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年越し秘密倶楽部〜今年の調査報告談話〜

作者: がるがんだ

年越し前急ピッチで書いた秘封の年越し小説。


正直バタバタ書いたので色々間違いや駄文の点があると思うので、そこは笑って見逃して下さい(汗)


それでは、どうぞ。

 ――鐘の音が夜の街に鳴り響く。


 12月31日、時刻は午後23時。

 長いようで短い、全ての人々が過ごしたこの1年が、後1時間程で終わりを迎えようとしていた。


 とあるマンションの一室、リビングの中央に置かれている小さなテーブルの下、魅惑の温暖空間、またの名をコタツの中に2人の少女が体を埋めていた。


 とある大学の非公式サークル『秘封倶楽部』。 そんなオカルトサークルに所属する2人の部員、宇佐見 蓮子、マエリベリー・ハーン。


 1人はぼうっと年明け直前特番テレビを眺め、1人はコーヒーの入ったカップ片手に本を読む。

 彼女達は残り少ない今年の時間を思い思いに過ごして…いたのだが、ぼうっとテレビの方へ顔を向けていた宇佐見蓮子がマエリベリー・ハーンの方を向き、にある提案をし始めた。


「調査報告?」


 蓮子をチラリと一瞥し、彼女から聞いた言葉に小さく首を傾ける。


「そう。今年の秘封倶楽部の活動を振り返り、反省する。大事な事でしょ?」


「今年起こった事ねぇ…。岡崎教授が実験室で小爆発を起こした事かしら?」


「メリー、それは全く秘封倶楽部に関係ないでしょ」


 あら、そうかしら?と、彼女は悪戯っぽく小さく笑う。彼女は時々真顔で冗談を言うから困ったものだ。


 その冗談も反省すべき点ね。私は呆れ混じりに苦笑しながらメリーを指差した。


「というか、メリーは今年反省すべき大きな点があるでしょ」


「あら、"あの事"かしら?」


「わかってるならちゃんと反省してよね。私、結構心配したのよ」


「ふふ…ごめんなさい」


 "あの事"。それは今年行った秘封倶楽部の活動の中でも大きな出来事、今や廃棄され、廃れた『衛星トリフネ』の調査である。


「本当、もうあんな密林みたいな場所にはあまり立ち寄りたくないわね」


 小さく溜め息をつき、コーヒーを飲む。


「私も喉乾いてきたなぁ」


 コタツの中に長時間いた為喉の渇きを覚えた蓮子はふと、そんな言葉を呟き、チラリとメリーを見やる。


「行くなら自分でコーヒー入れてね」


「……はいはい、わかってますよ」


 本当はキッチンに近いメリーが親切心でコーヒーを入れてくれないかと淡い期待をしていたのだが、結局は淡い期待に終わり、更には先手を打たれてしまった。自分の思惑は見え見えだったらしい。

 魅惑の温暖空間から出るのは億劫だが、喉の渇きを潤す方だ、我慢しよう。


 蓮子は渋々コタツから体を出し、キッチンへ向かう。

 部屋の中だというのに蓮子の全身を凍えるような冷気が襲う。そもそも部屋にヒーターやクーラーを入れればいい話なのだが、まぁ、あれだ。学生にはお金がないのだ。


 キッチンに到着し、コーヒーを入れる。

 カップからは香ばしい香りがと湯気が立ち込め、一気に目が覚めるていくような、そんな気分になる。


「蓮子ー。キッチンの棚に年越しカップ蕎麦があるから箸とポット持ってきてくれるー?」


 やられた。横着しようとしたこちらが逆に横着されてしまうとは。全く侮れん。

 私はメリーに頼まれた一通りの物とコーヒーの入ったカップをテーブルに置き、再び魅惑の温暖空間へと体を埋めた。


「で、何の話だっけ?」


「トリフネよ、ト・リ・フ・ネ」


 話が途切れてしまったが、この活動は是非にも反省しなければならないだろう。理由は簡単。


「その活動で、私が病院送りになった」


 そう。この調査で、メリーが怪我を負い病院に運ばれたのだ。


「メリーは少しおっとりしすぎなのよ」


 私は入れたばかりのコーヒーを飲み、眠気を覚ましながらメリーに言う。


「そうね、次からは気をつけないと」


 彼女は人差し指を顎に当て、呑気な口調で呟く。本当に反省しているのだろうか?


