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7:意志を持つ闘争

 俺は圭の教室に飛び込んだ。

 

「圭!」

「悠……君?」


 圭は教室の片隅でうずくまっていた。

 良かった、圭は無事だ。

 

「よかった、来てくれるって信じてた」


 案外照れる。

 

 だが今は逃げる方が先決だ。

 俺は圭の手を引っ張って校庭に出る。

 

 だが地面にKILL  YOUと浮かぶと共に、スティンジアや氷をまとったナイト、フロストナイトが現れた。

 

「現れたか……」


 どうする、連中はザコだが圭もいる。

 それにあのフロストナイトやらはアヴェンジャーもリベレイダーも効きそうにない。

 

 俺は……どうすれば……。

 アナタノ護りたいものを護りなさい。

 その声は――

 アナタにも護りたい大切なものはあるでしょう。

 そうか、大切なもの。

 こんな簡単なことなのに何で、気づけなかったんだ。

 

 俺にとって大切なもの。

 それは隣にいるじゃないか。

 

 ならそれを護る!

 意識が戻る。

 

 リベレイダーが天使の力で変化した。

 それは異形の大鎌、イシスになった。

 同時に身体中に力がみなぎる。


 早速、おれはイシスで広範囲の敵を刈っていく。

 まるで草を刈るように、倒していく。

 

 だんだんと調子づいていき、イシスの吸った血の分だけ力が蓄えられていく、そんな気がした。

 

 残ったザコ共を2回3回と斬るクリーバーのコンボで、一気になぎ倒していく。

 最後に残ったフロストナイトも俺の繰り出すイシスを左手で縦方向に回転しさらに右手に持ち替えて逆回転するシュレッダーに翻弄されて消え去った。

 

「ふー、片づいた。さあ、帰ろう、圭」


 俺は圭の手を引く。

 

「ふーん、襲われてるから仕方なく戦ってると思ったけど、十分戦いを楽しんでいるじゃない」


 ふと声が聞こえた。

 

「結局アイツの言う通り、DOSとして覚醒しちゃったんだ。あーあ、心配してソンした」


 振り向くと後ろには、土井山高校の制服を着た少女が立っていた。

 

「どうも、初めまして。ってかんじ。あたしは美雪。小山美雪でーす」


 彼女は90cmほどある何らかの袋に包まれている棒を、抱えている。

 

「え、ああ……」


 混乱――

 

 何でこんなトコにいるんだ?そもそも何者だ?

「あっ、今あたしの正体を疑ってるでしょう?大丈夫、あたしは少なくとも味方だから」

「え、どうゆうこと?」


 俺に先じて圭が質問する。

 

「ふふーん、聞いて驚くなよ。なんとあたし、魔法使いです!」


 なに!?

 俺と圭は顔を合わせる。

 

「あれ、笑わないの?さっきの冗談だってば冗談、マジに受け取らなくていいよ。あはは」


 彼女は一人で爆笑する。

 

「ま、でも魔法使いに近いっちゃ近いかな」


 どこか含みのある言い方だった。

 

「で、実際のトコは……」


 ようやく自己紹介してくれそうなところで、呼んでもいない乱入者が現れた。

 まったくいいとこで邪魔してくる。

 

「悪いけど、自己紹介は後ね」


 と言って彼女は今まで抱えていたものを、袋から取り出す。

 それは90cmの長細い火縄銃だった。

 

「すごいでしょ、これがあたしの武器『小山筒』」


 彼女はその柄の長い得物を慣れた手つきで銃口に弾を込め、小柄な体で構える。

 狙いを定め、放つ。

 するとどうだろう。

 

 一拍開けて群がっている敵の一団に、ひときわ厳しい嵐が襲った。

 

「いくよ、ナーテ!」


 少女が駆け出す。

 

 その手には火縄銃だったものが、古の文様の刻まれた剣となって、さっき彼女が繰り出した「風神」で弱った敵を斬っている。

 

 改めて、片付けたと思ったところで悪魔の増援が現れた。

 

 その中でもひときわ目立つのが、チェーンソー片手に暴れ回るラヴェジャーだった。

 それと小さな天使の様に空に浮かぶベーソスやペーソスが現れた。

 

