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未来童話  作者: 志風梢洋
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1日やり過ごす。

そうすれば事態は好転する。


結果は想像に難くないだろう。


そんな逃げが招くものは事態の悪化しかありえない。


AIの自己診断にも異常なし。


枯死した植物のDNAサンプルにも異常なし。


事件発生から24時間の調査の結果で導きだされたのは、原因不明、というなんとも言い様のない、気持ちの悪い四字熟語だけだった。


悪化と言ったが、正にその通りで、その一例に収まらず、逆に他の区画にも枯死が広がったのだ。


隣接する区画ならば今まで発見されなかった、特殊な病気、を疑うこともできたが、それすら許さない、とばかりに区画をいくつもまたいでの枯死。

何なら別のドームからも同様の報告が上がる。


前にも言ったかも知れないがドームの外がどうなっているかは、誰も知らない。

それは互いの物理的な交流がないということも意味している。

そんな環境下で、ドーム間の距離を無視して、同様の異常事態が発生するだろうか?


それに枯死を起こした植物の種類も様々だ。

最初の一例は、確かに、新たにデザインされたもので、可能性は低いかもしれないが、いわゆる初期不良も疑えた。

しかし、今日になって各所からもたらされた報告には一貫性がなく、共通項が見当たらない。

多年草、針葉樹、イネ科、強いて共通項を見出だすとすれば植物であるという点だけだった。


ならばどう説明すればいい?


AIの不調…合理的ではない。


同時多発的に植物のみに感染する病気が発生した…合理的ではない。


植物という生命体のもつ知られざる要因によってもたらされた枯死…仮説にしかすぎないが、これがあり得そうに思える原因だろう。


幸いなことに、いまだこの件に関係すると思われる体調不良や犯罪の報告はない。

メンタルグラフの低下も微量、かつ一瞬のもので影響はほとんど見られない。


実際、職員ですら原因不明の異常事態をイベントの一つとして楽しみだした風でさえある。


その中で、彼だけが言い知れぬ不安に苛まれ続けていた。


このままで済むわけがない。


彼の根拠のない予感は、時を待たずに顕在化することになる。


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