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シテキなもの  作者: 滑瓢
6/15

ラブテキなもの 5

 人が「○○さんて、オモロいね」とか言うとき。それは大体二通りに分かれていたりする。

 すげー極端に言っちまえば、まぁあれですね。

「○○さんて、オモロいね(意外)(この人とは、上手くやってけそう)」

「○○さんて、オモロいね(ヤバ)(ププww)」

 お分かりだろうか。

 前者は好印象を含め親しげな空気が漂っているが、それに比べて後者はどうだろう。明らかに見下した空気含め『コイツ私より下だな』とか心の中で思ってないにせよ脳内では勝手に相手判断がなされ判決が下された決定的発言である。

 昔から何かと少しズレたという印象を受ける私からしたらこのようなことを言われるのは日常茶飯事であったのがしかし、それはほとんど多くが前者からよる発言であった。私は自分で言うのも何だけれどかなりキリッとした顔立ちである。覚えているが、何回かハーフかどうか聞かれたことだってある。確かに日本人離れしたくっきりした顔立ちなのである。眉はキリリとそれなりにぶっといわ目はでっかいわ鼻高いわいちいち顔の部分部分が自己主張激しくて・・・鏡で見るたびその顔のインパクトったらない。美容院なんてさ、髪始めの方まとめてくれちゃったりするもんだから私自分の顔見れないもんね。シャンプーとかしてもらった後が、一番ひどい。軽くオールバック状態ですからね、もう隠しきれようないというか・・・眉毛が隠れてる分人並の日本人の顔保ってるようなもんなのに、キリリ眉毛出しちゃあ終わりですよ。自分の顔見てビビるって、結構悲しいもんあるからねくそがぁァァァアアア。

 まぁそんなわけもあってか私は蓋開けてみりゃあ後者より言われる面白いね発言言われるような連中と同類な癖して、無表情で本読んでるだけで『中村さんは真面目』印象を周囲に与えてきた人間だったのである。話す回数を重ねるごとにそんなメッキすぐにはがれるのだが、まぁそのメッキの一枚目がはがれはじめたところで言われてきたのが、この『中村さんて、オモロいね』(後者)というわけだ。ちなみにこの発言は後に『いやいや中村おかしいやろww』と変化を遂げる。変人呼ばわりして欲しい変人にとっちゃ、嬉しい限りのご褒美発言だ。

 そんなわけで、今回頂いたそのお言葉、どちらに分類されるものかと私は今現在進行中で検討しているというわけである。

 何故かその右手には握られたマイ携帯。

 服が散乱しているのを無理やりまとめて作ったふくらみの上に置かれた枕に頭を預け上半身を半ば起き上がらせた状態で、私はぼんやりと真っ白い天井を見つめていた。

 あの後何故か、佐々倉くんに「メアド交換せぇへん?」と誘われ、あれよあれよといつの間にか佐々倉くんのメアドをゲットしてしまった自分がいる。

 ・・・フラグ?

 いやいやいや、どうなんだろうか。ここで舞い上がってはいけない。聞けば今時の男子女子、気軽にブログなどで知り合い私の預かり知らぬところで繋がっていて、メアド交換済ましぃのメールなども頻繁にしているとのこと。学校で見ていなくとも、メールなどであの人たちは新たに独自のネットワークを作り出したりしているというのだから、油断も隙もない・・・くそ、リア充めが!!私らみたいなの放ってズンズン前進みやがって!!!という話である。

 ・・・佐々倉くんは、こんなこと日常茶飯事なのだろうか。

 以前私は、廊下で唐突に『なぁ、メアド教えて?』とサッカー部男子に迫った女子という衝撃的なものを目撃したことがあるのだが・・・さすがに佐々倉くんにそんな経験はないだろうとは思う。あの人はいつだって同じテニス部の男友達とつるんでいたし、女子と喋っていたとしてもその子たちは決してイケイケ女子というわけでなく絡みやすくてとっつきやすい運動部所属という女の子たちに限られていた。モテモテだなんて噂ももちろん聞かないし、女関係で男子らにからかわれていた場面も一度だって見たことはない・・・え、じゃあ何でよ。いやいやいや、分かんないからこんな悶々してんだけどね。分かっとるわコラ!!くそが、何だ私は。じゃああれだ、聞けば良かった?『え、何で?』ってか。『いや、別に聞こうって思っただけやねんけど・・・中村さんがえぇ(遠慮の意)って言うならいいよ・・・?』とか、ちょっと気まずくなったらどうしてくれる!他人に気遣われるとかホント苦手なんだよ!!強引に来てくれって感じなんだよこっちは!!!今まで結構いい感じに喋れてたのに急に流れ出すよそよそしい空気なんてこちとら厭ってほど経験して大っ嫌いなんじゃあァァァアアアアア!!「っなぁぁぁァァアアアア!!!!」!!

 意味分からん奇声を上げて、悶える。前髪をグシャグシャに、そして更には側頭部にまで手は伸びグシャグシャに掻き回す。こういう一人で興奮したときの形容しがたい高揚感のようなものが一気に襲い掛かり、そうして私は一時停止する。この・・・一気にせり上がった高揚感と、ゆだった後の静寂がたまらなく恍惚感だ。なんだろ・・・イッちゃった後みたいな?あ、ゴメンなさいね・・・。

 しばらく私はグシャグシャの髪のまま死体のようにうつ伏せになってそのままジッと動かなかった。

 呼吸だけがハァハァと聞こえてきた。

最近、イケイケサッカー部で彼女ありの脱童貞(ほぼ確定)男子にメルアドが書かれた紙きれをもらい、「メールして」と言われました。何が何やらはてなでした。とりあえずその夜メールしてみると、何と送れない。間違いがないか何度も紙切れと送信先を確かめたのですが、まぁ送れない。仕方なしにほぼクラス全員のメルアド持てんじゃねぇかという謎の人力を持つ男子にメールして、かくかくしかじかというわけで申し訳ないがそのその男子のメルアド教えてくださいなと頼むと、何とそのサッカー男子に連絡したらしく、、、

『できなかったらよいです とつたえてください やってさ(・0・)』

 ・・・と、返ってきた。

 何だったんだろうかアレは。

 今でも激しく謎である。

 私の心臓バクバクを返せ。

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