第十五話:終焉と再生の光
疲れ切っていたはずの体に、不思議なほど力がみなぎってくる。
かつては疎ましくさえ思っていた「仲間」という存在が、これほどまでに熱く、心強いものだとは。俺は雨に打たれながら、しみじみとそれを噛み締めていた。
「それでは……学芸会で披露した、あの連携技で行きましょうか」
イザベラが不敵に微笑み、魔導書を開く。
「よし、それでいこう!」
俺の応えに、四人の意識が一点に収束した。
「じゃあ先陣、ガリウス行ってみよう!」
「うおぉおおおおお!」
ガリウスが地響きを立てて突進する。その巨躯から放たれる圧倒的な威圧感に、リリスが慌ててノインを庇うべく割って入った。
ガリウスが剣を振り下ろす瞬間、イザベラが鋭く呪文を唱える。ガリウスの剣身に凄まじい魔力が宿り、重力を倍増させたかのような重たい一撃がリリスへ落とされた。
「くっ……!」
リリスは受け止めるので精一杯だ。ガリウスはさらに体重をかけ、強引にリリスを押し込み、その動きを完全に封じ込めた。
「次だ、ヴィンセント!」
「分かっている!」
ヴィンセントが大きく迂回し、神速の踏み込みでノインめがけて走り出す。イザベラが放った加速魔法がヴィンセントの足元を捉え、彼の速度は瞬く間に限界を超えた。
ノインの魔剣がヴィンセントの一撃を払うが、その隙にリリスがノインへ助太刀しようと視線を送る。
「嬢ちゃん。よそ見してる場合じゃないぜ!」
ガリウスが不敵に笑い、さらに剣を押し込む。リリスの冷静な顔に、明らかな焦りが浮かび上がった。
「アステリオ……私のMPも残りわずかよ。これで最後。絶対に、決めてよね!」
イザベラが喉を枯らして呪文を紡ぐ。彼女の両手に、これまでにないほど巨大で純粋な光の輪が出来上がった。
「行くよ……!」
イザベラが全魔力を込めて光の輪を解き放つ。それは一直線に俺の元へと飛び、聖剣の刀身に吸い込まれていった。
聖剣が、豪雨を蒸発させるほどの眩い光を放ち、闇に包まれた山頂を真っ白に染め上げる。
「ありがとう。……これで、すべてを終わらせるよ」
俺は光り輝く剣を正眼に構えた。
目の前には、自分を捨てた俺を、悲しみの果てに殺そうとしている小さな魔王。
俺は一歩、泥を蹴り出した。
勇者でもなく、魔王軍総帥でもなく。
ただ、犯した過ちに決着をつけ、孤独な少年を抱きしめるために。




