基地外線早期
朝早く起き出して
顔を洗うと
石鹸の香のするタオルが顔を包む
朝食の焦げ付いた中
唯一夜空にぽっかりと浮かんだような黄身だけを掬い
口にしまうと
スモークのような香のするジュルジュルとした感覚の中に繊維のような
白身の筋が口の中をうごめく
私はもう一度洗面台に行くと
歯の抜けた口の中に手を突っ込み
奥歯を引きだし
洗面台横のプラスチックの黒い円柱型のごみ箱に入れてある白い袋に投げ入れた
カサリとおとがして中に消える
身支度と整えると
人込みの多い駅のの中で人に紛れる
人人人人
ゴミのような生ごみの中
鶉の雛がないている
私は生き物を踏み潰さないように
定期を見せ車内に乗り込む
ゴムの臭いのする冷房を睨みながらもう何年同じ事を繰り返すのだろう
前の鶉が死んだような目で眼球を動かし光る板を見ている
馬鹿なのだろうか
私の手の先がわずかにしびれを切らしたように動く
私はそれを止め妄想の中で
手に持った吊り革に揺られながら考える
車掌役のカエルが潰れたような奇怪音を出す
一人妄想の中ら出てこれず
一人ぶら下がる死体のように
私はだらけた精神が血と成
耳からぽたぽたと汚しながら流れ
転々と車内を赤く汚し
漏れ出す水溜まりは床を伝い
扉の下から線路に続くのです
私の意識が覚醒した頃
夕闇のビルに写る窓ガラスから
豆電球の出来損ないのような明かりが町中にうめつくし
私は一人
熊のような先輩の足取りを見ながら
目を覚ます。