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★14 優真さんとお母さん!

よろしくお願いします。


水曜日夕方、お母さんがなにやら焦りながら帰って来た。


「悪いけど、今から会社の人と晩ご飯食べに行くの。

ご飯は自分で用意してね。」


「えっ!もしかしてあの大嫌いな梶原と?」

「まさか。取引先の営業の人。お、中学の同級生だったんだ。」

「へ~、凄い偶然だね。」


お母さんはいそいそと化粧を直し始めた。いつもより念入りだ!


お母さんには男友達はもちろん、ママ友もいなくて、

遊びに行くのもほとんどないから、こんなのすっごく珍しいよ。


服を選び始めると、あれでもない、これでもないと悩んでいる。

中学生の初デートか!

こんなお母さん初めてだよ!


「うぷぷ。元カレ?それとも一目惚れしちゃった?」

「そ、そ、そんなんじゃない!9時までに帰って来るからね。」


お母さんは頬を染めながら、いそいそと出て行った。


まさか、ホントに一目惚れ?

・・・

9時に帰って来たお母さんは酔ってるみたいだった。

飲んでないけど。


「どうだった?」

教えてくれるまで逃さないんだから!


「あ、会っていたのは守屋優真さんよ。」

「え~!」


「優真はお、中学の同級生でね。

次の日曜は、優真の家に私も行くから。」

お母さんは私の目を見て、きっぱりと言った。


お母さんと優真さんはともに親が離婚して母親の姓になってたんだ。


だから、今日まで気づかなかったんだけど、これって運命だよね?

優真さんとお母さんの!・・・もしかして私の・・・

・・・

日曜日の朝、優真さんが車で迎えに来た。


優真さんとお母さんは何やら目線が通じあっていた。

ふ~ん。良いカンジじゃない。


優真さんの家に着くと、お母さんは厳しい目で家中を物色し始めた。


私と優真さんが、その、イヤらしい関係かどうか調べてるのだ。

2人ともきっぱりと違うって言ったんだけどね・・・


私が1度しか入ったことのない寝室まで遠慮なく入っている。

こ、これが、幼なじみパワーなの?


優真さんは苦笑いしながら見ていた。


寝室の点検が終わるとリビングに帰ってきたお母さんは

優真さんに手のひらを出した。


「優真、スマホ。」

「えっ?」


「ラインと写真、見せて。」

「ええっ、マジ?」


「早く!」

「・・・はい。」

・・・優真さん。優しいって言うか、甘いって言うか、ビビりって言うか・・・


私が鼻歌を歌いながら昼ご飯の準備を始めると、

お母さんがようやくキッチンに来た。


お母さんの柳眉がきっと上がった!怒ってる?

「ねえ、なんで食器が全てペアなの?」


「も、元々、外食ばかりだったから食器なんてほんの少ししか無くって。

だから、100円ショップで買いそろえたんだよ。」

優真さんが慌てて答えた。

うぷぷ。尻にしかれてんだね!


「仲、ホントにいいのね!」

お母さん、口調が怖いよ!優真さん、ビビって固まってるよ!


「昼からお母さんの分も買いに行こっか?

他の色もあったハズだよ?」

私は振り向いて提案すると、優真さんはホッとしていた。


「・・・別にいらないけど。でも、昼からヒマなら行ってもいいよ。」

「ツンデレ。」


小さく突っ込んだけど、ちゃんと聞こえたみたい。

「瑞希~!」

コツンと頭を叩かれた。

・・・

食器が4セットになってご機嫌のお母さんは鼻歌を歌いながら、

新しい食器と昼食で使った食器を洗っていた。


でも、ここに来てからお母さんはあんまり話していなかった。


水曜日、優真さんと再会してすっごく嬉しそうだったお母さんだけど、

次の日から何やら深刻そうに考えこんでいた。


「優真さんとはどんな関係だったの?」

「うん?そうね、ずっと仲はよかったけどね、

カレシとかじゃなかったよ。」


お母さんはそう答えたけど、2人を見ていたら絶対、ただの友達じゃない!


どういうことなんだろう?

やっぱり私が邪魔なんだね・・・

なんだか悲しくなってきた。


立ち上がって、無理矢理笑顔をつくった。

「1時間ほど、散歩に行ってくるよ。2人は仲良くしていてね。」

「えっ、ちょっと待って。」

お母さんの声を背に家を飛び出した。


読んでくれてありがとうございました。


面白ければ評価をお願いします。


また明日更新します。

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