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竜の国 ~未来のために~  作者: 夢野 幸
第0章
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プロローグ 

「お、久しぶりじゃないか!」

「あ、英雄ユー! 最近見なかったじゃない!」

「あ、え、あ……その、お久しぶり、ですね」

 

 一つの集落に入るたび一斉に声を掛けられ、ユーは手紙が入っている、よく馴染んでいるバッグを握り締めて後ずさった。伸びてくる手から逃げるように手紙を配ってしまい、サッサと集落を後にする。


 それを四度繰り返し、バッグの中身を空っぽにしてから向かったのは、ヴェントとよく一緒に遊んだ崖だった。

「ユー! 今日はいつもより、遅かったね?」

「まぁね。まだ英雄扱いだもの、配達するのも一苦労だし、逃げて回るので必死だよ」

 立ち上がったヴェントと、そこに腰を降ろして本を読んでいるアンスの姿を目に写しながら。ユーは苦い表情で微笑むのだった。


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