表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『俺のオヤジが最強すぎて勇者を廃業したんだが ~最強の魔王を育て上げ、俺をバカにした世界に復讐しようと思う~』  作者: autofocus


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/74

第十二話:断絶の空、友情の盾

山頂に近づくにつれ、重く垂れ込めていた霧が嘘のように晴れていった。

 視界が開けた先、尾根に沿うようにして魔王軍の本陣が厳かに構えられている。俺たちの姿を捉えたのか、巨大な門が重々しい音を立てて開き、魔族の軍勢が濁流のように溢れ出してきた。


 先頭に立つ巨躯の魔族が、裂ぱんの気合とともに声を張り上げる。

「勇者アステリオよ! 我が名はグリル。魔王軍の矜持に懸けて、尋常に勝負いたせ!」


 その号令とともに、魔王軍が一斉に急斜面を駆け下りてきた。

「準備はいいか?」

 俺は背後の三人に最終確認をする。


「任せとけ!」

 ガリウスが丸太のような腕をぐるぐると回しながら応える。

「当たり前でしょ。誰に物言ってるのよ?」

 イザベラがいつもの調子で不敵に笑い、魔導カメラのピントを合わせた。

「大将は任せた。アステリオ、俺たちは周りを片付けるぞ!」

 ヴィンセントの鋭い指示に、二人が力強く頷く。


「よし……行くぞ!!」


     ***


 戦場は一瞬にして混沌に包まれた。

 巻き上がる土煙と、鉄と血の匂いが入り混じる。再び濃くなった霧の中で、時折イザベラの爆裂魔法が轟音とともに夜空を焦がし、仲間の健在を知らせてくれる。


 俺は、目の前の壁――グリルとの戦いに全神経を注いでいた。

 かつて俺の右腕として、絶界宮で誰よりも忠実に働いていた男。その剣が、今は俺の命を奪うために振るわれている。


 剣と剣が激しくぶつかり合い、火花が散る至近距離で互いの顔が見えた。

「ヴェイル様……なぜ……ノイン様を……!」


 グリルの瞳に、隠しようのない動揺が走ったのを俺は見逃さなかった。

 だが、彼はその迷いを断ち切るように、自分自身に言い聞かせるように叫んだ。

「……勇者は、殺す!」


 剣に凄まじい力がこもる。鋭い斬撃の連撃が俺の装甲を削り、俺はそれを必死で受け流しながら体制を立て直す。

 渾身の力がぶつかり合い、衝撃で互いの体が大きく後ろへ弾き飛ばされた。


 気づけば、ヴィンセントたちが俺を囲むように集まってきていた。

「も〜、超めんどくさいんだけど! いったい何匹いるのよ。終わったらあんたのおごりでいつもの酒場集合だからね!」

 イザベラが乱れた髪を払いながら、いつもの調子で悪態をつく。


「確かに、この数を受け持つのは非効率だな……。よし! イザベラ、俺の両腕に強化魔法をかけてくれ。俺がお前ら二人を、敵の大将がいる本陣まで一気に投げてやる!」

「ちょっと待て、ガリウス! それじゃお前ら二人でこの大軍を相手にすることになるんだぞ!」

 ヴィンセントが制止するが、ガリウスは不敵に笑った。


「大丈夫だって。お前ら二人がさっさと魔王を倒してくれれば万事OKよ。さあさあイザベラちゃん、さっさと頼むぜ!」

「……もう、知らないわよ! 後で死ぬほど高くつくからね!」

 イザベラはぶつぶつ言いながらも、精緻な手つきでガリウスの両腕に黄金の強化魔法を付与した。


「よ〜し、行くぞおおお!」

 ガリウスは俺とヴィンセントの二人を軽々と持ち上げると、人間離れした膂力で体をぐるぐると回転させた。


「飛ばせえええ!」


 放たれた俺たちの体は、重力を無視して魔族の大軍の頭上を飛び越えた。

「お〜、よく飛んだな!」

 遥か下でガリウスが満足そうに叫ぶ声が聞こえる。


 俺たちは風を切り、魔王軍の陣を飛び越え、山頂の祭壇へと一直線に向かっていった。

 その先に待つのは、絶望に染まった小さな魔王――ノインだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