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珈琲を愛する人  作者: コーヒーヴァンパイア
15/18

夏の海岸

ゆめタウンの中にあるUCCのカフェからは、長崎の港がよく見える。

大きな窓からの景色は、店内の涼しさもあって、夏の暑さを忘れさせる。


珈琲が美味しい、いろいろな店に出かけるので、この店の珈琲はよくは覚えていない。

不味ければ、それなりに印象深く覚えるので、やはり流通に力のある企業の豆は、及第点としての味ではあったのだろう。


書店での手相鑑定の仕事の前後での喫茶なので、仲良しの鑑定師さんと一緒に珈琲を飲んだことや、その書店でのイベントの経緯などは、なんとなく覚えている。


次に長崎に来たときは、アーケード街の本屋さんで、その近くの喫茶店に入った。

イベントとしての本屋さんでの集客は、良くもなく悪くもなくで、長崎に住む知り合いの家族が来てくれたので、心持ち救われた。


お土産にいただいたお菓子は、シーボルトの奥さんの名前を商品名にしていたので、なんとなく彼の家族への愛情と、お土産を買ってきてくれた知り合いからの好意が重ねられて感じられる。

好きだと思っていた同級生に告白したら、その娘はなんとも思っていなかったパターンを想像しながら、自分の妄想と空想の深読みを信用しないようにと、心で繰り返している。


最近はイベントの仕事で、九州限定ではあるけれど、県外に出かけて、移動の途中の高速道路で、県境をまたぐ時、または書店さんのある街なかで日中を過ごす時、故郷とは違ったその街の息吹を感じたりしているが、長崎での滞在は、まるで水の如く、空気の如く、故郷の熊本から離れているという感覚を得られなかった。


英語に比べて、スペイン語も、自分の中に違和感を感じない。

これは、きっと、前世のどの時代かで、そこに住んでいたからなのだろうと考えている。


尊敬する高名なある宗教者は、街ですれ違うだけでも相当な(前世の)縁があると話しておられたそうだけど、ならば、ちょっとしたきっかけで知り合い、家族の手相を見たり、微力ながら将来への助言をさせてもらったり、さらには「オタクサ」と名づけられたお菓子をお土産にもらったりするならば、きっと前世のどこかで、たぶん海岸の近くの都市で、短くても共有できる時間を過ごしていたのではないかと、また空想のロマンに心を遊ばせている。

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