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竜の国 ~未来のために~  作者: 夢野 幸
第十四章 終わりの戦い
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14-1


「ふっざけんな……! ふざけんな、ふざけんなよ!」


 ジューメは両手に炎を纏わせ、何度も、見えない壁を殴りつけていた。アンスは力なくそこに座り込んで向こう側を見つめ、ヴェントはそんなアンスを包み込むように胸元へ閉じ込める。

 何度殴ろうと、炎を突き付けようとその壁には毛ほどの傷もつかなかった。ジューメはただ肩を震わせ、その場にズルズルと腰を落とす。


「なんでだよ、コンダム!」

「ジューメ」


 ヴェントのどこか落ち着いている声に、ジューメは振り返った。ただ見ただけなのだろうがその目は鋭く、睨まれているように感じる。

 以前なら身がすくんでしまっただろうそれをまっすぐに見返し、ヴェントは視線を壁の向こうに移した。


「……なにがあっても見続けよう。今のボク達に出来ることはそれしかないよ、絶対に目を離さない、絶対に逸らさない」


 全く会話は聞こえないが、サンヴァーを前にして、二人は肩を揺らして笑っていた。それにヴェントも思わず微笑み、震えているアンスを抱きしめる手に力を込める。


「大丈夫だよ。二人は負けない、絶対に勝つさ!」




「お前の得物は前衛向きだろう。私は後方支援に回ろうか」


 ユーはうなずき、足を踏み込むと、クロウを振り上げてサンヴァーに斬りかかった。彼はクロウを浮かべる腕を下げたまま口角を上げている。

 コンダムの腕から伸びるツタが、自身の脇を走った。気づけばサンヴァーに斬りかかる直前、目と鼻の先で複雑に絡み合って壁と化す。

 一瞬遅れ、その壁がサンヴァーのクロウによって引き裂かれた。もしあのまま突進していたらどうなっていたかと、背に嫌な汗が伝う。


「目に映るものに囚われるな、それの腕はそれだけではないようだ」

「コンダム!」


 裂けた壁の向こうに、肩甲骨の辺りから腕を生やしているサンヴァーがいた。それは以前、サーと戦った時のことを思い起こさせ、身震いする。

 体を硬直させていると残ったツタに体を絡め取られ、ユーはコンダムの傍に戻されていた。


「コ、コンダムっ大丈夫!」

「この程度で根を上げているようじゃあ、とっくの昔に壊れてるよ」


 千切られたツタは見る間に伸びていき、元の長さに戻った。サンヴァーは口の端を上げたままこちらを見下し、ゆったりと腕を組む。


『こちらからは仕掛けないでやろう、私はここから動かん。好きに、存分に攻撃をしてくるがいい』

「その言葉、後悔するなよ!」


 思い切り体を反らし、残像が見えるほど素早く腕を突き出すと、ツタは鞭のように向かって行った。それはサンヴァーの両腕をね、そのあっけなさにコンダムが前髪の下で目を丸くする。

 刎ねられたはずの腕はコンダムがツタを戻す前に復元され、再びクロウを浮かべていた。涼しい顔で戻った腕を見つめ、ユーを手招きする。


『ほら。次はお前の番だよ、ウィユ』



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