4:DoS
「そう、そのまさか。つまり俺はお前とフラッターを戦わせて、お前の実力がどれほどのモノか試そうとしてるのだ」
あれ?一瞬唖然とした。
しかし意味を理解するとともに感情は転化した。
「そ、ソレを先に言え。バカ兄貴!」
つくづく殴りたくなる兄貴だ。
だが、その方が話が早い。
ここで逃げおおせたとしても、この追跡者はまたどこかで襲ってくるだろう。
ならいっそ――
「ここでケリをつける!」
駆ける――
フラッターもご自慢のナイフで、飛びかかる。
俺はその攻撃を紙一重でかわす。
続いて反撃、ジャンプして顔に直接攻撃しようとしたが――
「悠君危ない!」
と同時に回避。
直後フラッターのどでかいナイフが、体をかすめるのが分かった。
「ちっ、すばやい!」
またそのパターンを繰り返し、同じ結果を繰り返した。
俺は若干、焦っていた。
コレじゃ持久戦じゃないか。
何かいい手は無いのか。
フラッターの方も「つまらん!」と吐き捨て、高く跳躍、遠くに身を置き、口から黒い煙を出した。
「まずい!そのフェーズは……」
兄が何か言おうとしたが俺の360度黒い煙に覆われ、外部の声が全く届かなくなった。
その上真っ暗で何も見えない。
ふと、何かがこちらへ回転してくる。
おれは反射的に避けた。
だがその判断は正解だった。
ソレは紛れもなくフラッターのナイフだった。
ソレが今度は横方向の回転になって、こちらに飛んできた。
俺は縄跳びの容量で、軽くジャンプして回避する。
しかし、またソレは回転しながらこちらめがけて、飛んでくる。
コレの繰り返しじゃあ、さすがに疲れる。
不利だな……。
「あの、悠君はどうしたんですか?あの黒いもやもやの中に包まれちゃったみたいだけど……」
フラッターはニヤニヤしながら、その黒いもやもやにナイフを投げては取り、そのやりとり――
「あれは『死合い』といってフラッターの切り札というか、必殺技みたいなもんだ」
「そんな、じゃあ悠君は大丈夫なの」
「それは何とも言えないな。あのなかで生き残れるかどうかはアイツの実力次第だからな」
「そんな」
圭は泣き出した。
「こんな時に私に力さえあれば、悠君を護ってあげられるのに……」
まだフラッターがナイフを投げてるってことは、アイツも無事ってことだな。
くそ、きりがない。
何度も何度も避けているが、これじゃあ……。
イヤ待てよ!あのナイフは毎回あの位置で方向転換してこっちに向かってくる。
てことは……。
「そこだ!」
エイボニー&アイボニーを連射した。
とたん、煙が晴れた。
予想通りフラッターがその位置で、ひるんでいる。
「死合いを見切ったか」
さすが我が弟――
だがまだだ、フラッターは高く跳躍して、校舎の上に立った。
「なんだ、戻って戦えよ」
フラッターはワイヤーガンを撃ってきた。
「避けて!駆君」
放たれたモノは巨大な手の形になって、掴もうとしてきた。
だがそれも難なく避けられる。
俺もエイボニー&アイボニーを構え連射する。
距離はあってもこの銃から発射される弾丸は、悪魔に対してある程度のホーミング機能を持っているから、俺が素人だろうが、命中率は変わらない。
「頭を狙うんだ!」
そうは言われても、この距離で正確な射撃を、求められても困る。
俺は跳弾するエネルギー弾を放つリコショットを放った。
フラッターの目にまぐれで命中した。
フラッターがバランスを崩して、校舎から転げ落ちる。
おれは倒れて弱っているフラッターをこれでもかとばかりに、斬る、斬る、斬る
俺はそれがとても楽しくて仕方がなかった。
フラッターが悲痛の低いうなり声をあげる。
「demon even feel pain?」
俺は一切の慈悲もかけずに、切り刻む。
ははは、これは楽しい。
こうやって悪魔を痛めつけるのは、楽しくてたまらない。
いつの間にか、思い切り笑っていた。
その様子があまりにも、圭は一方的すぎて見ていられなかった。
「こんなの違うよ。悠君はこんなことをする人じゃないよ」
あまりに現実離れした現実から、圭は目をそらした。
「いや、アレが彼の本性だよ」
兄はとても嬉しそうにニヤリとする。
「あいつをdestroyer of sky。つまりDOSとして覚醒させること。それが今回の目的だ」
ようやく、本当の目的を、つぶやいた。
しかし、悠太には本当の目的は聞こえていなかった。
ただ、悪魔を残虐になぶる。
それだけだった。
その行為を屋上から見つめる人影があった。
「あれが俺の『お兄ちゃん』か。おもしろそうじゃん」
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