97話 二人の剣士②
二人の男装の剣士と里見咲良の間に入り、二人のの剣を自身の双剣で受け止めた。しかし勢いが強くとてもじゃないが受けきれない…!
「くっ!」
私は弾き飛ばされ後ろにいた里見咲良を巻き込んで転がった。
「くふっ!」
「うぐぅぅ!」
二人共苦痛に表情が歪む。今の一撃は効いたわ…。そんな中、里見咲良が私に向かって喋りかけてきた。
「どうして…どうして私を助けるんですっ!?私が勝手に自滅しただけじゃないですかっ!それなのに体を張ってまで私を庇う必要ないじゃないですかっ!私たちは敵同士ですのに…。」
里見咲良はそう叫んだ。彼女らしくない感情的な発言だ。私としてはそう不思議な行為ではなかったのだけれど、彼女からしたら怒るポイントだったのだろう。でも確かに今までの私たちの関係を考えれば当然かもしれない。出会った当初から剣を合わせてきた。最近少しは仲良くなれたつもりだったけれど、彼女からしたらミナト以外は敵なのだろう。そう彼女からしたら………。私は立ち上がりながら告げる。
「里見咲良…アナタが私の事をどう思っているのかは知らないわ。でもミナトがアナタを認めている。私は仲間であるミナトを信じてる。そのミナトが信じているのだもの。だから私もアナタの事を信じるわ。それに最近のアナタは信じるに値するわ。もう以前までの歪み合う関係じゃない。私たちは協力し合える仲間になれるはずよ!」
私は自らの胸の内を正直に話した。彼女がどう感じてくれるかはわからない。少しでも私の気持ちを受け取ってくれるといいのだけれど。
「それでも…私は…。」
後一歩届いていないような気がする。後一歩が…!
「おしゃべりはその辺でいいかな?」
「死ぬ覚悟はできましたか?」
二人の剣士がこちらを見据える。剣をこちらに向け殺気を放つ。気を抜くと動けなくなりそうだ。私は二人を見ながら立ち上がる。里見咲良はまだ立てない。
「里見咲良。私はアナタの敵じゃないわ。今までは歪みあっていたかもしれない。でも今となっては昔の話よ。ミナトほどとは言わないまでも私の事を信用してくれないかしら。アナタの期待に応えるくらいの力は私にもあるわ。だからお願い!私に力を貸して!」
「………。」
里見咲良は無言で立ち上がった。そして一枚のカードを取り出し、それがボンッと音を立てて刀へと変わった。その表情は力強くこちらを見つめていた。
「私は今まで一人で戦ってきました。だからこれからも一人なんだと思っていました。でももう違うんですね。貴方を信じてもいいんですね?」
「ええ、任せて。私はアナタを裏切らない。いきましょう、咲良。」
「!………はい、ネリネさん!」
私たちは前を向く。今度こそ二人で戦うために。
「アハハ!やっとやる気出した?今度こそ本気でやろう!」
「あまり私たちを失望させないでください。いきます。」
二人がこちらへ走り出す。私たちも同時に走り出す。私の正面には南雲八雲。咲良の前には我妻凛。私は目の前の南雲八雲目掛け剣を振るう。それを南雲八雲は素早い剣捌きで私の剣を弾いた。弾いた勢いのまま私へ斬りつける。私も負けじと剣に剣をぶつけて弾いた。空いているもう片方の剣で南雲八雲本人を斬りつける。しかし体をそらされ、かわされてしまった。体をそらした不安定な状態からも南雲八雲は斬りつけてきた。その後も右、左、上、下と自由自在な剣術に翻弄される。私はそれに冷静に対処し剣に剣を合わせて防ぐ。その後素早い剣の応酬が続く。
「アハハハハハ!!楽しい!楽しいよお姉さん!私たちについて来れる人なんて今までいなかったのに!すごく楽しいよ!じゃあスピードあげるよ!」
