★1 美少女を助けた!
よろしくお願いします。
今日は3話投稿します。
23話で完結予定。
22時、ようやく新幹線が新神戸駅に着いた。
終電までまだ時間があるので、
24時間営業の丼専門店で親子丼を食べようと歩き出した。
しかし、16時には新幹線に乗れるって言ってたのに、
結局、19時だったじゃねーか!
早朝からの出張だったのだが、見込みが甘いのか、段取りが悪いのか、
本社の連中に対して今さらながら悪態をついた。
歩いていると真っ暗な狭めの路地から声が聞こえて来た。
「・・・てください。」
「・・・ゃね~か!」
「そうそう、俺たちと楽しく遊ぼうぜ!」
・・・明日は木曜だっていうのに、元気だな。
どうやら若い女の子を、男が複数で強引に口説いているようだ。
「すいません、どうかしましたか?」
放っておくワケにはいかないので、まずは丁寧に声を掛けた。
「あん?」
「助けて!」
男たちが不機嫌に振り向き、女の子からは助けを求められた!
失敗だ!相手が悪すぎる!
若い男の一人は、小柄だが唇と鼻に何らかの強化アイテムであろうリングが装着されているし、もう一人は背が高く、がっちりとしていて、
この肌寒い夜にタンクトップで、太い腕には入れ墨がうねっていた。
最後の一人は、同い年くらいだろうか、恰幅があって、
頬に一直線の切り傷が不吉に存在を主張していた。
もちろん、三人ともカタギと間違うことは誰にも不可能だった。
だけど、助けを求めている女の子を無視して
逃げるのは絶対にダメだった。
そんなのダメに決まってる!
やるしかない!
何も言わず、タンクトップ入れ墨野郎が威圧感たっぷりに近づいて来て、
恐怖を煽るべく大きく拳を振り上げた。
俺も何も言わず、小さく、鋭く左ジャブをタンクトップ入れ墨野郎の
鼻っ柱に当てて、ヤツをのけぞらすと、
一歩踏み込んでヤツのこめかみに右ハイキックをぶちかました。
タンクトップ入れ墨野郎が左側へ吹っ飛ぶと、
その陰から鼻リング野郎が吠えながら、前蹴りを放ってきた。
俺は何とかそれを捌いて鋭く左ボディブローを合わせると、
ヤツはうずくまり、ゲーゲーと吐き続けた。
二人が瞬殺されたのに、頬切り傷野郎が気味悪く笑うと、つぶやいた。
「くひひ、コイツらに撫でられていたら、入院しなくてよかったのにな。
いや、入院ですんだら上出来だな・・・」
ニヤリと笑った頬切り傷野郎は果物ナイフを取り出し、
左右に振って威嚇してきた。
思わずビビッて後ろに飛び下がってしまった。
「くひひ!」
頬切り傷野郎が気味悪く、俺をあざ笑った。
くそっ!刃物なんか相手にしたことない!
ビビらずイメージどおり動けるか?
俺はファイティングポーズを取って、緊張をほぐすべく小刻みに体を揺らした。
頬切り傷野郎が右手に持った果物ナイフを鋭く突き出してきた!
「しっ!」
俺はその突き出された手に右フックを振り抜くと、
うまく拳にヒットし、ヤツの手から果物ナイフがこぼれ落ちた。
チャンス!
腐った笑顔がひきつった、頬切り傷野郎のアゴに俺の左ストレートが突き刺さるとヤツは操り人形の糸が切れたように崩れ落ちた。
「ふう・・・」
「ひいっ!」
俺がようやく一息つくと、鼻リング野郎はお腹を押さえながら逃げ出した。
「あっ!おい、歩けるか?走れるか?逃げるぞ!」
「あっ、はい!」
慌てて女の子に声を掛けた。
一瞬、女の子が17年前に、突然いなくなってしまった幼なじみの
青柳冬美に見えた。
固まってしまった俺に女の子が不審な目を向けた。
パーカーにジーンズというお気楽な格好の
女の子は高校生だろうか、かなり若い・・・
「ああ、すまん。行こうか。」
鼻リング野郎とは逆方向に歩き出すと女の子が弾んだ声で話しかけてきた。
「あ、あの、ありがとうございました!」
「うん、どういたしまして。」
「メチャクチャ強いんですね!それなのに、どうして逃げるんですか?」
「ならず者をいっぱい連れてくるかもしれないだろ?
アイツらが1対1で向かって来たから運良く勝てただけで、
2対1なら絶対に負ける、絶対だ!」
「そんなに自信たっぷりに言わなくても・・・」
女の子は苦笑いした。
呼んでくれてありがとうございました。
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