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(4)愛の想い


 その少女を見て、仙堂愛乃は驚きを隠せなかった。

 自分と同等、あるいはそれ以上の人物が同じ学年に存在するとは思ってもみなかった。

 その少女はどこの事務所にも所属していないただの一般人だという。

 訊けば、どうしても《ミス涼月》にならなくてはならない事情があるらしい。

 それは愛乃も同じだ。愛乃も《ミス涼月》となり、特権を手に入れなければならかった。

 それが、愛乃がアイドルを続けられる唯一の方法で、両親と交わした約束だったのだ。

 けれど、愛乃は負けた。

 準ミスとなった。しかし勝負は大敗だった。

 二位では意味が無いのだ。二位の特権では愛乃はアイドルを続けられないのだ。

 結果を両親に告げることに躊躇った。

 結果を話せば間違いなく愛乃はアイドルを止めらされる。アイドル仙堂愛乃は、明日からただの女子高生となってしまうのだ。

 愛乃は納得がいかなかった。

 自分よりも輝いて見えた彼女――彼の正体を知ってしまった。

 納得できないのは相手が男だったから?

 それもある。

 騙されたから?

 それもあるかも知れない。でも一番の理由はそれじゃない。

 認めたくはなかったが、愛乃は惹かれていたのだ。

 あの佐倉ハルという白髪の美少女に、一瞬で心を奪われていた。

 けれどその少女は、本当は男だった。

 佐倉ハルが気になって調べた。答えはすぐに見つかり、本人も否定しなかった。

 悔しかった。正体を隠し、皆を騙すようなやつに自分のアイドルとしての明日が奪われたことが。

 結局、愛乃は両親に連絡はしなかった。

 あの二人の事だ、もう結果は知っているだろう。

 それでも愛乃は一日だけ間を置くことにした。

 結果はもう出てしまっていたが、それでも愛乃は最後まで諦められなかった。


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