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どらたび~ドライブ女子の旅物語~  作者: yuuki
そうだ、海行こう
3/10

海とこいびと

出会いも醍醐味

「…あー…」

調べることがどれほど重要か…私は今、身をもって実感している。

遡ること数分前。

恋路ヶ浜(こいじがはま)駐車場に車を停め、カバンをひっつかんで海岸に向かう。

あぁ、やっと海だ…

運転中に窓からは見ていたが、それでも自分の足で砂浜には立っていなかった。

「海が見える」と「海に来ている」には天と地以上の差があるだろう。

潮風が吹いてきていて気持ちがいい。

しかし悔しいかな。太陽は必ず海に沈むわけではないということ…

だがそれを差し引いても良い景色と言えるだろう。

空はもうすっかりオレンジ色に染まり、海もその色を反射している。

やー、来てよかった…

景色をかみしめながら、心の中で呟く。

と、海岸を歩いてくる人影が見える。

まぁそうだよな。もう夏だし、人も来るか…

などと思っているとその人影が二人なことに気が付いた。

「…あー…」

もっと調べればよかった。

ここカップルの聖地だこれ。

なんかすごいロマンチックな名前に惹かれるんじゃなかった!

ま、まぁ無視すればいいだろう全然景色見よう景色。

名前はともかく、さすがは愛知の足の先端だ。

海がものすごく広い。

太平洋が視界いっぱいに広がっている。

遠くに船が見える。いったいなんの船なのだろうか…?

右の方を見ると、三重県と思われるものが見える。

今度、三重の方まで足をのばしてみようか。伊勢神宮も行ってみたいし。

スマホを見ると、午後七時半。もう少し景色を堪能したらホテルに向かおうか…

そう思い振り返ると、先ほどのカップルが結構近いところで立っていた。

うげ。お邪魔かな私…。

気まずさを感じ、早めに帰ろうと大外回りで駐車場に向かおうとする。

「あのー!すいませーん!」

と、歩き始めようとしたときに声をかけられた。

ビクッ!と体が硬直する。

「は、はい…」

緊張のあまり噛みそうになる…。我ながらさすがにコミュ障すぎる…。

「写真、お願いしてもいいでか?」


「へぇ、浜松からですか!」

あの後、めちゃくちゃ緊張しながら何枚か写真を撮り、ついでとばかりに会話を振られた。

このカップル、めちゃくちゃコミュ力が高い。

会話をしやすい雰囲気と言うか…オーラをまとっている。

「車で旅がてら来てみたんです。こういう場所とは思わなかったんですけどね」

彼氏さんの質問に返答すると、今度は彼女さんから質問が飛んでくる。

「っていうか、浜松からってなかなか遠くないですか?しかも今日って普通に金曜じゃ…」

そう言えばそうだった。本日は金曜日。バリバリ平日である。

「定時で上がって飛ばしてきたんです。途中、渋滞にはまって大変でした」

敬語のせいでどうしても会社員感が出てしまうが、そんなこと、二人は気にしていないようだった。

「車、好きなんですか?」

彼氏さんの方が目を輝かせながら()いてくる。

彼女さんの方はやれやれ…という様子だ。

「はい、車めっちゃ好きですよ。ND…ロードスター乗りです」

彼氏さんの方がさらに目を輝かせる。

「ND!マツダの?」

こいつ、結構ちゃんと車好きだ。高校生(たぶん)のくせに生意気な。

「へぇー、詳しいんですね」

「子供のころから車好きで…。こいつにはあきれられてるんですけどね」

言いながら、彼女さんの脇腹を小突く。

「馬鹿なことばっか言ってるからでしょ?免許取ったとたんにお父さんの車でサーキット行って…」

なかなか仲がいいカップルの様で、少々笑ってしまった。

「あはは、もう免許持ってるんですね」

「ニ、三カ月くらい前に取りました。こいつも誘ったんですけどね」

「やだよマニュアルなんて」

駐車場に着くまで談笑(だんしょう)し、着いたら着いたで彼氏さんの方は私のNDを見て興奮していた。


「ふぅ、なんか楽しかったな」

あの後、しれっと二人と連絡先を交換し、私はホテルに向かった。

最近の高校生はすごい。免許を取ったということは、私とさほど年齢に差もないはずなのに。

ホテルまで大して距離もないため、適当に流しつつ向かう。

もう日も落ちかけていて、夜に変わりかけている。

まさかあの彼氏さんがほんとにめちゃくちゃ車好きとは。

いつか彼女さんも一緒にドライブでも誘ってみようか。

などと考えている間にホテルに到着したので、駐車場に車を停める。

ホテルが空いていたといっても、ある程度人はいるようで車が何台も停まっている。

さっさとホテルにチェックインし、部屋に向かう。

なかなかきれいなホテルじゃないか。こんなホテルが取れるなんて、今日はほんとに運がいいラッキーデーだ。

部屋に入り、荷物を適当に放る。

一週間の疲れもあったため、さっさと薄着に着替え、ベッドに飛び込んだ。

面倒なので風呂はいいやと考え、晩御飯も食べないまま寝落ちてしまった。


次の日、早く寝たことが相まって五時に目が覚めた。

とりあえず体を起こし、カーテンを開ける。

昨日風呂に入っていないことを思い出し、せめてシャワーだけでも浴びようと風呂場に入った。

諸々朝やることを終わらせ、ゴロゴロすること数十分ほど。

時間は午前六時となっていた。

そろそろさすがに空腹が限界だ。しにそう。

今回私は宿泊のみの予約としているため、朝ごはんとかそういうのはない。

適当に近くのコンビニに行かなければ…と荷物をまとめる。

ホテルをチェックアウトし、駐車場に行くととても太陽がまぶしく感じた。

そして、私のNDのさらに奥に車のボンネットを開けてあたふたしている女がいる。

何をしているんだか…と思いながらNDに向かうと、なんとびっくり。スープラではないか。

なにか既視感があるスープラだったが、思い出せない。

うーんうーんと悩みながらNDに荷物を入れようとすると、スープラの女と目が合った。

「ごめんなさいー!助けてください!」

女がダッシュで近づいてくる。

「バッテリー上がっちゃって!エンジンかからないんですっ!」

やっと海に到着しましたねー!

これを書いているとほんとにグーグルマップとにらめっこです!

どんどん登場人物増やしていきたいと思っているので、どうぞよろしく。

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