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過去に行ってもうれしくない!!!   作者: わんちゃん110番
2/2

ここは、どこ? 私は、何??

 外を確認し、ここが私たちがいた世界ではないらしい、と認識できるまで、かなりの時間、茫然自失状態のようだった。

私たちがここに来たのはお昼前、今は西陽が眩しい。。 というより、時間の経過はどうなっているのだろう。。


気が付くと、この屋敷の人らしい女性(ただし、最初の土下座女性とは違う)に手をひかれ、最初にいた部屋とは違う部屋でソファに座っていたのだ。


 その部屋は、この屋敷とは、いわゆるミスマッチ、近未来にこうなるであろう作りをしていた。

照明は天井一面が明るく、連れてきた人が

「ソファ」

と声をかけると、どこからともなくソファが表れた。


ぼーっとしている私たちを腰掛けさせ、

「温かい飲み物をお持ちいたします。」

と言って、自動ドアのようなドアから出て行き、しばらくすると、ワゴンを押して入ってきた。


そして、

「テーブル、ティーポット、ティーセット」

と言ってテーブルの上でお茶の用意をし始めた。

ワゴンには、紅茶が飲めるようにお湯と茶葉、お砂糖、ミルクが載っているようだ。


 「どうぞ」

と言われてそのまま紅茶に口をつける。猫舌なのにあまり熱く感じなかった。


 そして、先に母が覚醒した。


 「これはどういうことですか!! ここはどこですか!! あなた達は何者ですか!! 私たちに何をしたのですか!!」


声は静かだがかなりお怒りのようで、顔が能面のようだし、口調に圧を感じる。


「紅葉の話した通りです。 ここはあおい様達が訪れた屋敷の、え〜〜っと、『ぱられる世界』ということろだそうです。 わたくし達はこの屋敷にお仕えしているものです。 紅葉の言葉通り、あおい様をこちらにお呼びしたのです。」


と聞いて納得いくはずもなく、母がすかさず問い返す。


「何の権利があってそんなことをするんですか!! パラレルでも何でも構いませんが、私たちは納得していません!! 

はっきり言えば、『ふざけんな!! 責任者、出て来い!!』といったところです。

すぐ、今すぐ戻してください!! さあ、元の通りに!!」


怖い、能面が悪化している。


 私も怯んでいる場合ではない。抗議しようと口を開こうとした時に、

「失礼いたします。」

紅葉、と呼ばれる女性が入ってきた。 そして、またしても土下座。


 「あおい様、あおい様のお母上様、本当に本当に申し訳ございません。

先程も申し上げましたように、どうか、どうか彬様が元服されるまでの間で構いません。

あおい様が『葵の上』様となって入内してくださいますよう、伏してお願いいたします。


主上も事情を存じあげております。 平安時代の生活はあおい様には難しいと存じますので、御所にこのような部屋を用意させていただいております。


無理矢理なことは存じております。 ですが、彬様が元服されるまで、何卒何卒お願いいたします。」


 「は??  無理矢理、とわかっている時点で犯罪ですよね。 こういうの誘拐って言いますよね? 大丈夫ですか? 頭の中。 この家の人たちが結託して私たち親子を拐った、ということですよね!!」


 「そして、何なの!! あおいを人質のように差し出せって言ってますよね!! そちらの『葵の上』様とやらのかわりとして女御として入内!! あおいが望んだのならまだしも無理矢理なんてあり得ない!! 早く元に戻しなさい!! この誘拐犯!!」


 普段はおっとりしている母が激昂していた。 そりゃそうだよね、許せない。

でも、思い出した。

「そう言えば、用が済めば戻れる、って言ってましたよね? 私たちをすぐに戻してください。 女御なんて無理だし。」


 母が、今気付いた、という顔をした。 あまりの衝撃に話が吹っ飛んでいたようだ。 そう、戻れるって言ってた、紅葉とやらが。


戻れるのなら 戻してもらおう 今すぐに


何かの川柳のようだが、今の偽らざる気持ちだ。 母と二人で睨みつける。 

でも、敵も一歩も引かず、更にお茶出し担当も土下座の上に言葉を重ねる。

「お願いでございます。 彬様が元服なさるまでで良いのです。 お時間をくださいませ。 お願いでございます。」


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