表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
珈琲を愛する人  作者: コーヒーヴァンパイア
13/18

勝ちと負け

負けたら、追うことになる。

勝てば、追われる。


追われる者は、とてつもなく身軽に、前に進み、逃げる。

追う者は、思いがかせとなり、心の重さが足の運びを鈍くして、一層追う事の負荷が増える。


だから、先に惚れてはいけない。

どんなに好きでも、感情に火を移してはいけない。

美しいその姿をたとえ真近に見たとしても、視界をシャで覆い、心に意味のない雑音ノイズを聞かせて、言葉だけは正しく嘘のない愛を。

せめて勝敗をEvenイーブンに持って行くために。


なお、君は可愛さに無邪気さを装い、ぼくへの攻めを続ける。

珈琲が好きだと言えば、一緒に美味しい店を探そうよと打ち解けてみせ、痩せている娘が好きなんだと嘘をつけば、あと少しで表から浮き上がるくらいのギリギリの演技で、寂しそうな顔をする。


残念だが、技の見切りに自信があるぼくには、それほど魅力的には感じられない。

しかし、何の為の健気さなのか、誰を思う故の努力なのか、その心に気がつげば、審判員レフリーはいなくても、ぼくの敗北が決まる。


きっと君は、総合格闘技でも上位ランクなのだろう。

打撃はオーケー。

決め技、無難で卒なく。

守備は、誘いの隙を見せても、なお自然さが、ぼくには見切れない。


ジャブとストレートとカウンターだけの基本で生きてきたぼくには、当分、勝機は訪れないに違いない。


この世界で生き残るにはひとつ。

君とチームを組んで、同じ向きに目標を定めること。

君とは闘わないこと。


善は急げなら、明日あした、プロポーズしよう。

なんなら、婚姻届も準備しようか?


果たして、いやそれとも、君は、別のステージに焦点を合わせ、さらに強敵の待つリングに立つのだろうか?


そうなれば、ぼくはぐうの音も出ないほどの敗北者になってしまう。




『うざっ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