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願い事を一つだけシリーズ  作者: 有屋 春
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願い事を一つだけ その2 生まれる時代を間違えた編



私はモテる。理由は綺麗だから。私が綺麗すぎるため何も言ってないのに私をモデルに制作されたものまであるぐらいである。しかもそれは大量に作られ人気であるらしい。




特に仕事ができるわけでもなく性格がいいわけでもないのに顔とスタイルがいいだけで男たちは私を神のように崇める。いつも沢山の男たちが私に貢いでくれるため働く必要もなく私は気ままに生きていける。だから生きていくことに不満を感じたことはない。だが、生きていくことに不満がないだけで満足するものがあるかと言ったら特になかった。


どの男も私のいいなりだが皆ブサイクで見ているだけで吐き気がする。それから食事。どんな料理でも貢いでもらって食べることができるがどれも美味しくない。私はこんなに完璧なのに時代だけが追いついてない感じ。きっと、私は生まれる時代を間違えたのだ。




そんなことを思いながら過ごしていた私はある日一人で散歩をしていると妙な物を見つけた。なんだろうと触っていると急にモクモクと煙が出てきて中から人間ではない何かが出てきた。




「俺はランプの精、カナエルだ。お前の願いを一つだけ叶えてやろう」


急に出てきたカナエルとやらに驚いたがこれはもしかして神様なんだろうか?浮いてるし、願いを叶えてくれると言っているし。


「あなたは神様ですか?」


「神様ではない。俺はランプの精、カナエルだ。まあどんな願い事でも一つ叶えてやる俺の方がお前らにとっては神様かもな」


なるほど。確かにそうだ。皆、神に祈るが叶うわけじゃない。そう考えるとカナエルこそ神様だ。たった一つとは言えどんな願い事も叶えてくれると言っているのだから。




願い事かぁ、欲しいものはなんでも手に入るしなぁ、、、美味しい料理を食べたいけどせっかくの願い事に使うにはもったいない。それじゃあイケメンを出してもらうとかどうかな。私の魅力があればすぐに好きになってもらえるし。ああ!でも美味しい料理が食べたい!そういえば、、、私はいつも思っていた、生まれる時代を間違えたと。なら適した未来に送ってもらうのはどうだろう。一つの願いで素敵な異性も美味しい料理も手に入る。私はなんて頭がいいんだろう!




「カナエル。私が魅力を感じる異性がいて料理が美味しい時代に送ってもらうことはできる?」


「そんなことか。出来るとも。私は色んな時代で願い事を叶えてきたからお前の好む時代も教えてやれるだろう。ただし、異性の顔は変身していくつか見せて選ばしてやるが料理を食べて年代を選ぶことはできぬ。それは与えることになるからだ。私は一人に一つしか与える(願い事を叶える)ことができぬのでな。まあ口で説明するぐらいなら出来るぞ」


なるほど。言ってることはもっともだ。まあ料理は今より満足できそうであればいいかな。私はそれで構わないと伝えた。




「それではいくつか変身してみせるから選ぶがいい」


そう言うとカナエルはまず2017年のイケメンの顔に変身した。それを見た瞬間私は即決した。その時代に行こうと。




「カナエル。その時代でお願いするわ」


「ん、まだ一人目だがいいのか?まあ気に入ったのなら何も言うまい。この時代は衣食住が豊かだから美味しい料理があり安全に暮らせる。お前の願いにぴったりだろう」




ええ、本当に。こんなイケメンがいる時代なら私は幸せになれる!ああ!こんなイケメン達が私を取り合ったりするのかな、それを考えただけで顔がにやけてしまう!


私は早く行きたい気持ちを抑え、家に帰り準備を始める。帰る途中、沢山の男が私に声をかけてきたが私はそれを無視した。




家でどの服を着ていこうか悩んでいるとカナエルが話しかけてきた。


「ずいぶんモテているのだな。ここで暮らしたほうがいいんじゃないのか?」


「バカ言わないでよ!あんなブサイクしかいないのにモテたって意味ないじゃない。美人にはイケメンが必要なの!」


「んーまあ私はお前の願いを叶えるだけの存在だから何も言わないが、、、」




カナエルはそう言うと特にやることもないので私の家を物色し始めた。


「ん?これは見たことがあるな」


なんのことだろうとカナエルが見ていたものを見るとそれは私をモデルに作られたものだった。やはりこれだけ美しいものだと神様も知っているらしい。いや、神様ではないんだけど。


「へえ、カナエル知ってるんだ。やっぱりこれだけ美しい私をモデルに作られたものだと有名なのね」


「ああ、有名だぞ。お前が行く時代で知らないものはいないんじゃないかな」




そんなに人気なのか。魅力がありすぎるというのも罪ね。本人がいなくてさぞ悲しんでいることでしょう。すぐにそっちに行くからいくらでも貢いでいいのよ、なんて考えていたら準備が終わった。




「準備できたわ。すぐに送って頂戴」


「いいだろう。ふん!」




カナエルは特に呪文なども唱えなかったが彼女はすでに消えて2017年に送られていた。




「ふぅ、一仕事終えたな。しかし人間とは面白いものよ。自分の本当の願いを理解していないものが多い。あの女は未来でどんな人生を送るんだろうな。まあ美味しい料理は食べられるだろう」




そして先ほど見たものに目を向ける。そこにはとても彼女に似たものがあった。顔はでかく、目は細い。ずんぐりした体型。これはなんと言うのだったか、、、ああ、思い出した。




これは土偶だ。











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