絶体絶命
「あー…えっとこれはどうするべきなんだろ」
衝撃的展開を見てしまった私、これは一体どうすべきなのだろうか?この距離で会話が聞こえるか怪しいところだけどとりあえず近づいて、近づいて
なんとかナチュラルに話を聞くにはどうすればいいんだろう
「あれ、弥生ちゃんじゃない、どうしたの1組に来るなんて珍しいね」
「あ、真谷ちゃん……あれ、真谷ってもしかして」
「そっか弥生ちゃん知らなかったね、3年の真谷虎太郎って私のお兄ちゃんなんだ、でも今更だね?」
ああ、そういえば真谷先輩妹がいるとかいないとかクラスの女子が噂してて、それでこの子と騒動になったんだっけか
いい距離だ、斉藤君と桜城さんの話が聞こえてくる…しばらくここで会話を窺おう
「もうっ、弥生ちゃん真谷ちゃんだなんて堅苦しいよ、寧湖でいいよ、もしくはみんなみたいにネコでもいいよ?」
「あ、じゃあ寧湖ちゃん久しぶりだし話でもしようよ」
寧湖ちゃんは快く了解してくれ、私は寧子ちゃんの話を聞きながら彼らの話を聞くことにした、絶対どちらかが疎かになっちゃうけどね。
でもまあ、大体の話をつかめればそれでいいか
「まーくん、久しぶりだねっ引っ越しちゃった時以来!」
「う、うん胡桃ちゃんも久しぶり、その、可愛くなったみたいで…えっと」
「わーい!まーくんに褒めてもらっちゃった…えへへ」
……これは随分と仲がいいみたいで何よりです
個人的にはもっと、なぜ桜城さんがここにいるのかが聞きたいかなっ!
「弥生ちゃんと小町はさ、唯一虎太郎兄ちゃんに興味を示さなかったグループだよね…ほかの女の子たちや先輩たちはあらゆる手段を使って兄ちゃんのこと聞き出そうとしてきたのに、あの時は本当にありがとう」
「別に私がしたことじゃないよ、小町がやったことだしお礼を言うなら小町に向かって言ってあげて?」
1年生の時、寧湖ちゃんはあらゆる手段を使って真谷先輩のことを聞き出そうとするお姉さま方や1年生の女の子たちに追いかけられ、怪我をするところだった
それを私たち……おもに小町が何とか解決したわけなんだけれども
「……ねえ、弥生ちゃん1組に来たのは私と話をするためじゃなくてあの2人の話を聞くため、だよね?」
「え……っと、そんなことはないよ、うん」
何故ばれたし、寧湖ちゃんは猫みたいに察しがいいんだね、それはそれで助かるっていうか、まさか桜城さんにこのこと言ったりするんじゃ…
「あはは、安心してあの2人には言わないよ、でも教えてほしいかなどうしてこんな事をしているのか」
「少し、少し気になることがあって、それで……ごめん。」
「ま、いいやほらほら会話進んじゃってるよ、いいの?聞かなくても」
寧湖ちゃんにお礼を言ってからまた二人の会話へと意識を向ける、どうやら裸眼のことについて話をしているらしい、どきっ、とした心臓が飛び跳ねた。
まっずいね、こりゃ斉藤君が私のこと話したりすれば桜城さんはきっと不審に思うんだろうな…
「ボク、昔から変わらずドジだからさ……今日も誰かとぶつかっちゃってメガネ落として、壊しちゃったんだ」
「大変だね、そうだっじゃあ胡桃と一緒に帰ろうよっ!」
「え、でも……」
「いいからいいから!早く帰る準備しないとっ!あーでもびっくりしちゃったまーくん苗字変わってるんだもん!」
斉藤君はおどおどとしながら教室の入り口を何度か見てため息をつき、言われたとおりに帰る準備を始める、いやまて!?今なんて言ったの?桜城さんなんて言ったのかな、苗字が変わって……え?
「引っ越した後、お母さんとお父さん離婚して、お父さん再婚したからもう犬渕の姓じゃなくなったんだ」
「で、いまは斉藤なんだねっ、でもでもそんなまーくんでも大好きだよっ?」
おいおい、そんなまーくんでもってあんた、まるで苗字が変わったら人の性格が変わるみたいじゃないか、まさかね、考えすぎだよね?
