不法投棄
中島が失踪してから3日が経つ。
その間の業務はシュウジ1人でやることになった。
さらには中島と連絡を取れるようにしろとの命令が出た。
無断欠勤するような人ではないと中島を知っているものならわかっていた。
朝、目が覚めた瞬間に電話が鳴りだした。
シュウジは多田部長と書かれたディスプレイに眠気をすっ飛ばしすぐさま出る。
「おはようございます。すいません、出るのが遅れて。」
「おはよう。構わないよ、こちらこそ朝早くにすまないな。起きたばかりかな?ならまだ知らんだろうから端的に言う。」
そこで一呼吸おく。
普段かかってくることのない上司の電話というだけで嫌な予感はいくらでも溢れ出てくる。
「中島さんが死体で発見された。」
「は?」
「それに伴ってなんだかしばらく職場には近づかないように。というよりも、家から出ない方が…」
多田部長の声がだんだんと遠くなる気がする。
中島が死んだと簡単に言われても脳みそは理解しようとしない。
「聞いてるかい?高砂くん。」
「あ?あ、いや…どういうことなんですか?」
「ショックなのはわかるがとりあえず今はしばらく家にいてくれ。詳しいことが分かり次第君にも連絡する。マスコミが君のことも嗅ぎつけてる可能性もあるから下手なことはせず落ち着くのを待っていてくれ。」
多田部長はその間の給料の話などを安心させるために続けるがシュウジの耳には入ってこない。
電話越しにも放心しているのがわかったのか多田部長はため息をつく。
「何が何だかわからんよな。俺もそうだよ。ニュースを見れば多分まだやってる。ゾンビを管理する政府の役人が自分の子供を不法投棄しようとしてその子供に食い殺されたって言われてるんだ。おそらく面白おかしく脚色が加えられているが大体は真実なんだろう。」
「俺…俺は…なんで…。」
話を聞いたシュウジは涙を流し言葉に詰まっていた。
「気持ちはわかるよ。あいつとは俺も長い付き合いだ。でもあいつも人の親だったんだよ。みんなが責めても俺らは味方でいてやろう。そのためにも下手なことは何も言わない、しないことだ。いいね。」
「はい…。」
シュウジを宥める多田部長の声は優しく、実際に彼も悲しんでいるように思えた。
「また、進展があり次第連絡する。」
「分かりました…。」
切られたスマホをぼーっと見つめ、現実を受け入れられないでいる。
テレビをつければ知りたい情報は入ってくるかもしれない。
しかし、現実を見るのが怖くその場から動けないでいた。
中島と最後に会ったのはおそらくシュウジだろう。
彼がもしゾンビになった子供を不法投棄していたのが事実だとしても再度その場所に向かわせ食い殺されてしまった原因を作ったのはシュウジだ。
自分のせいではないと思いつつ無意識のうちに自分を責める手は止まらない。
何も今日じゃなくてもと思う最低なシュウジの一部もいる。
ようやく桔梗と2回目のデートにこぎつけたのが今日だった。




