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願い事を一つだけシリーズ  作者: 有屋 春
3/4

願い事を一つだけ その3 願いをいつでも叶えれるということ編


ある日、公園で本を読んでいるといつの間にか横にランプがあった。あれ?こんなもの横になかったけどな。それは昔映画で見た魔法のランプによく似ていた。周りを見て誰もいないことを確認してから淡い期待を持ちながら擦ってみる。すると中からモクモクと煙が出てきて本当にランプの精が出てきた。




「俺はランプの精、カナエル。お前の願いを一つだけ叶えてやろう」


おお!誰もいなかったのに横になかったランプがあったためもしかしたらとは思ったがまさか本当に現れるとは。しかし叶えてくれる願いは一つなのか。映画では三つだったんだけどな。一つ、一つかぁ。




願い事を一つだけ、それを決めるのは難しかった。なんせ一つだけなのだ。それで満足できなければかなりショックを受けるだろう。それに満足してもずっとその状態でいれるか分からないしな。なかなか願い事が決まらなかったためカナエルには願い事が決まったら呼ぶ旨を伝えてランプの中で待ってもらった。他の人には見えないからいても問題ないが、いると急かされてる気になって落ち着かないからな。カナエルがランプに戻る前に気になって聞いたんだが願い事を伝える時にランプは必要ないそうだ。カナエルの名前を呼べばどこにいても来てくれるらしい。よかった、ランプを失くして願い事を叶えてもらえないとか笑えないからな。さらに俺の願い事を叶えるまでは他の人がランプを擦っても出てこないらしい。これで他の人に使われる心配もないぞ。ないとは思うが地球を破壊してくれなんて願い事をする奴がいるかもしれないからな。




それからは毎日何の願い事をしようか考え続けた。これが実に愉快だった。このお願いをしたらどれだけ楽しいだろうと色々妄想できるからな。しかも俺は妄想じゃなく叶えることができる。どんなことでもできるというのは神様になった気分だった。


そんなことばかり考えていると周りの人たちを見下す癖がついてしまった。俺に注意する人がいると俺はなんでもできるんだぞ、お前を殺すことも奴隷にすることだってな!と思ってしまうのだ。口には出さなかったが態度に出てしまうのか仕事場の人や友達は俺から距離を置くようになった。まあいいさ。なんたって俺はどんな願いでも叶えれるんだからな!




そんなことばかり考えていたある日、テレビで銀行強盗のニュースを見た。話によると3000万カバンに詰め込ませ犯人は逃走。未だ犯人の手がかりはないとのことだった。バカなことをするものだ。もしも捕まったら人生終わりだろうに。私みたいに捕まっても願いでどうにでもなるならしてもいいと思うけどな!そう思った瞬間、その方法があったかと思った。私はリスクがあることをノーリスクでできるのだ。成功したら願い事を使わずに済むし、失敗したら願い事でどうとでもなる。こいつはいいと思った。願い事を使わずに願いを叶えれるならやる価値はあるだろう。早速その日から銀行強盗の計画を立てた。




次の休みの日、私は顔を隠して銀行強盗を行なった。指紋がつかないように手袋をして、どこにでもある大きな鞄を用意、逃走用に盗んだバイクも用意してある。これだけ準備しておけば大丈夫だろう。唯一、拳銃だけ用意できなかったのでおもちゃなのが心配だが。。


不安はあったが銀行強盗は思ったよりスムーズにいった。おもちゃの拳銃だと気づかれないしお金もすぐに鞄に入れてもらえた。これだけ上手くいくと欲が出るというもので「まだ金はあるだろう!そこの大きな金庫を開けろ!」とさらに注文を出した。


職員は開けるのは構いませんが中には何もないですと言ってきた。これだけ立派な金庫があるのにそんなわけないだろう。きっと中にはとてつもないお金があるに違いない。そう思い無理矢理、金庫を開けさせた。外から中を見てみると職員の言う通り何もなかった。いや、外からだと中央しか見えない。きっと横に札束が山のように積んであるのだろう。私はウキウキした気持ちで中に入る。すると予想通り横に札束が積んであった。おお!これなら鞄いっぱいにお金を入れれるぞ!と高揚していると後ろからガチャンと音がした。し、しまった!扉を閉められてしまった!


なんということだ。こんな大金、初めて見たので冷静さがなくなっていたようだ。くそ〜せっかく願い事を使わずに金持ちになれたと思ったのに!まあいいさ。俺にはカナエルがいる。私はすぐにカナエルを呼んだ。カナエルは約束通り私の前に姿を表した。




「願い事は決まったか?」


「ああ、なんでもできる力を俺にくれ」


実は願い事はもう決めていた。ただこの願い事は叶えてもらうとなんでもできるようになるため刺激を楽しむことができなくなると思って保留にしておいたのだ。しかし私は今、金庫に閉じ込められている。ここから抜け出せてなお満足できる願いはこれしか思いつかなかった。まあこれからは神のように生きてやるさ!




「なるほど。それがお前の考えた願いか。長く待たされた割につまらん願いだな」


「なんだと!神のように生きれるんだぞ!これのどこがつまらないんだ!」


「つまらんさ。なんでもできるというのは努力する気持ちも達成感もないということだからな」


「ふん!別にお前がどう思おうが関係ないね。さあ、早く願いを叶えてくれ」


「ん?もう叶えたぞ?私はお前のせいでだいぶ待たされた。早く他の者の願いを叶えに行くとしよう」


そう言うとカナエルは姿を消してしまった。




え?なんか呪文でも唱えるのかと思ってたけど何もせずに叶えれるのか。ということは俺はすでになんでもできるのか。おお!これほど心踊ることはないな。さて、それではまずこの大金を持って逃げるとするか。




しかしどうやっても私はなんでもできる力を使うことができなかった。頭で考えたり、口で言ってみたりしたが何も起きない。どういうことだ!カナエルめ!もしかして嘘をついたのか。しかし力の使い方は聞いていなかった。もしかしたら何か他の方法なのかもしれない。。。




それから私は銀行に駆けつけた警察に捕まり刑務所に入れられたが長いことなんでもできる力の使い方を模索した。しかし一向に力は使えなかった。それから一年、二年と月日が流れ私はランプもカナエルも幻覚だったのだと思うようになった。周りの連中も私が力の使い方を模索する中で多種多様な怪しい行動をしていたのであいつは頭のイカれたやつだと思っていたし、その頃には実際に私は精神がおかしくなっていた。一体、あの幻覚はなんだったのだろう。。。






カナエル


「ふぅ、今回は変な願い事をされたな。まさか願い事が決まるまでランプの中で待てとお願いされるとは。あいつは一体何がしたかったのか。。。」










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