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88話 焼きうどん

 家に帰るといい匂いがした。どうやら晩御飯を作ってくれたみたいだ。

「みんなただいま。いい匂いだね。」

「皆さんお帰りなさい。お怪我はありませんか?」

 桃花が俺たちのことをペタペタ触ってくる。正直ちょっとくすぐったい。

「怪我はないから大丈夫だよ。ありがとう桃花。心配してくれて。」

「当然です。私のせいで戦地へ行かせてしまったのですから…。」

「気にするなって。大丈夫だったんだから。」

 気にする桃花の頭をポンポンと撫でてやる。すると少しは落ち着いたのか表情が柔らかくなった。

「コホン!ラブコメなら他所でやってくれませんか?砂糖を吐きそうです。」

 ミルが突っかかって来た。それを聞いて桃花は顔を赤くして台所へ避難した。

「ラブコメなんてした覚えないぞ。」

「無自覚なのが一番タチが悪いんですよ。ちょっとは自覚してください。」

「なんだよ、それ…。」

 ミルによくわからないことを言われた。まぁ頭の片隅にでも置いとけばいいだろう。

「あ、片桐君おかえりなさい。ご飯にします?お風呂にします?それとも…。」

「ご飯にしようかな!お腹すいちゃってさ!」

「むむむ…。わかりました。今日は特製焼きうどんです!たくさん食べてくださいね!」

「里見さんが作ってくれたの?楽しみだなぁ。」

「ミナトの分に睡眠薬とか盛ってないでしょうね?」

「あら心外ですわ。そういうことはもうしないと決めましたの。何も入っていませんよ。」

 昔だったら入っていたかもしれないのかと内心冷や汗をかいた。

「みな兄おかえりー!咲良先輩ってば料理すごい上手なんだよ!いろんな野菜テキパキ切ってた!」

「そうか。お前が言うんなら間違いないな。それは楽しみだ。」

 配膳くらいはと思って台所へ行ったがやんわり断られてしまった。どうやら俺は座っていろということらしい。そして目の前に焼きうどんが並べられる。ソースのいい香りがして来た。全員分並べ終え、皆席に着いた。

「それでは皆さんいただきましょう。いただきます。」

『いただきます!』

 俺たちは食べ始めた。これは…。

「うまい!里見さん、これおいしいよ!」

「喜んでもらえてよかったです!」

 麺に絡んだソースが絶妙な味を出している。そして切られた野菜がシャキシャキして食べていて飽きない。これはおいしい。

「初めて食べたけどおいしいわね。」

「あら?もっと褒めてくれてもいいんですよ?」

「褒めてるわよ、最大限ね。とてもおいしいわ。」

「ふふ。ありがとうございます。」

 なんで食べてるだけなのに含みのあるような会話になるんだろう。

「ところでみな兄、今日の成果は何かあったの?」

 そうだった。里見さんに報告しなきゃいけないんだった。

「そうだな。直接事件に関わりそうな情報はなかった。ただ組織名はわかった。組織名はアンダーコア。」

「アンダーコアですね。早速家の者に調べさせます。」

「一応運転手さんには伝えてあるんだ。聞かれたから。」

「そうでしたの。私からもお願いしてみます。」

 これで進展してくれればいいけど。


 ご飯を食べ終え里見さんは家へ帰って行った。送ってくと言ったが車が近くにあるそうだ。そのまま風呂に入って自室へ行った。やはり自分の空間は落ち着くな。ちょっと勉強でもしようかなどうしようかなと思っていると、コンコンコン、とドアをノックする音が聞こえて来た。

「はーいどうぞー。」

 そう返事をするとそこにいたのは桃花だった。その手には枕が握られている。これはまさか。

「先輩。今日も一緒に寝てもいいですか?前回がとても気持ちよく眠れたものですから。」

 少し顔が赤くなっている。少し恥ずかしいのかもしれない。

「あー、そうか。だったら仕方ないか。いいよ、寝よう。」

「ありがとうございます!」

 俺は先に布団に入る。そしてその後から桃花が、

「失礼します。よいしょ。」

 そう言いながら布団に入って来た。俺はやはり反対側ギリギリの位置に寝転がった。俺の気持ちを知ってか知らずか、桃花は俺に近い位置に寝転がっている。そして服の裾を握り始めた。

「先輩。今日も私のために危険な目にあわせてしまいごめんなさい。そしてありがとうございます。こんな私を助けてくれて。」

「桃花…。」

 桃花も自分で何もできないことがもどかしいんだろう。頼ることしかできないもんな。でも、それは桃花が気にすることじゃない。悪いのはアンダーコアの連中だ。それで桃花が気を病むのは間違っている。

「桃花。大丈夫。俺たちはいつでも桃花の味方だ。安心してれていい。」

「はい。信じています。先輩たちは私の正義の味方だって。」

「正義の味方はちょっと恥ずかしいな。でも、うん。そうでいられるようにがんばるよ。

「はい!」

 その後しばらく黙っているとすぅーすぅー寝息が聞こえて来た。どうやら桃花は眠ったようだ。俺は桃花の頭を優しく撫でた。

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