫んで、暴れ回る私を優真さんが強く抱きしめた。


「なんで、なんでよ!」

「お前は冬美の大事な娘で、俺の大事な友達だよ。」

優真さんも泣いていた。背中を撫でながら、何度も何度も言ってくれた。


「ゴメンね、瑞希!」

お母さんは私を後ろから抱きしめ、ずっと謝りながら号泣していた。


読んでくれてありがとうございました。

面白ければ評価をお願いします。

また明日更新します。


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