ラブテキなもの 4
終わりどころが見えなくなっておりますが・・・。
・・・一つだけ分かったことがある。
佐々倉くんは、いい人だ。
女子がエロ話など下品だなんてそんな引いたような反応をするでもなく、ただただほんの1、2秒びっくりしたように目を見開いて、次の瞬間にはその顔が少し恥ずかしそうな笑みへと変わる。・・・純情か!エロDVDを借りたのはそっちなのに、私が佐々倉くんにエロDVDを見せているような気分になっちゃってるのはどうしたことか!
その顔を見て、私の心の中の扉が佐々倉くんに向けて少し開かれた気がした。まぁ基本はちょろい女なのである。・・・ただ、皆こっちに近づこうとしないから、分からんだけでね?いや、ホント、別に無愛想ってのは怒ってるわけじゃないのよ?・・・いや、まぁ自分からそれを教えようとしないで分かれってのは虫の良過ぎる話ってのは分かっている。分かってはけれども、それを簡単に教えられるんなら苦労はしてない。青春を謳歌し、友達とカラオケ行き、彼氏の一人なんぞいるそんな女の子に・・・は私がなったらキモいけれどまぁそんな感じになれてたかもしれない可能性だって、あったということ。閑話休題(←使ってみたかっただけ。かの西尾先生の影響なのは言うまでもない)。しかし今や大半の高校生恐怖の私にとって、その笑顔は私の警戒度を少し解くばりの破壊力があった。
うーん・・・・・・嬉し過ぎる!まぁ?何というかー?余裕が私にも生まれたと言いましょうか、にゃはははは!!!こんなちょっとしたことで、調子に乗る私ってどないなんですか!!!!
自然、口は少し軽くなる。
「何借りたん?」
もう、このエロエロ大魔神がっ!しかし、私は女である。『花の女子高生』である。だから・・・エロエロ大魔『女』?・・・え、それってえろっ・・・!!何だよ、もう。興奮しちゃってんじゃないよ。妙に楽しい気分だよ。どうしよう、私変な感じだよ・・・。
「・・・あー・・・借りてない」
借りてなかった。まさかのそっちパターンだった。まぁそう言われてみればTSUTAYAでエロDVD借りるとはなかなか勇者度が高い試みである。今時エロ動画なんぞPSPでもパソコンのどっかのサイトとかからでも引っ張ってこれる時代だ。無料サイトなんて、ざらにどこにでもあるからね。まぁ何故私が知っているかとそれは・・・ゴニョゴニョ(以下略)。まぁそういうことだ。わざわざTSUTAYAで金払ってまでエロDVD借りんよねってことか。そりゃそうだ、何たって学生さんですもの。お金なんてあっても足りないお年頃ですよ。
「借りたこと、ないもん。あっこはいつも見るだけで・・・」
いつも!いつもって何すか!?
「あー・・・ていうかさ、中村さんそういうの話すんねんな。知らんかった」
「ん、何が?」
こういうときの私は、反射的にすっとぼける。こういうとき?どういうときよ??いや、知らんけどさ・・・。
「何かそういう話する人には見えんかった。ほら、いっつも本とか読んでるやん」
皆さん知らないようだけれど、というかこれは本を普段ほとんど読まないという人たちに見られる勘違いなのだが、読書好き=固いというイメージが何故だか共通的にあるようだ。今時の可愛い女の子がちいーっとエロいようなポーズしてたりあるいはそれを示唆させるようなバナナ咥えてたり白いドロドロのもん被ってたり頬赤らめて脱いでたり脱げたりポロリだとかとかそんなもん、ふっつーの文学の世界では『・・・フ、お子様ねッッ!!』みたいなノリである。絵もない分、あっちの世界の方がよっぽど生々しい。純文学でエロい場面出てくるってなったら、そりゃもう80%は濡れ場ですわな。しかもラノベのような高校大学生あたりの若くて甘酸っぱい感じの年代ではなく、そこに出てくる登場人物ってなったらまぁそこそこ経験済みの熟れた人たちですよ。濡れ場じゃなくても、まぁネットリ系ってことで・・・ベロちゅーやらフ○ラ○オとかがね、こう、卓越された文章で克明に・・・ははははは!!規制するわ!ごめんなさい!!!小学生の頃に知ってしまった世界ですよ!もうね、これは私の経験上のアドバイスだけれど、重松清さんと東野圭吾さんの著書を読む際には、くれぐれもお気をつけてください・・・。
「いやー知ってるよ、うん。知ってるわー。むしろそれしか知らないよ」
何だか変なテンションのまま変なことを口走ってしまったが、もう遅い。まぁ普段からあまり人と話さないせいで、私の声量は他人と会話が出来る程度というものをいまいち分かっていないから、たぶん大丈夫。すでにそれが大丈夫じゃない気がするが、しかし今の私の声は明らかに私が認知出来るほど小さいものだった。独り言ともつかぬ感じの台詞が功を奏したか・・・。言わなくともよいと自分で分かっていたからこそ、恥ずかしさが混じったか!うーん、ナイス・・・「いやいやいやww」・・・ん?え?何か、佐々倉くんが笑ってるんだが。心なし若干ヒいてる風にも見えるんだが。
「オモロいな、中村さん」
そうやってクツクツと笑っているが、心中どうなってらっしゃるのだろう。
・・・面白い?
・・・・・・それって、どっちの意味だ???
マジで鬱になった小説、重松清さんの『疾走』。これはマジで・・・うん。