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珈琲を愛する人  作者: コーヒーヴァンパイア
18/18

coffee Vampire Ⅱ

街に溶け込み

人としての生を楽しむ


ひとつの街に長く留まる時には

周囲の人間に気づかれないように

少しづつの老いを装う


食事や飲酒では

馴染みの店はなるべく作りたくない

容姿を変化させて

プロフィールを細工しても

人の付き合いに長けた老練な店主などは

どうしても騙せない


気づかれて

気遣われて

訳ありと思われて

静観されれば

まだ救いはあるが

手配書に載る人間だとか

邪推されるのも辛い


稀にではあるが

私達の正体を聞いて

何事もなく

店の常連でいることを認めてくれる人もいる


私が、または私の仲間も含めてだが

ひとつの街に永く居続けられる場合

そんな店と出会っているのが

大きな理由となる


私の仲間のひとりには

老齢の店主に気に入られて

店を引き継いだ者もいる

年齢を重ねる振りをするために

違和感を感じさせない程度に

顔に皺を刻み

幾分かは小さくなったような

背格好を演じながら

街に溶け込む私達の居場所を保ってくれている


中には器用な奴もいて

男性から女性へと

性別を乗り換えるのも現れる

表面だけではなく

ヴァンパイアではあるが

人としての構造も組み替えて

実はその方法や仕組みを私は知らないのだが

永く生きる者どおしで

結婚生活を楽しんでいるらしい


そうなのだ

私達は吸血のヴァンパイアではなくて

珈琲の樹木からの生気という

限定された糧でのみ生きている


なので

きっと人類が地上から消えても

大自然の営みの中でなら

この先も生きていけると考えている


自称であり

自負であるけれど

人と敵対する種族でもなく

平和をも糧としているのだと

友人達と常々珈琲を囲み

談笑しているのだ



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