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92話 能力使い

 車を降りて敵と対峙する俺たち。目の前には男が三人。車の近くには俺とネリネとひよりと運転手さん。背後にはミルと里見さんといった配置だ。男達の背後の車に恐らく桃花が乗っているのだろう。

「どうして桃花を攫う!お前達とは何も関係ないはずだ!」

 そう叫ばずにはいられなかった。俺は男達にそう問いかける。手ぶらな男は余裕そうな顔で、

「それをアナタ達が知る必要はありませーん。何故ならここで死ぬからデース。」

 そう言うと手ぶらな男は手を振った。目の前に先の尖った氷が何本も現れた。一本一本が太い。手ぶらな男はもう一度手を振り、目の前の氷を俺たちの方へ発射した。氷は俺たちの方へ迫ってくる。俺とネリネはかわすことができたが、戦闘経験のないひよりが危ない!

「こちらです!」

 運転手さんはひよりを抱えてコンテナの後ろに隠れた。運転手さん動きが俊敏だ。ミルと里見さんはコンテナを盾にし氷をやり過ごす。

「ひより!運転手!下がって!前は危ないわ!逆に里見咲良は前に来なさい!」

「わかった!」

「わかりました。」

「アナタの言うことを聞くのは嫌ですがわかりました。」

 即座に隊列が変わる。場所はコンテナが多く並んでいる建物内。うまくコンテナを使えば盾になってくれるはず。

「いくぞ!」

 俺は首飾りから剣を展開させて男達へ迫る。ネリネも同じように剣を展開させて男達へ。里見さんは懐からナイフを取り出して少し後ろから男達へ迫る。すると魔法使いの男が一歩下がり左右にいたサブマシンガンを持った男達がこちらへ銃口を向けた。そのまま発射する。何発、何十発、何百発も弾が発射される。俺たちはその弾を、

「フレアシルド!」

 ネリネと里見さんは銃弾を見てかわせるが、俺は見切れない。なので魔法で防御する。そのほうが安全だ。ただ見ていた魔法使いの男は口元をニヤリと歪め、先ほどと同じように手を振った。すると天井から雷が降り注いできた。威力のある雷が俺たちを襲う。目の前からはサブマシンガの銃弾が。上からは雷の攻撃と、縦と横の攻撃をかわさなくてはならない。どうするべきか…。このままつっきるか。

「燃え上がれ!俺の体!豪炎身!」

 俺は体の内側から炎を出し、この体に纏わせた。俺の体は炎に包まれ周りのものを燃やす。雷が俺に当たったが、俺の炎の勢いの方が強かったようで雷は消えた。一方二人はと言うと

「はぁっ!雷光斬。」

 ネリネは銃弾を避けながら器用に自分の前の雷を攻撃する。雷は消え銃弾だけになる。よくもまぁうまくできるものだ。

「ふん。」

 里見さんは銃弾を避けながらそのまま斜めに飛び雷も避けた。美しい動きに一瞬見惚れてしまいそうになる。

 俺たち三人とも雷の攻撃をなんとかする。その後俺たちは三人の男達の立ち位置へ辿り着く。それでも魔法使いの男の表情は変わらない。表情は気になるところだがこのままいかせてもらう!

「覚悟!」

 俺とネリネ、里見さんがそれぞれ男達へ武器をぶつける。命は取らない。あくまで気絶してもらうだけだ。その瞬間、

「ぐっ!」

 俺たちの攻撃は目の前に発生した円形のシールドに阻まれてしまった。円形のシールドに弾かれた俺たちは後ろへ飛ばされたがなんとか着地する。

「今のシールドは厄介だな。」

「私に任せてください!」

 後方にいたミルがコンテナの影からコンテナの上に移動していた。杖を取り出し詠唱を始めた。

「突き穿て聖槍、邪悪なる存在に裁きを!プリズムランス!」

 ミルが発動させた魔法は光り輝く大きな槍。それが相手の男三人にむけて投げられる。左右にいたサブマシンガンを持った男達は慌てて車の方へ逃げる。魔法使いの男は笑みを消し手を振った。すると目の前に円形のシールドが三枚重なり展開される。聖なる槍が円形の盾を貫く。一枚、二枚。そして三枚目を貫く。ただ、聖なる槍も威力が弱まっている。魔法使いの男はまた笑みを浮かべ手を振った。地面から岩の塊が出てきて槍を防ぐ。そこで槍は消滅した。

「なぬっ!」

 ミルが驚愕した声を出した。まさか止められるとは思わなかったのだろう。俺とネリネは槍が消滅したと同時に魔法使いの男へ走り出す。槍を食い止めて安堵してる隙を狙う。俺とネリネは同時に剣を振った。しかし、魔法使いの男が直前で手を振り男の前に赤色の球体を出現させた。そしてそれが爆発した。その爆発が俺とネリネを直撃した。威力が弱かったのが幸いしダメージは少なかったが、攻撃は中断させられた。ただ、距離が近かったこともあってか、魔法使いの男も少しダメージが入ったようだ。彼の魔法は自分自身へもダメージが出るようだ。

「お前達作戦変更デース。先にアジトへもどーりなさーい!ここは私がどうにかしマース!」

 それを聞いた残りの男達は車を走らせ逃走した。マズイ、ここで逃げられると追う手段がない!俺が足に魔力を込めて車を追う。

「行かーせると思いマースか!?」

 魔法使いの男が腕を振り魔法を発動させる。先の尖った氷が俺へと向かってくる。くっ!どうする。反応が少し遅れた!こちらの魔法は間に合わない!どうする!?

「ロッカシールド!」

 俺と氷の間に盾が出現し盾が氷を防いでくれた。

「助かる!ミル!」

「ミナト君達は先に行ってください!この変なのは私が相手します。じゃなきゃ私の気がすみません!」

「すまない、助かる!」

 俺はそのまま駆け抜け、車を追った。ネリネと里見さんもそれについてきた。

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