本人の言う通り、剣を振る速度が上がった。あの細腕でどんな腕力しているだろうか!私も剣を振る速度を上げる。魔力で速度を上げている私と互角。剣同士がぶつかり合い火花が散る。このままでは埒が開かない。私は横薙ぎに大きく斬った。それを南雲八雲はバックステップでかわした。着地した瞬間を狙い、
「バンクス流、四の剣、疾風!」
魔力をさらに上乗せした高速の突き。その一撃は名の通り疾風の如く。突きを見て目を丸くした南雲八雲。その後表情を変え、ニヤリとし、
「ハハハッ!」
自分の剣を前に出し、私の剣と合わせた。そして私の剣をそのまま横へずらした。
「!?」
私の突きに剣を合わせるだけでなく、横へそらすとは!?恐ろしいまでの剣の技術。いざという時の冷静な対応。ただ戦闘を楽しんでいるだけじゃないわね。
「今のはちょっとやばかったよ、お姉さん!でもそういう技があるんならもっともっと見せて欲しいな!そっちの方が絶対楽しいから!私からもいくよ!」
そう言うと剣を投げてきた!?唯一の武器を手放すとはどういうことだろうか!?咄嗟のことで反応が遅れたが横へ移動し、こちらへ飛んでくる剣を避けた。すると背後から、
「今少しびっくりしたね。それが隙になってるよ!」
という声が聞こえた。
私は目の前で一人のスーツの女性と斬り合っていました。名前は我妻凛。スラっと背の高い女の私から見てもカッコいい人でした。見た目通り、その剣技は凄まじいの一言でした。私ですら相手の剣に剣を当てて防ぐだけで攻撃へ移れません。隣のネリネさんがどうなっているか気になりますが、少しでもよそ見をしたらやられそうですっ!
「美しい太刀筋ですね。やはり先ほどのナイフよりもあなたには刀が似合っていますね。」
「お褒めいただき、ありがとうございます。私としてはナイフも気に入っているのですが…。」
「ナイフはナイフでいいと思います。ですがリーチが足りません。リーチの外からの攻撃に対して受ける事はできても攻撃に移れません。その点で言えば刀は良いものです。女である我が身でも扱える長さであり、殺傷力もあります。鍛えれば鍛えるほどにこれ以上の武器はないと確信できます。」
長台詞の間も攻撃の手を緩めたりしてきませんでした。むしろ剣技がより洗練されていきます!
「先ほどとは印象が違いますね。思ったよりも饒舌ですね。」
「これは失礼。私も好敵手と出会えて些か興奮しているようです。さぁ、私にもっと見せてください!アナタの剣を!剣戟を!」
頬を赤く染めてこちらへ攻め込む我妻さん。正直ちょっと怖いです!互いの剣がキンッと音を立ててぶつかり合い、激しさを増します。このままでは埒があきません。私はここで攻勢にでることにします。
「………花筏。」
花筏は複数人に分裂したように見せる技で、どれが本物かわからないようにします。今回の数は四人!一斉に攻撃をしかけます!
「はぁ!」
「やはりアナタは素晴らしい!どれが本物かわかりません!ですが…。」
我妻さんは一度刀を鞘に戻しました。そして、一気にその刀を抜きました。これは…抜刀術!?高速の太刀により私の攻撃は分身の分もあわせて弾かれました。
「…居合、燕鴉。最速の剣をお見せいたしました。いかがでしたでしょうか?我が剣は!」
「流石ですね…。私の技を力技で…!」
「アナタの技も見極め難い剣でした。南雲では防げなかったかもしれませんね。アナタの相手が私で本当によかった。」
鋭い殺気を飛ばす彼女。先程よりも集中しているのが見てわかります。容易な行動は命取りですね。
「私達の戦いはまだまだ始まったばかり!さぁさぁ死合いましょう、死合いましょう!」
私たちの戦いはこらからさらに熾烈なものになるでしょう。




