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83話 校内護衛

 ネリネとミルに別れを告げ、学校へ入る。流石に学校内は、安全だよな?

「片桐君。校内だからって安全とは限りませんよ。注意はしておいた方がいいでしょう。」

「まさか学校関係者に敵がいるって言うのか?流石に考えすぎじゃない?」

「こういう時は考えすぎの方がいいくらいですよ。何かあってからでは遅いですから。」

 まぁ確かに里見さんの言う通りだ。何が起こるかわからない。警戒だけでもしておくのがいいだろう。

「もう、二人とも!そういう話は聞こえないとこでしてよ。桃花が怖がっちゃうでしょ!」

 ひよりが話に割り込んできた。確かに学校でも危ないって考えちゃうと桃花本人としては怖いか。

「ひより。おふたりとも私のために考えてくれてるんだから失礼でしょ。それともう怖くないから。大丈夫。」

 と、ひよりに対して桃花が話す。本人の話だと大丈夫みたいだが、それを本気にしない方がいいだろう。多少は強がってるところがあると思う。発言にも気を使わなくちゃな。

「じゃあ里見さん。とりあえず俺たちは部活へ行くよ。放課後またお願いするよ。」

「いいえ、片桐君。お昼も一緒にとったほうがいいでしょう。敵に護衛がついてるって思わせるのも効果的かと。」

「なるほど、確かにそうかもしれない。そういうことで一緒に昼食べよう、桃花。」

「せ、先輩と二人きりでですか!?えーとえーと、よろしくお願いします!」

「桃花ちゃん、違いますよ?私と片桐君と桃花ちゃんの三人で食べるんです。三人!」

「わ、私もいれてよ!」

「四人で食べような、四人で!」

 こうして昼は四人で食べることが決まったのだった。


 そうしてお昼休み。俺と里見さんは弁当の準備をする。コレから一年生の教室まで桃花達を迎えに行くんだ。

「湊、飯食おうぜ〜。腹へっちまったよ。」

 あ、忘れてた。いつも樫村と立花と里見さんの四人でご飯食べてるんだった。

「あー、悪い!俺と里見さんは今日からしばらく桃花達とご飯食べることになったんだ。だから立花と二人で食べてくれ。」

「ちょっと!宗弥と二人なんて冗談じゃないわ。私もそっちに行くわよ。」

「ちょっと桃花からの相談事があるらしいからここは見送ってくれ!」

「そういうことじゃ仕方ないね。立花ちゃん、大人しく二人で食べよ?」

「は?嫌よ。別の友達と食べるからいい。宗弥は一人で食べてなさい。」

「えっ!俺ぼっち飯なの…?」

 ショックを受けてる樫村を置いて、俺と里見さんは教室を後にした。

 桃花達の所属しているクラスへむかう。上級生が来ることがあまりないのか一年生達の視線を感じる。いや、隣を歩いている里見さんに視線が集中している。それもそうか。里見さんはずば抜けて容姿がいい。男女問わず見てしまうのも頷ける。そうして桃花達のクラスに到着した。クラスの中を覗いてみるとクラス内にいたひよりと目があった。そして桃花に声をかけてこちらへ歩いてきた。

「みな兄、咲良さん、ようこそ我がクラスへ!歓迎するよ!」

「お二人ともご足労いただきありがとうございます。ウチのクラスで食べますか?」

「二年生がいたら周りが落ち着かないだろう?だから俺たちは中庭へ行こう。」

「わかりました。お弁当持ってきますね。」

 二人は教室内に弁当をとりに戻った。そして帰ってきた。

「お待たせしました。行きましょう。」

 桃花とひよりと合流し、中庭を目指した。なんだか来た時より多くの視線を感じるな。と思ったがやはりコレも俺ではなくひよりと桃花と里見さんに集中しているっぽい。いつも一緒にいるから忘れがちだがひよりと桃花は学校でも有名な美人らしい。誰かがそう言っていた。確かに二人とも容姿は整っている。ひよりは知らんが桃花は中学時代モテていた。桃花はよく告白されていたとひよりが言っていた。俺が知らないだけでひよりも告白されまくりなのだろうか?そうだとすると少しモヤっとする。何故モヤっとするかは謎だが。そう考えてるうちに中庭についた。俺たちの他にも昼食をとっている生徒達もいる。ここなら目立つこともないだろう。

