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シンピテキなもの 1
僕はまだ知らない。
世界はたくさん、いろいろなものが溢れているが、しかし僕の知っているものはそれのほんのほんの一部である。それに関して話そうってわけではなく、しかし僕はこれから自分の知らないことについて果たして一体、どこまで話せるのだろうか。これは単なる希望であり、妄想であり、戯言で、知りたがりが知ったかぶりしてただ単にこれはそうあってほしいと述べているだけなのかもしれない。それでもいいやと思っている。それはそれでもいいと許される類のものであると僕は信じている。
これから話すのは、恋の話。
あったかくて、楽しくなる、と僕が信じているもの。
十七歳なのだ。信じてもいいと思うのだ。
だから話そうと思う。
まだまだそれは僕にとってはとてもとても神秘的なもので、未知なる世界への道が開けているような、そんな気がするのだから。