「……ま、いいわ。次の反省、もとい報告は――」


「信州旅行ね」


「……まぁ、あながち間違ってない、か」


 もう1つ、秘封倶楽部が今年行った大きな活動。それはメリーが入院していた病院、信州サナトリウムを退院した後の信州調査…もとい退院祝いの信州観光である。


「結局、あれは何だったのかしらねぇ」


「私が聞きたいわよ」


 正直、反省にも報告にも入らないような出来事なのだが、この旅行には思いがけない収穫があった。

 それは、地底にて発見した謎の物質である。


 私のメリーでその物質について散々談義したのだが、結局その物質が何なのか結論は出なかった。


「来年こそはその物質の正体を解明したいわね」


「岡崎教授に頼む?」


「没収されて色々絞られるのがオチよ」


 全くこの相棒は恐ろしい事を言い出す。私達のサークルは非公式、更に結界をあれこれするなど犯罪まがいの事をしているのだから最早自主しに行くようなものである。


 再び溜め息をつきながら私とメリーの分の年越しカップ蕎麦にお湯を注ぐ。

 来年は、もう少し溜め息をつかない1年になるといいのだが――


「――もうすぐ今年も終わりね」


 蕎麦を食べ、来年への準備を完了したメリーはその顔を年明けの瞬間を待ちわびる人々でごった返している神社を映す番組に向け、その光景を眺めている。


 残る今年は後数分。


「来年は、今年よりも更に活動をしていくわよ」


「お手柔らかに」


 そんなたわいもない会話を交わす。


 来年は、果たしてどんな年になるだろうか。


 秘封倶楽部は、どんな幻想を見るだろうか?


 メリーは、どんな世界を見るだろうか?


 蓮子は、顔をテレビに向かせながら、その目をメリーに気付かれないよう向ける。


 金髪の髪、幻想を、境界を映すその眼。


 私は、メリーの見る世界を見たい。 メリーと一緒に、2人で。


「来年も宜しく、メリー」


 目をテレビに戻し、メリーへ顔を向けず静かにその言葉を伝える。


「来年も宜しく、蓮子」


 彼女もまた、蓮子へ顔を向けず、言葉を返す。


 1月、1日。


 テレビから最後の鐘の音が鳴り、今年が終わりを告げ、新しい年が始まる。

 そして2人は、今度は互いに顔を見合わせ、まるで最初から分かってたかのように、同時に同じ挨拶を交わした。


「今年も宜しく、メリー」


「今年も宜しく、蓮子」


 一拍置き、2人は互いに微笑んだ。





 ――夜の街。


 年が明け、普段より騒がしい深夜の街。 同時刻、2人の少女が年明けの挨拶を交わした頃、彼女達のいるマンションの屋上に日傘を差した1人の少女が立っていた。


 少女はいつもより騒がしく、人口の光輝く街を眺めている。


 冷たい一陣の風が吹き、金色の髪が小さく揺れ、少女は静かに呟き始めた。


「果たして、秘封の幻想を追い求める貴女達は、次に何を視るのかしら?」


 クスリ、と少女は微笑し、幻想の世界へと姿を消した。

如何でしたでしょうか?


正直至らぬ点が多いだろうなぁ…(汗)


だけど書いてみたかったんだ、後悔は多分三時間後にする(笑)


それでは、まだ年を迎えていない人はよいお年を。


迎えた人は、今年もよい年でありますように。

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