90話 追跡
桃花を攫った車を追いかけようとしたが、車がどこへ行ったかわからない。俺たちが途方にくれていると背後から一台の車が現れた。見覚えのある車だ。乗っていたのは以前お世話になったお爺さんだった。
「皆さん!乗ってください!」
その一声で全員が車に乗り込む。そして車がかなりのスピードで走り出す。どこへ、向かっているのだろうか。
「咲良お嬢様から緊急の連絡があったものですから、こちらに参りました。桃花様が攫われたようですね。」
俺は拳をぎゅっと強く握りしめた。
「ええ、俺たちの油断が原因です。」
「自分たちを責めないでください。悪いのは実行犯たる奴らですから。」
そう慰めてくれた。だが今はそれが辛い。
「このままお嬢様方を追います。咲良お嬢様の命により桃花様には発信機を付けさせていただいています。ですので今いる場所は特定できています。」
「本当ですか!?」
里見さん、発信機を付けていたのか!その事実は驚きだが、今はそれに感謝だ。
「桃花は今どこなんです?近くにいるんですか?」
「まだ遠くへ行っていません。近くにいます。ただ相手も速度を出しているようで中々追いつけません。」
「くそっ!」
つい悪態をついてしまう。俺はなんて無力なんだ。
「敵は海の方へ向かっています。目的はわかりませんが。」
「海ですか。」
「船に乗られると厄介です。急ぎます。」
そう言うとお爺さんは更にスピードを上げた。後ろでひよりがひゃっ!と言った。スピード出すぎ!一般道をこのスピードで走ったら事故起こすよ!と思ったがそこはテクニックでカバーしているようだ。そういえば、先行している里見さんとミルはどうしただろうか。追いつけないでいるのだろうか?
「敵が止まりました!海近くの工場跡地です。そこへ向かいます。」
「!わかりました!」
ミルと里見さんが足止めしたのだろうか?とにかく相手の車が止まったことは朗報だ。これから俺たちも合流できる。
「着いたら俺とネリネが先行する。ひよりは後方でサポートして欲しい。」
「ええ、わかったわ。」
「わかった。桃花を絶対助けようね!」
簡単にだが作戦も決めた。後は着くの待つだけ。程なくして
「見えました。あの建物です。突っ込みます。」
「突っ込む?うわああああ。」
そのまま建物の入口から中へと突っ込んだ。すると
「!?」
大きな火球が目の前に存在しこちらへ迫ってきていた。このままじゃぶつかる!?そう思った矢先、目の前は大きな盾が出現し火球を防いだ。車はそこで急ブレーキをかけ止まった。急いで外に飛び出すと目の前には桃花を攫った黒い車が止まっていた。そして車の前にはサブマシンガンを構えた男が二人と何も持っていない男が一人。
「ミナト君!」
背後から俺を呼ぶ声がする。チラリと見るとミルと里見さんがコンテナの後ろに隠れていた。




