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邪竜

「チッ、見つかったか。」


俺は対峙している邪竜に見つかったことによって無意識でそんな言葉が出た。だか、邪竜はこんな苛立った奴にすべてに負けるわけがなかった。櫂が、落ち着く前に邪竜は突っ込んできた。俺はそれをギリギリで横にステップして避けた。すると、避けた先に尻尾が振られた。俺はそれを避けることが出来ず横腹に思いっきりくらう。そのまま木を何本も倒しながら飛んでいく。何本目の木か分からないが木に当たって止まった。


「落ち着いて、櫂。」

「陰月か。俺あいつに勝てるのかな?」

「櫂なら勝てるよ。」

「無理だ。あんな奴勝てない諦めて街に戻ろう。」


ー極度の諦めを感知しました。

諦めが解放されました。ー


また、あの声だ。だが、櫂は心の折れかけている。否、折れている櫂は全く気にしなかった。


「櫂!櫂!」

「なんだよ。」

「櫂には覚醒だってあるでしょ?」

「そんなの使ったって意味無いよ」


俺はとてつもなく卑屈になっていた。


「パァーン」


甲高い音を立てたが何が起こったのかわからない。すると、今度は左から何かが飛んできて、俺の頬を叩いた。俺がそれを理解するのに時間はかからなかった。そして、気づいた俺は陰月を見上げ泣いている彼女に驚いた。


ー心からの驚きを感知しました。

驚きが解放されました。ー


そんな音が聞こえたが俺は気にしていられなかった。何故なら目の前で陰月が泣いているんだから。


「わ、私、櫂のこと、好きだから。でも、今の、櫂は、きら、い。」


そこまで言い切ると陰月は涙を拭ってまた話し始めた。それも、怒るように。


「今の、今の卑屈な櫂なんて大っ嫌い。だから、だから前の、前の櫂に戻ってよ!もう、こんな櫂は嫌なの!」


俺はそれを聞いてとりあえず自分をぶん殴った。理由は明白こんなじぶんにむかついたから。陰月を泣かした自分が許せないからだ。そして、謝った。


「ごめん、ごめんな。」

「いいよ。だから、邪竜を倒そ。」

「おう。あんな奴倒してやる。」

「その意気であいつ倒そう。」

「我が主様は強いが心が弱いな。ハッハッハ」

「うるさいぞ、紅凰。」


邪竜を倒すことを誓い、からかわれた紅凰に言い返した。


「じゃあ、邪竜狩りますか。」

「うん」

「おう」


すると森の奥から黒い物体が突っ込んでくる。言わずとも邪竜である。それを横に余裕を持って避けた。


「覚醒」


だが、発動しなかった。


「なぜ発動しない?」


よく分からないが何はともあれステータスを見てみることにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 生瀬 櫂 年齢 18歳

種族 人神 職業 冒険者

レベル 90


HP 30000

MP 20000


攻撃 15000

防御 9000

俊敏 12000

魔攻 15000

魔防 8000

運 2000


装備 神剣デュースパーダ

神剣グラデュム


能力 二刀流 魔力制御 火魔法 炎魔法 水魔法 氷魔法 光魔法 闇魔法 空間魔法 無属性魔法(転移 サーチ)


固有能力 完全眼 武器一体 能力解放 神成(かみなり)


称号 神による異世界からの転生者 半神半人

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺は自分のステータスを見て驚いた。陰月に叩かれた時の次ぐらいに驚いた。


「なんだよ、人神ってほぼ人やめてるじゃん!?」


そんなことを言っているが今は邪竜に集中しなければならない。俺は邪竜倒すために本気で戦う。


「神成」


その魔法を口にすると前のように5属性のオーラが俺の身体の周りを覆っている。それを確認した俺は邪竜に向かってこういった。


「さあ、仕返しの時間だ!」


邪竜が言葉の意味が分かったのか分からないがすごく怒っているようだ。俺が2本の剣を抜けと頭に何かが流れんできた。


(本当の真名はあなたが付けて?)


俺はその言葉に驚きを隠せないが誰が話しかけてきたかはすぐに分かった。


「そうだな、それじゃあお前らは雷霧と月炎だ。ちなみに神剣デュースパーダが雷霧(らいきり)、神剣グラデュムが月炎(げつえん)


名前は雷霧の方は俺の神成を雷と呼んでそこからとり、月炎の方は陰月の月と俺の得意魔法の炎からとった。


(ありがとう。真名をくれて。これで私たちも主人についていくことが出来る。)


と、それだけ言い残し声は聞こえなくなった。そして、俺はまた、邪竜と対峙した。

邪竜は俺に向かってブレスを吐いたが俺が雷霧を振るとブレスが霧散した。その後俺は月炎を振り抜いた。すると、邪竜目掛けて白い炎が飛んでいき邪竜の体に傷をつけた。


「チッ、まだ流す魔力の量を調整できねーな。」


今度はさっきの倍魔力を流して月炎を振った。さっきより眩い白炎が邪竜目掛けて飛んでいく。が、邪竜も危険を察知したのであろう回避しようとした。が、邪竜は避けきれず、後ろ右足を白炎が奪った。そして俺はサラが使っていた魔法を使った。


氷の監獄(フリージングプリズン)


唱えた瞬間邪竜のいる場所に一瞬で氷柱が出来た。邪竜もその中におり完全に息を引き取った。俺はそれを確認すると神成を解除してその場に座り込んだ。すると陰月も、俺の横に座った。紅凰は俺の方に留まった。


「勝ったぞ陰月」

「うん!おめでとう!」

「邪竜の幼体だったとしても凄いぞ主殿」

「ちょっと待て、幼体ってどういう事だ?」

「幼体は幼体であるぞ。その邪竜は子供だぞ。成体になるとこれの非にならんぐらい強くなるぞ。」

「ま、まじかよ。」


俺は考えただけで恐怖を覚え、もっと強くならなくちゃいけないと思った。


ー心からの恐怖を感知しました。

恐怖が解放されました。ー


俺はまたこの声かと思い無視した。そして、立ち上がり街の方へと戻って行った。

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