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96話 二人の剣士

 ミナトが飛び去ってから正面を見る。敵対するは男性のような格好をした二人の女剣士。先ほどの一撃で手練れだとわかる。相手も二人だがこちらも二人。里見咲良と力を合わせなければ勝てないだろう。だが私たちは普段忌み嫌っている。呼吸を合わせることができるだろうか?

「里見咲良、協力して敵を倒しましょう。私に合わせて。」

「合わせるとしたらアナタです。そもそもとして協力など必要ありません。私だけで倒せます。」

「なっ!?敵を侮らないで!相当な実力者よ。二人で協力していきましょう!」

「強敵なのはわかります。でもアナタと協力するより一人の方が力を発揮できます。はっきり言って邪魔です。」

「アナタねぇ!こんな時に何を言って…!」

 と私が里見咲良の方に近寄ろうとした瞬間。

「こんな時によそ見とは。」

「バカなんじゃないの〜?」

 二人の女剣士が斬りかかってきた。編み込んでる女性が私に斬り込む。ギリギリのところで剣で受けることができた。しかし重い一撃。油断していると剣が弾き飛ばされかねない。もう一人の短い髪の女性は里見咲良に斬りかかった。里見咲良も顔を歪めてナイフで受けている。よくナイフで剣をうけられるわね。剣を受けられた二人はそのままバックステップで距離を取った。

「私達の一撃を受けるとは中々の手練れですね。名乗りをあげさせてもらいます。私は我妻凛。流派は貴方院流。」

 と短い髪の女性。

「私の名前は南雲八雲。流派は同じ貴方院流だよ!」

 と編み込みの女性。

 二人がそれぞれ名乗りをあげる。桃花を誘拐する組織の一員にしてはまっすぐな行為。

「名乗られたからにはこちらも名乗らねばならないわね。私はネリネ。流派はバンクス流。二振りの剣で相手するわ。」

「…私は里見咲良です。流派は里見式です。」

 私たちも名乗り返す。里見咲良も名乗り返したのは少し意外だ。私たちはそれぞれ構え相手に対峙する。

「それでは…。」

「いくよ!」

 我妻凛と南雲八雲が私たちへ斬りかかる。それを私たちはかわす。それぞれ内側へ…。

「なっ!?」

「きゃ!?」

 互いに内側に避けたので、互いの体がぶつかり合ってしまった。

「私の方へ避けないでください!非常に邪魔です。」

「それはこっちの台詞よ!危ないわ。」

 私達の呼吸が合っていない。このままではマズイわ。

「そんな調子では我々は倒せませんよ!」

「くっ!?」

 我妻凛の剣戟が私を襲う。初撃から分かっていたことだが、我妻凛の剣は早く鋭い。里見咲良と比べても遜色ないほどだ。それに…。

「次は私だよ!あはは!」

 入れ替わりで南雲八雲が斬り込んでくる。この連携がどうにも掴みづらい。片方の剣に合わせようとするともう片方が出てくる。二人を相手にしながらよく交換できるものだ。息のあった連携攻撃。とても戦いづらい。

「雷纏いし眷属よ。群がる敵を打ち払え!サンダーボール!」

 苦し紛れに魔法を打ってみる。剣を交えながら魔法を打たれるとは思っていなかったのか、驚いた顔で飛び退いた。里見咲良同様、魔法には不慣れなのかもしれない。

「はぁ!」

 この機を逃さずこちらから攻める。我妻凛にたいして斬り込む。すぐに体勢を崩したままの我妻凛に防がれる。こちらの優勢だ。このまま押し切る!

「やらせないよ!やぁ!」

 南雲八雲が私の剣を防ぐ。さっきまで里見咲良と斬り合っていたはずなのに。里見咲良は何をやっているの。少し遅れて里見咲良が南雲八雲に追いついてきた。

「ちょこまかと動かないでください!」

「どこを狙ってるの〜?」

 里見咲良のナイフと私の剣を同時に受ける。私達の息が合っていないこともあり、こちらの攻撃にキレがない。確かにこれなら攻撃も受けきられてしまうだろう。その横から我妻凛が私目掛けて剣を振るう。それを体を逸らしてかわす。

「連携が悪いですね。圧倒的に相手を尊重する気持ちが足りませんね。」

「そんなんで私たちに勝てるわけないんだよ!」

 彼女たちの連携は凄まじい。このままではやられるのは時間の問題…。

「このままやられる私ではありません!」

 里見咲良が一枚のカードを取り出してそれが手元で爆発した。その後手には二本目のナイフが握られていた。

「これで終わりです。桜花散乱!」

 手に握っていたナイフを投げ出した。その後もナイフが次々と里見咲良の手に現れて、投げ出される。

「面白い手品だね!」

「避けるのも容易ではありませんね。」

 二人は剣で弾いたり体を横は逸らしたりして避けている。見たところ余裕でかわしているように見える。

「くっ!はぁっ!」

 里見咲良がナイフを投げる速度を上げた。見るからに自分の力を超えた速度。無理をしているのが丸わかりだ。

「里見咲良、無茶よ!腕に負担がかかりすぎよ!」

「黙っていてください!アナタには頼りません!」

 里見咲良はムキになっている。このままではいずれ破滅する。速度は上がったが当たる気配はなし。腕に負担がかかっているのが分かっているのか相手二人もかわすばかりでこちらへ攻め込もうとしない。そして、ついに…。

「あぁっ!」

 限界が来たのか里見咲良が苦悶の表情を浮かべ、ナイフを投げるのを止めた。その隙を見逃す敵ではない。二人がかりで里見咲良を襲う…!

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