「ラヴェジャーね。厄介なヤツがでてきたもんだわ」


 と言いつつ、彼女はナーテを逆手に握りしばらくチャージして、衝撃波を放ちラヴェジャーが怯む。

 そしてナーテによる突進突き。

 吹き飛ばされさすがのラヴェジャーも地面に倒れた。

 

「すごい……」


 思わず言葉に漏らしてしまった。

 

 それを聞いたのか。

 小山美雪がこちらを振り向いた。

 ついでに圭もこちらを向く。

 

「でしょ!アレね、『ドライブ』と『スティンガー』って技なんだ。気に入ったなら、今度伝授してあげよっか」


 あの凄まじい技が俺も使えるようになるのか!


「本当ですか!」


 俺は久々に興奮を憶えた。

 まあ悪魔共を倒している間も興奮することはあるんだが、それは違う意味での興奮だろう。

 

「おお、そのリアクションかわいいね。気に入った。直々に弟子にしてあげる」


 もちろん答えは――


「はい、是非お願いします!」


 圭は少し不安げな不満げな顔をしたが、2人とも話しに夢中で気づいていなかった。

 その間にもペーソスが矢を放ってきた。

 

「きゃっ!」


 圭がたじろぐ。

 

「ゴメンね~。圭ちゃん。敵がいること忘れてた」


 待ち合わせに遅れてきたみたいに、軽いのりで言う。

 ラヴェジャーが起き上がる。

 

「圭ちゃんはあたしが何とかするから、悠太君はそこの敵よろしくね」


 彼女は圭を持ち上げて、走り去った。

 おれはあんな華奢な体でよくアンナコトできるな~と思った。

 そんな俺の後ろにベーソスが爆弾を投げてきた。

 俺はその瞬間に合わせて、ベーソスの爆弾をはじき返す。

 

 爆発――

 落ちてきたベーソスの破片を蹴飛ばした。

 面倒くさい連中だ、とっとと始末するか。

 

 ラヴェジャーはチェーンソーをブオーンと鳴らして、突進してくる。

 アレに当たったらと思うと、おっかないな……。

 だがこいつは予備動作が長すぎる。

 だから動きが読みやすい。

 横へすり抜ける。

 

「遅いんだよ。チェーンソー振り回してるだけのマヌケが!」


 ラヴェジャーを空中に打ち上げて、空中でリベレイダーで2回、イシスで3回斬っての、アヴェンジャーで叩きつける(ドロップ)。

 ラヴェジャーはあっと言う間に跡形もなくなった。

 

 よし、一丁上がり。

 

「ちょうど終わったみたいだね」


 美雪さんが音も無く現れた。

 

「こっちに来て。リフトを用意してあるから」

「リフトってなんですか?」


 全然知らない単語ばかり、言うので何が何だかさっぱり……

「リフトってね。この世界と人間界を行き来するつなぎ目みたいなものよ」


 懐から何かを取り出す。

 

「ジャジャーン!これがあたしの便利グッズその①、美雪特製即席リフト作成スプレー!」


 ドラ○もん見たいに道具の名称を、長々という。

 

「ふつうにスプレーでいいじゃないか?」

「いいの、これはあたしの魔法グッズでもあるんだから」


 この子と話していると、どうも和む。

 

「魔法使いはスプレーなんて使うか?」


 いつの間にか、俺たちは楽しく話をしていた。

 

「現代風魔女なんです~!」


 ふくれっ面――

 その顔がどうにもおかしくて、思わず吹き出してしまった。

 それを見て美雪さんも安心したようで――


「よかった、ようやく肩の荷が落ちたみたいだね」


 ああ、本当だ。

 

「復讐に燃えているのはわかるけど、たまには息抜きとかして、ほぐさないと、身が持たないよ」

「…………」


 全くその通りだった。

 だから何も言えなかった。

 リフトという小さな魔方陣が、床に描かれていた。

 

 俺はその上に立ち、目を瞑る。

 瞬間――

 俺は現実世界にいた。

 

「ふう、さてと、帰ろっか」


 そして俺と美雪さんは共に歩き出した。


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