フェアリア商団
後半急いだから間違いがあるかも
クレさんと一緒に大広間に入ると五人のベストのスーツを着た人と書生服っていうのかな、着物のような服を着た人が二人いた。今まで会った人たちよりも黒髪率が高い。というかスーツの人は、五人中四人が黒髪だった。
まず、その中でもリーダーのような人から自己紹介をするらしい。その人はオールバックに赤い縁取りのメガネをかけていた。
「オルガ・ジョーンズだよー。ヒト族で、フェアリア商団の団長を務めています。オルガ兄さんって呼んでね。」
やっぱりリーダー的な人か。
そして、オルガ…兄さんは隣のお姉さん、いや、男の人かな?すごい中性的な短めの黒髪の人に次どうぞ、というようにジェスチャーした。
「オル兄ぃ……オルガの従者、チノです。種族…というものはないのですが、はぐれ鬼と呼ばれています。」
と中性的なチノさん。今度は長い髪を下の方で二つ結びにして、首にストールを巻いた人が、
「ボクは武器の神トゥーランだよ。神様って言っても信仰とかは無いよ。」
その後に、筋骨隆々な槍を持った短髪の男の人が、
「トゥーラン様の従者チトです。先程のチノの兄です。」
僕から見て右側が長いアシンメトリーな焦げ茶色の前髪にマスカレードマスクをつけた人、
「ここの神官の1人、ヴォルホルなんだぞ。今着ているのは、神官の正装で、僕はヒト族だぞ。」
左側が長いアシンメトリーな明るい茶色の前髪にさっきの人と同じ服を着た人、
「同じく神官のヴェルホルだよぉ。にいちゃんと二人でフェアリア商団の神官をしてるんだぁ。ちなみに俺らも君らと同じで王都に行ったら、主従を認めて貰うんだぁ。俺が従者でにいちゃんが主人だよぉ〜。」
この人だけ他の人と雰囲気が違う。髪は薄い水色で瞳も同じ色ふわふわとした髪を持っている。
「最近、メンバーに入ったクルトです。雪妖精族の一人。」
ちなみに、ベストを着ていたのは、オルガさん、チノさん、トゥーランさん、チトさん、クルトさんの五人。書生服は、ヴォルホルさんとヴェルホルさんだ。濃いなー、キャラ濃いなー。
こちらも自己紹介するのかなぁと思ったところでクレさんが、
「俺はクレッド・ギルシュタイン。これから世話になる。あと、こいつはアオバ、俺の従者だ。」
その言葉に、最初に自己紹介した四人がざわついた。
ボソボソと話していたが、クレッド従者なんて持つ気あったの?とか、何か弱み握られてるんじゃないか、などという内容が少し聞こえてくる。フェアリア商団にいた頃のクレさんはどんな印象だったんだ…。あ、僕も自己紹介するのかな、クレさんが一応してくれたっぽいけど。
「アオバです。クレさんの従者をしています。これからよろしくお願いします。」
僕の自己紹介を聞くと、さっきの四人は、少し安心した顔で、こちらこそよろしく、と言ってくれた。
そして、クレさんは他の3人に
「俺は一度この商団にいたことがある。ちょっと前だから、システムとか違ってたら教えてくれ。」
と言った。
この後、クレさんはベストを着た5人に説明を受けるために別の部屋へと向かい、僕は神官の2人と話すことになった。
とりあえず、フェアリア商団について案内してくれるのと神籍を入れるらしい。
「へぇ〜。君って別の世界から来たんだねぇ。異世界産業があることは知ってたけど、まさか召喚できるところまで行ってるとは知らなかったよぉ〜。」
と言ったのはヴェルホルさんだ。うん、多分召喚されたのはたまたまなんだけどね。後、帰れないらしいし…。
「ははは。僕もびっくりです。」
「そんな敬語使わなくていいよぉ〜。俺のこともヴェルホルって呼んでねぇ。これから、2、3年以上は一緒だからもっと仲良くなろうよぉ。」
そうか。この人達も主従契約してるんだっけ。
「これから俺らが話すことは、主にフェアリア商団のことについてだよぉ。まず、案内するねぇ。」
「ヴェルは、歩くの速いから頑張ってついていくんだぞ。僕もびっくりした。」
