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第91話 飛来する雷轟

「なんだ、やれば出来るじゃないか」


 俺は横目で背後の乱戦を確認し、思わず笑ってしまった。来ないなら来ないでいい。足が止まるにしても一瞬だろうと思っていた所であの健闘は、正直嬉しい誤算だったからだ。


「足止めは上々。活路は開けた。後は大将(こっち)を、叩くだけ――ッ!!」

「くそっ!! 逃がすか!!」


 そんな俺自身は、ロレルと大将、防衛に残った二人と相対している。予想だにしない展開に焦る目の前の四人は、全員攻撃で迫って来る。それこそが、俺の狙いだと知ることなく――。


「“ディバインスラッシュ”――!!」

「行かせるか、これ以上!」

「せええええぇぇい!!!!」


 剣、槍、手甲――魔力を付与された武器が一斉に振るわれた。しかし、直線的な軌道を描く一撃を避ける事など造作もない。


「ぐぅ――っ!?」


 攻撃が空を切った事に目を見開く四人だったが、すかさず追撃して来る。本丸を逃がし、俺を逃がさまいと大将以外の三人が中心となって包囲網を敷き、取り囲むような陣形を執って来た。


 だが、それでも尚、彼らの刃は空を切る。


「せっかくの集団リンチだ。もっと楽しそうにしたらどうだ?」

「くっ!? 騎士の戦いを侮辱するな!」


 戦力で言えば圧倒的に勝っている。

 このまま攻め続ければ倒せるはず――。


 ロレル達もそんな事は理解しているはずだ。しかし、四対一でという状況で有利に攻めているはずの連中の方が呼吸を乱し、追い詰められているかのようですらあった。


 戦いの鉄則は多くあるが、大きなものとして二つ。

 一つは自分のポテンシャルを全て発揮する事。もう一つは相手の行動を制限し、如何に全力を出させないかという事だ。


 そして、現状俺達が行っているのは後者。まあ、ヒートアップしているおっさん連中は気が付いていないんだろうが――。


「どうして魔法を放とうとすると、味方が射線軸に割り込んで来るんだ!? 俺たちはちゃんと陣形を組んでいるはずなのに――!?」


 何故、自分達の戦いが出来ないのかというロレル達の困惑、それはジェノさん達一群と同種のもの。違うのは、俺が一人で攪乱(かくらん)しているのかと、漢衆が取り囲んでいるかと事だけ。

 相手の動きを制限させるという本質には変わりない。


「どうした? 随分とやり辛そうだな」

「ちぃ!? このぉっ!!!!」


 如何に一群とは言え、所詮は今も人員の入れ替えが激しい混成の急造チーム。先手、先手で引っ掻き回していけば、付け入る隙はある。

 そう信じて開幕から突っ込んでみたが、どうやら正解だったようだ。


「いいぞ! そのまま抑えて挟み撃ちだ!」

「ちっ!」


 騎士の一人が叫びながら振り下ろして来た剣を背後に飛んで回避する。だが、魔力を纏った剣戟を躱した俺の背にロレルが回り込んで来た。

 左右も騎士に挟まれており、挟撃体勢が完全に整っている。正に四面楚歌。逃げ場はない。


 必要なのは、即座の状況判断。


「騎士殿たちもようやく動きが良くなってきたようだが、調子を取り戻されると困るんでな!」

「が――ッ!?!?」


 左にステップを踏み、俺を逃がすまいとしている騎士の腕を掴むとそのまま背後に向けて放り投げる。


「くそ――ッ!? またか!?」


 飛んで来た味方を受け止めた所為で、必殺の一撃を放とうとしていたロレルは動きを止める。


「所詮はヌルい訓練で身に着けただけの対モンスター、犯罪者相手の制圧陣形だ。抜け道を作るのは容易い。処刑者()の戦い方自体、教科書通りじゃないし、な!」


 奴の剣から四散していく魔力を背に大将を標的に大地を蹴り飛ばし、同時に正面の騎士目掛けて氷結の槍を撃ち放つ。


 目の前の騎士は俺の狙いに気が付いたのか、回避行動に入る。しかし、時すでに遅し。


「よ、避けられな――ッ!?」


 騎士の防御が間に合わず、“ブリザードランサー”が顔面に直撃――する事なく、奴の目の前で四散する。


「フルア・ライム脱落!」


 審判が声を上げた。

 有効判定さえもらえれば、攻撃を当てる必要はない。これで一人目。


「何度も何度も!! 正々堂々と戦え!!」

「一番最初にまともにやり合う気は無いって言ったはずなんだけど」


 そして、ロレル達は背後で熱い抱擁を交わしている。これで残るは、身を固くする大将のみ。


「進路クリアー。これで、終わりだ」


 大きな刀身に魔力を纏わせ、大将に向かって斬撃魔法を繰り出せば――。


「――ッ!?」


 守りに入った大将に刃を向けたが、全身の肌が(あわ)立つのを感じて反射的に飛び退いた。


 次の瞬間――飛来した雷轟と共に足元の大地が消し飛び、斬撃痕と土煙の中から金色の閃光が姿を見せる。


「あの包囲網を力任せに引き千切って来たのか……」


 彼女(・・)が来た方向を見れば、群がる三群を蹴散らしながら一群が盛り返し始めている光景が目に飛び込んできた。さっきまでの勢いなら、もう少し粘れると思っていたが、流石にそう上手くはいかないようだ。


「ねぇ、アーク君。私を無視して先に行っちゃうなんて酷いことするんだね。ちょっと楽しみにしてたのに……」

「物騒な人たちと一緒に走ってましたから、触れるのは怖いかなって……。敵にも味方にも、色々オマケがついてましたしね」

「ふぅん。じゃあ、今は問題ないね」

「この三人は?」

「大将さんと一緒に逃げてもらうかな?」


 何はともあれ、今はっきりしているのは、飢えた肉食獣のように目をギラつかせているお姉様をどうにかしなきゃ俺たちはゲームエンドだって事だけだ。

パーティーメンバー


アーク・グラディウス

職業:処刑者

武器:虚無裂ク断罪ノ刃(処刑鎌)

防具:黒ノ鎧


アリシア・ニルヴァーナ

職業:弓師

武器:アルテミス(大弓)

防具:ウェンドアーマー


エリル・アニマ

職業:魔術師

武器:セイントロッド(長杖)

防具:フェリシタルローブ


漢×37人


本作を読み、面白い、続きが気になるという方は……。

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