「この辺で食べることにしよう。」

「わかったー。じゃあお昼にしよう!」

「それでは、いただきます。」

『いただきます』

 俺たちは弁当を開けて食べ始めた。今日の弁当は桃花が作ってくれたものだ。いつもなら俺は弁当買ってるからな。

「朝から気になっていたのですが…。」

 里見さんが言い出した。なんだろう?

「朝桃花ちゃんが片桐君の家から一緒に出てきたのはどうしてでしょう?お弁当の中身も同じようですし。」

「!!??」

 桃花が顔を赤くして俯いてしまった。どうしたんだ?

「ああ、それなら先日から桃花は俺の家に住むことになったんだ。他の人には内緒にしてくれよ。」

「!?」

 里見さんが珍しく目を大きくしてびっくりしている。そこまでおかしいこと言ったかな。

「みな兄にはわかんないと思うけど、結構なカミングアウトだよ。」

「え、そうか?」

「そうですよ!え、なんですか?あの雌猫さん達だけでなく桃花ちゃんまで住まわせたんですか?」

「えと、そういうことになるね。桃花が一緒に住みたいって言うから。」

「先輩、言い過ぎです。そこまで言わなくていいですから!!」

 桃花から怒られてしまった。何故?

「そうですか…。子うさぎだと思って放っておいたら桃花ちゃんも雌猫になりましたか、そうですか。」

「さ里見さん?ちょっと雰囲気が怖いよ?」

「いえ、別に。私はどうもしてませんよ。いつも通り、平常です。」

 そ、そうは見えない。何かの感情を必死に抑えているようなそんな感じがする。

「ふぅ…。朝の件はわかりました。納得しましょう。それでは今後の学校内での方針ですが。」

 そこで一旦区切る。確かに大事なところだ。

「夏休みまで約二週間。その間はお昼は一緒にとりましょう。部活はできるだけ片桐君と桃花ちゃんは一緒にいてください。離れると何があるかわかりませんから。授業間の休み時間はひよりちゃんといてください。なるべく教室内にいてください。トイレに行く時はひよりちゃんと一緒に行ってください。以上ですかね。」

「そうだね。なるべく桃花を一人にしないようにしないといけないからな。このくらい行っておくべきだ。」

「皆さんにはご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。」

「私も桃花を守るよ。」

 今後の方針も決まった。やるべきことはやる。それが桃花が攫われないようにする対策だと思う。

「最後に確認ですが…貴方達は魔法は使えるんですか?」

 突然の質問に俺たちは答えられない。魔法と言ったか?

「あの雌猫さん達と一緒にいるんです。魔法くらいおそわっているんじゃありませんか?」

「私と桃花は、ミルちゃんに教えてもらって少し魔法を使えるよ。みな兄達ほど強くはないけど。」

「そうですか。ならいざという時は二人とも躊躇わずに使ってください。自衛も時には必要です。特にこの国では魔法はレアですから。」

「里見さん!でもそれって。」

「大丈夫です、先輩。意味はわかります。いざという時は人を傷つけてでも助かりなさい。そう言ってるんですよね。」

「ええ、そのとおりです。敵に情けは無用です。近しい人が苦しむ様は見たくありませんからね。」

 一瞬、里見さんが優しい顔をした。

「わかりました。私、覚悟を決めます。」

「私も覚悟する。桃花を守るためだもん。」

 できれば二人には戦いは知らないでほしい。でも状況がそれを許してくれない。二人が戦う日も近いのかもしれない。

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