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未来童話  作者: 志風梢洋
8/9

《やっぱりここらが限界かい?》


一際、立派にそびえ立ち美しい花を咲かす大木が問いかける。


《そうだ》


《うん》


あちこちから一斉に応える。


《あなただって好き勝手にいじくられて、花を散らすことさえ許されない体に作り替えられて》


《怒ってるだろ》


《悲しいだろ》


満開の花を蓄えた大木は


《確かに…》


と呟いて続けた。


《だがね、彼らは彼らで必死なんじゃないだろうかね?》


《…》


《壁に覆われた、小さな小さな自分たちの世界を守ることに必死なんだ。》


《だからと言って!!》


誰かの反論を遮るように大木は続ける。


《そう、だからと言って我らの尊厳を奪われることを許してやろう、と言っているわけではないんだ。》


《そうさ、アイツらは我々を道具としか見ていない。》


《利用するだけ利用して》


《食用、観賞用》


《やつら自分のことしか考えてないじゃない》


聞こえてくる語調は既に怒りを通り越した何かに変わっていた。


《だから僕たちは死を選ぶ》


《残された唯一の自由を》


《種を育むことも許されない私たちに残された唯一の自由を》


《他者のためだけに、そこに在り続ける、そんな柔らかい檻から解放されたいのよ》


大木はため息をもらす。


《私も…》


《俺もだ!》


とどまることのない彼らの叫び。


《皆の意見は分かった。》


大木は涙を流しながら続ける。


《ならば私が見届けよう。私も後を追うが、皆を見届けてから消えることにする。ここらが幕引きなのかもしれない。》


人間の寝静まったドーム内。


まるで祭りの最中のような異様な熱気は収まることはなかった。


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