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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

婚約破棄された瞬間に「闇金の龍」だった前世を思い出したので、王家の借金をトイチの複利で取り立てます〜国家予算3年分を払えないなら、王都も王権も差し押さえ。殿下は洞窟で強制労働のお時間です〜

作者: 羊宮恵
掲載日:2026/04/12

「ミリス・アバルト・キャストレイ! 貴様のような性格が腐敗した女との婚約を、今この瞬間をもって破棄する!」


 ここはクロード学園の卒業記念パーティー。

 豪華で絢爛なシャンデリアの下で、第一王子ファルカは宣言した。その腕の中には、びくびくと震える可憐な美少女が一人。


「なるほど、婚約破棄……ですか」


 ミリスの思考には衝撃と共に「前世の記憶」が雪崩のように流れ込んでくる。

 そうだった、私は日本という国で、裏社会の金貸し……通称「裏闇の龍」として恐れられていた男だった。


(……なんだろう、この甘っちょろい茶番は)


 ミリス……いや、かつての「裏闇の龍」の意識が覚醒した。

 ファルカは勝ち誇った笑みを浮かべながら、ミリスがどうやって可憐な美少女……リルカをいじめていたのか……捏造された証拠を並べ立て、笑った。


「慰謝料として、キャストレイ公爵家には領地の半分を返上してもらう! 文句はあるまい?」


 周囲の貴族たちはミリスを見つめる。本当にそんなことを? と。

 だがしかし、ミリスは冷たい笑みを浮かべ、両手をぱちんっ、と叩いた。そして笑顔でこう言った。 


「殿下? 婚約破棄は承知いたしましたわ。ですが、その前に……まずは『お借入』の件をお片付けしましょうか♡」

「……何?」


 ミリスは胸元から、魔力印鑑の押された一枚の書類を取り出し、その場で広げた。それは、王家がキャストレイ公爵家から秘密裏に行っていた「軍事費の借入」の借用書だった。


「この十五年間で、王家がキャストレイ公爵家から借り入れた総額は金貨十万枚と少し……利息は十日で一割。いわゆる『トイチ』でございます、お分かりですね? 契約書には『婚約関係が解消された場合、即座に一括返済する』との文字がございますね」

「なっ……そんなもの、父上が勝手に結んだ……!」

「……さて、複利で計算しますと、金貨の枚数は23桁に達します。この国の全土を金塊で埋め尽くしても足りませんが……どうされます? 払えますか?♡」

エドワードの顔から血の気が引いていく。


「ま、待て! 待つんだ! そんな大金、とても……」

「払えないのであれば、私にも少し考えがあります。そうですね……担保を没収いたします。この国の王権および王都の全不動産。そうすれば今夜より、このパーティー会場も私の所有物ですね。不法占拠で訴えることも可能ですよ? 払えないのなら……いえ、それよりも」

「う……ああああああ!」


 ミリスは叫ぶファルカを尻目に、リルカの側へ優雅に歩み寄り、震える喉元に指を突きつけた。


「腕の中爵令嬢様、王太子妃という『資産』を見込んで近づいたのでしょうが……残念でしたね。今の彼は私への借金で首が回らない『多重債務者』……いえ、ただのカスです。……お二人で仲良く、洞窟で働いてもらい返していただきますね」

「なっ、嫌よ! 嫌! 私は王妃様になりたかっただけなのに! 私は関係ないでしょう!?」

 

 リルカは叫んで逃亡を図るが、ミリスが軽く合図を送ると、公爵家の私兵が現れ、二人を取り押さえた。


(念の為にと用意していたのが役に立たちましたね。それにしても……契約時に文字を読まないからこうなるのですよ?)


「フフッ……」


 数日後……。

 王家は破産し、キャストレイ公爵家の傘下に入った。実質全てキャストレイ公爵家の物だ。

 ファルカとリルカたちは過酷な労働環境で知られる洞窟へ送られた。

 一方で、ミリスは公爵家の実権を握り、冷徹な手腕で国を立て直していく。


「愛? 信頼? そんな不確かなものより、やっぱり『契約書』が一番信用できるわね」


 彼女の部屋には殺風景な光景とともに、今日も返済を乞う貴族たちの悲鳴が心地よく響いているのだった。

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