そういえば、桜城さんの攻略対象って兄貴以外何か共通点があったような……
「ん?犬渕、小鳥遊、竜崎、虎太郎……動物?」
「いや、竜は動物じゃないと思うよ、でもどうしたの、兄ちゃんの名前まで出てきて千尋さんの名前も出てきたし」
「考えすぎだよね、あはは、疲れてるのかなこっちの話こっちの話、気にかけなくても大丈夫だよ」
ならいいんだけどね、と言い残して寧湖ちゃんはこっちを不思議そうな顔で凝視する、最近よく見つめられてる気がするやだ、モテ期?
冗談はさておき、ここからどうする気なんだろうか一体、斉藤君、犬渕君?斉藤君でいいや、斉藤君は私に一言もなしで帰るつもり、とかじゃないだろうね
さすがに、ねぇ?
別に先に帰られてもやっとかかわりを持たなくていいと安堵するところだから何ら問題はないんだけど
斉藤君と桜城さんは二人並んで仲良くお手手つないで2組の方へ赴く(おもむ)、しばらく誰かと何かを話していたようだけど、すぐに会話を終えて1組の前の廊下を通り過ぎる
「ねえ、まーくん誰を探してたの?胡桃も知ってる人かなっ?」
「胡桃ちゃんの、かあ、ううん多分知らない子だと思うよボクもつい今朝知り合ったばかりだもん」
そこまで言ってからの会話は遠すぎて聞こえなかったため挫折、寧湖ちゃんにお礼を言って私も下に降りようとしてやめる、この場合斉藤君が下でも私を探していたらそれはそれで迷惑だ
桜城さん引き連れながら来られてもね……ぶっちゃけ二人の仲がどうなろうとかまわないと思っている、たとえそれが悲しい結末だったとしても
「仕方ない、そこら辺を歩き回って時間でもつぶそうかな……小町も振り切ってきたからか見当たらないし」
そう一人で言ってからそこら辺を歩き回る、下に行かないように注意しながら、1階には行かず、ほかの階を転々と。
いつの間にか3年生の教室の付近まで来てしまい、あわてて引き返そうとするこれはいけない地雷を踏んでフラグを立ててしまったか?
その時、手前の教室のドアがガラッ、と開き何人かの男子生徒たちが出てくる
この学校でもかなり有名な女遊びが盛んなグループだ、中学生で女遊びとは、末恐ろしいな、そのうち警察に捕まりそう、むしろ捕まってしまえばいいのに
さっさと逃げることに越したことはないのでさっさと逃げる……ことができたらどれだけよかっただろうね!
「あっれ~、あんなところに小学生並みに小さくて可愛らしい子がいるぞ、おいしかも1年じゃなくて2年!」
「なんで今まで気が付かなかったんだろうなあ……マジ可愛いサイズじゃん、俺の妹より小さいな~俺の妹小学4年生だけど」
「お前等、ロリコンかよ、でも確かに可愛いであろう雰囲気は出てるよな……おいカズ声かけてこいよ」
丸聞こえなんですけども?何、侮辱されてるのかな、私
こいつらの妹と同じくらいって……屈辱すぎる、でもコレこの状況で逃げたら絶対後日ひどい目見るよね、私みたいなサイズの子そうそういないし
ああああああ、だんだんこっちに来てる気がするよ、喋り声が近くなってくる、だみ声気持ち悪い、やだー小町の安定した眠くなる声が聴きたいよ
「ヘイッ、彼女ぉ~俺等と楽しい事しようぜっ!も、超絶たのしすぎでヤベーからよっ、どうだ?」
「そうそう、学校なんかつまんないだろ?俺等もこんなとこ嫌だぜ、今すぐぶっ壊してえぐらいだぜ?お前もすぐにそう思うようになるから俺等と仲良くしようぜっな?」
3人に取り囲まれて、たじたじになる、なに?日本遊技かごめかごめでもやるつもりなわけ?余所でやってほしいんですが
3年のほかの先輩なんか、窓から気の毒そうにこちらを見ている、先生を呼ぶ気は皆無なわけですかそうですか
ってそうじゃない!なんとかして隙を作ってその間に逃げる……今日は何か呪われてる気がする
覚悟を決めてっと
「いい加減にしてくださいませんか?邪魔なんですよね貴方がた、通せんぼですか、そういうことしてるから女の人達に怖がられるんですよね、みっともないとは思わないんですか?」
「黙って聞いてりゃあよお、このクソガキっ……!」
「許さねえ、血祭りにあげてやる!」
「屈辱ってもんを味あわせてやるよ!」
あ、これ火に油ってやつだね、失敗してしまった!
先輩たちにぐいぐいと引っ張られ、そこら辺の空き教室に連れて行かれる。3人目の先輩が3年生の先輩たちに「チクった奴はただじゃおかねえからな」と念を押してくる
まさしく、絶体絶命ってやつですか?