表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『俺のオヤジが最強すぎて勇者を廃業したんだが ~最強の魔王を育て上げ、俺をバカにした世界に復讐しようと思う~』  作者: autofocus


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/35

魔王と配信者と、影の絶叫

部屋の中央には、急ごしらえとは思えない品の良い椅子が四脚、向かい合うように並べられていた。その二つには、予定通り、幼い魔王ノインと――漆黒の鎧に全身を包んだ影武者、グリルが座っている。


 俺は部屋の入り口にある鏡で、自分の姿を盗み見た。

 スーツはあちこちが着崩れ、髪は振り乱れている。門からここまで、イザベラの「配信映えスポット」探しという名の猪突猛進に付き合わされた険しさが、一目で見て取れた。

 おそらく、彼女が歩いた道のりには、隠れ損ねて叩きのめされた哀れな魔物たちが、無数に転がっていることだろう。


「ちょっと、あのいかにも『魔王軍総帥』って感じの漆黒の鎧、カッコよすぎない!? 超バズりそう! ……ところで、隣に座ってるそのちっこいのは誰?」


 イザベラが興奮気味にカメラをグリルに向けながら、ついでといった様子でノインを指さした。


「……お前、勘違いするな。その『ちっこい方』が、この城の主。魔王ノイン様だ」


 俺が重々しく告げた瞬間、沈黙が訪れた。……コンマ一秒後。


「ええええぇぇぇええええ!!? かわいいいいいいい!!!!」


 鼓膜を突き破らんばかりの絶叫と共に、イザベラがノインに飛びかかった。

 ほっぺをツンツンし、挙句の果てに「ぬいぐるみみたい!」と抱きしめて好き放題に振り回している。


(……やばい。やばすぎるぞ、これ……!)


 ノインは顔色一つ変えず、無機質な人形のように座ってそれを受け入れている。だが、俺には分かる。昨夜、監視塔を二つ消し飛ばしたあの魔力が、ノインの体内で煮え滾っているのが。


『グリル! 何をしてる、今すぐやめさせろ! 食べられるぞ!』


 耳元の魔導石に、裏返った声で指示を出す。

 漆黒の鎧の中でグリルがビクンと震え、無理やり作った甲高い威厳のある声で吠えた。


「ぶ、無礼者! 魔王様から離れよ、不敬であるぞ!」


 なんとかノインから引き離されたイザベラは、不満げに口を尖らせながらも、ようやく四脚の椅子が埋まった。

 ノインは相変わらず、感情の読めない瞳でじっと正面を見据えている。

 ……恐ろしい。その静寂が、いつ「人間っておいしいのかな?」という一言で破られるかと思うと、俺の心臓は止まりそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