11-2
だが。
いくらソーリスとブリストが、ドームの外にいる竜人たちが戦っていても、魔界の住人は彼らの数を勝っていた。隙間をこぼれ、住人が三人に迫っている。
(間に合え……!)
アンスは翼が悲鳴を上げようと無理やりに速度を上げ飛び、標準を合わせるのも惜しむようにして引き金に指を乗せた。それを引ききる前に、紫色の風が自身の脇をかすめる。
「サデルさん!」
「お、おじさん……!」
サデルは、三人の服をまとめて掴み、力任せにアンスへ向けて放り投げていた。三人の体がアンスにぶつかり、すでに力を込めていた指が引き金を引く。銃口が思い切りぶれたそれから放たれた弾は明後日の方向へ飛んで行き、その先に居た魔界の住人に偶然当たったようだ。あげられる耳障りな悲鳴も、今は気にもならない。
「あああ……!」
「早く、ドームのところに戻りな。あとはおっさん達に任せてさ」
大剣を振るう暇もなく、風や炎で身を守るほどの時間も与えられず。
サデルの左足は膝下を食いちぎられ、布きれが揺れていた。傷口を炎で焼くと同時に魔界の住人を火だるまにし、焼け口を布きれできつく縛る。
「なにも心配はいらねぇよ、ほら、早く行きな」
網目を抜けて向かってくる魔界の住人に冷たい目を向けながら、サデルの声は暖かかった。アンスも、コンも。ラポートも少年もその場に縫い付けられているのを見て、大剣を構えながら四人を守るよう、額に脂汗を浮かべて呼吸を整える。
「おっさん……サデル!」
再び彼らを襲おうとした魔界の住人を、巨大な炎の隕石が焼いていった。アンスは顔を越えに向け、体を震わせる。
「留守中に、やってくれんじゃねえか……!」
「アンス、コン! サデルとラポートと、その子をお願い!」
「魔界の奴らには、サッサと退場願おうか」
大剣を構え、顔面蒼白になっているジューメ、長剣を抜いて体に風を纏わせているヴェント。そして、マトゥエを肩に担いでいるユーがそこにいた。サデルはどこか不服そうに頬を膨らませ、眉を寄せる。
「おーい、怪我人扱いするなよー」
「なにバカなこと言ってるのさ、おじさん!」
片足を失ってもなお戦おうとしているサデルの服を引っ掴み、コンは問答無用でドームに向かって飛んだ。アンスもラポートと少年の手を取るとそれを追い、五人の背を見送ると、ジューメは魔界の住人へ殺意を向ける。
「てめぇら……覚悟、しろよ」
「ジューメ、落ち着いてね。ボク達もいるよ」
突進しかねないジューメの事をそっと制止し、肌を指すような怒りを抑えようともしない彼に並んだ。ユーは一人先に狩場へ行っており、振るわれるマトゥエを見ながらヴェントは微笑む。
「……さあ、行こうか!」
「言ってくれるじゃねえか、成長しやがって、このガキ。……行くぞ!」




