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1:ここは味噌司谷

 ここ実験都市「味噌司谷(みそしたに)」には悪が住んでいる。


 一四年前の事故(もしくは意図的な実験)によって空間に亀裂が生じ、辺獄(魔界と人間界の狭間)と呼ばれる空間が出来てしまい、悪魔が辺獄からあふれ出てしまった。

 

以来この街は悪魔の巣窟と化し、そこら中に都市伝説がごろごろ転がっている。

 

悪魔(もしくは悪魔に憑依された人々)によって犯罪率は日本ワースト5位だった。

 

 もちろんこの事実も誰も知らない。

 

 しかし9000年以上の眠りから覚めた魔帝Aがこの街に君臨したことで状況は一変、それまで好き勝手に暴れていた下級悪魔たちが魔帝に屈服し組織だって動くようになった。

 

 

 それからというもの、彼らは人間社会の中に見え隠れしながら、人間社会を牛耳耳っていた。

 

 そう、ここは人間を悪魔達のエサへと変える工場になったのだ。

 

 誰もその事実を知るよしもなかった。

 

 

 そして俺もあの事件以来、人生を大きく歪められてしまった。

 

 つまらない。

 この世界の何もかもが―

 俺はそう思いながら、日々をだらだら過ごしてきた。

 

 何をするわけでもなく、ただだらだらと時間を消費するだけの人生。

 俺はいつも通り学校の屋上で黄昏れていた。

 

 俺を包む怠惰と諦めによって、俺はそんな行動しかできなかった。

 

「やっぱりここにいたんだ」


 不意に後ろから声がした。

 俺はゆっくりと振り返る。

 その声の主は俺の幼なじみ、安東圭だった。

  

「ここ最近はここにいるようだけど……なにしてるの」


 放課後こんなトコで黄昏れているような物好きは俺しかいない。

 もの凄く静かで落ち着く。

 

 確かに今までは図書室で本を読むなり、iPodで音楽聞くなりして放課後過ごしていたけど、ほとんど読み切ったし、聴く音楽も残っていないので最近は屋上で黄昏れるのが日課だ。

 

「風に当たっていたんだ。ほら、気持ちが良いだろう」

「……ホントだ。でも、長居してたら風邪引くと思うよ」


 圭は俺を気遣っているようだ。

 昔からそうだった。

 おれと圭は同じ孤児院で育った。

 しかしそこの院長以下大人達はとんでもない連中だった。

 四六時中俺たちをいじめては楽しんでいた。

 俺は圭をその絶望ノ中で護ろうとした。

 そしておれと圭は安東家に引き取られ、俺は安東家の援助の元、明石悠太として独立した。

 

 とは言ってもバイトもやってないし、趣味もないといういわゆるニート(?)状態


「それだけじゃない。ここは落ち着くだろ。それに良い眺めだ」


 屋上から見る街の景色は最高のものと言っても過言ではなかった。

 

「そうだね。ここは落ち着くもんね」

「屋上って立ち入り禁止じゃなかったけ」


 俺は適当に知らなかった振りをした。

 

「鍵は開いていた」

「そうなんだよ。そこが不思議なんだよね」


 圭は考え込むように手をあごに当てる。

 

「もう3時だよ。帰ろうよ」


 俺時計はいつも同じ道をいつも一緒に帰っている。

 いつからだろうか?この不変の日常がつまらないと感じるようになったのは……。

 俺はいつもその疑問を抱いている。

 そして今日もその疑問を考え込んでいる。

 

「大丈夫? 悠君」


 圭が俺の顔を覗き込む。

 その時の圭の顔はどこか心配そうだった。

 

 いつもそうだ。

 圭は日常を怠惰に過ごす俺のことを心配してくれている。

 

「何を考えてるの?」


 俺は自分の悩みを他人に話していいのか。

 例え圭でも……。


「ああ、まあ何でもないよ」


 と答える。

 いつもと同じパターンだ。

 

「ねえ、たまには家に来る?養母さんたちもまた一緒に食事しないかって言ってるし……」


 俺にその機がないことを悟ったのか、圭は言葉を止める。

 

 だがおれは日々をだらだらと生き、それに圭まで巻き込んでいるなんて、こんなのたくさんだ!

 と思った瞬間――。

 一瞬なにかが変わった。

 違和感風が止まるのを感じた。

 

 ショートカット――。

 落ちたのか? いや、ここはどこだ?

 この風景は確かに見覚えがある。

 味噌司谷の町並みだった。

 だが異様だ。

 

 粘着質の黒い液体っぽいのところからわき出るように出てきたソレは何とも言えぬ、異形だった。

 マネキンの様なものに粘着性の黒い液体がべったりついており所々が膨張している。

 

 ソレは左手に棍棒を持っていた。

 こちらを発見するやいなや近づいてきた。

 

「悠君、あれ」


 圭もすっかりおびえている。

 俺が何とかしなければ……。


「ああ、見るからにやばそうだ。圭、逃げるぞ!」


 俺はおびえる圭の手を引き、逃げることにした。

 

 しかし、前方にもそいつ等は沸いてきた。

 壁にFOUND YOUと言う文字が浮かび上がった。

 俺たちはすっかり囲まれてしまった。

 

 圭は恐怖のあまり膝を突いてしまった。

 

「悠君!!」


 おれは圭を抱きしめ、最後まで護ろうとした。

 

 もはやだめだ。

 逃げられない。

 俺はこのまま何もせずに終わっていくのか。

 

 そいつ等が棍棒を振り上げ、今にも力一杯にかざそうとした。

 悠太は覚悟した。

 

 その刹那――

 閃光――

 風を切るような音と何かがぼとぼと落ちたような音がした。

 

 目を見開いた。

 

 目の前で棍棒を振り上げていたソレは粉々に砕け散っていた。

 

 そして細かく分断された破片が落ちていく。

 

 そしてもう一つめに入ったモノは、日本刀を携えた男だった。

 

「剣豪真壁流奥義、『居合い疾風』!」


 と謎の男(どちらかと言えば青年)は言って、刀を収めた。

 それから男はこちらを向いて手をさしのべた。

 

「無事か?」


 どうやら彼がこの得体の知れないクリーチャーを倒して、俺たちを救ってくれたらしい。

 

 男はなにやら嬉しそうな顔をしていた。

 

「会いたかった。会いたかったぞ! 明石悠太。いや、我が弟よ!」


 その台詞を聞いた瞬間、俺の頭の中で何かがフラッシュバックした。

 

「兄さん?」


 俺は、何者なんだ?




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