そ、そんなに速いのか?。とりあえず、これからフェアリア商団が移動用と商売用に使ってる汽車を案内するらしい。ぶっちゃけ寝泊まりも出来るのでほとんどの時間をそこで過ごすんだそうだ。
スタスタと歩くヴェルホルの後を追いかけながら、フェアリア商団の話を聞かせてもらった。
「最初、オルガにいちゃんに兄さんって呼べっていわれたでしょぉ。あれはね。フェアリア商団がちょっと特殊で、あの5人以外にも人はたくさんいるんだけどその人達は正規のメンバーじゃなくてアオバみたいな移動するためにいる人とか、商売の場を借りに来た人がほとんどなんだぁ。だからきっとオルガにいちゃんは、みんな今だけは兄弟っていう風にしたいんだろうなぁって俺は思ってるよぉ。あと、俺とにいちゃんは、神官って言って通る町の神籍を入れてない人の神籍をいれるお仕事なんだよぉ。」
あ、それはクレさんに聞いたことがあるような…。
「そうだ。アオバはアンネルリアの神籍をいれるのだったか。最後に僕らの部屋に来てもらおう。書いてもらう書類があるんだぞ。後、僕もヴォルホルで良いからそう呼べ。」
書くのは、誓約書的なものかな。呼び捨て…良いのか。
「もぉ〜。にいちゃん、それは大事だけど後にしよぉ?。まず、フェアリア商団のことを知らなきゃダメでしょぉ。あ、汽車に着いたよ。」
ヴェルホルが案内してくれた汽車は青い外見に金と赤のラインの装飾がしてある。
「ここから入るんだよぉ。」
まるで普通の列車のようにドアが開く。中に入るとホテルのような清潔感のある内装が広がっていた。
「えっとねぇ。ここが先頭で、ここの1号車から2号車までは、すぐにいなくなっちゃう移動用に使う人用で中はこんな感じ。」
ちらっと見せてもらった部屋の中はカプセルホテルのような感じでこれが号車ごとに4部屋らしい。そのうちの一部屋は食堂も兼ねている。上の階まであるから結構な人数が入るんだな。
「まぁ、日を置かずに降りる人もいるんだけど、たいていの人は多くて5日、少なくて3日はいるんだぁ。あとあとっ。その次の3号車から4号車はお店なんだよぉ。ちょっと着いて来てねぇ。」
そう言ってまた早足…本人はそうは思ってないだろうけど…で歩き出した。
「ここがお店ぇ。ここの号車からは3階建てになっていてねぇ。あっこの汽車は、6両編成だよぉ。5、6号車が俺たちが泊まっているところなんだぁ。」
あっ俺の部屋来るぅ?。内装がなんとなくわかるだろうしねぇ。」
そう言うと、今まで黙っていたヴォルホルが、ヴェルホルの頭をペチッと叩いた。
「ヴェルだけの部屋じゃないんだぞ。別に構わないけど、ちゃんと僕にも許可を取って欲しいんだぞ…。」
「ごめんねぇ。にいちゃん。……今度からは気をつけるよぉ〜。」
「なら良いんだぞ。」
「じゃあ、行こうかぁ。アオバは良いぃ?。」
「むしろ見せてもらえるの?っていう感じだから全然大丈夫。」
「そっかぁ。ならよかったぁ。」
また、ヴェルホルの早足が加速する。やばい。とても速い。なんとか着いていく。ヴェルホルとヴォルホルの部屋は5号車の二階にあるらしい。その途中、「フェアリア商団の正規メンバーは全員3階だから何かあったら3階に行くと良いよぉ。」と教えてくれた。正規メンバーって確か…。
「正規メンバーは、5人。そのうちの主従契約を結んでる奴らはちょっと広めの同じ部屋だぞ。主従契約を結んでたら大体は同じ部屋に寝泊まりすることが多いんだぞ。フェアリア商団も、移動が深夜になるときはここで寝るが、違う時や何日も同じ町に滞在する時はそこにあるホテルを使っているんだぞ。」
へぇ〜。そうなんだ。
「あっここ、ここ!。にいちゃんが鍵持ってるよねぇ?。」
「あぁ、これだ。」
ヴォルホルさんが手をかざすとドアがひとりでに開いた。一瞬、呆気にとられていたが、そういえばここは魔法の世界だった。
「どうしたんだ?。何かびっくりするようなことがあったら言うんだぞ。それを教えるのが僕らの役目なんだぞ。」
そして、僕は神官の2人の部屋に入った。