81話 湊たちの朝
次の日の月曜日。朝起きたら隣に桃花はいなかった。もう起きているようだ。一階に降りると桃花が台所で作業をしていた。どうやら朝ごはんを作っているようだ。食欲をそそる良い匂いがする。
「あ、先輩。おはようございます。もうすぐ朝食できますから。」
「ありがとう、桃花。」
昨日のことなど無かったかのように接してくる桃花。俺はまだ少し気恥ずかしい。そうしている間にネリネとミルも起きてきた。
「おはよう、二人とも。よく眠れたかしら。」
「はい、ぐっすり眠れました。」
「それは良かったわ。あんなことがあったばかりだから心配してたのよ。でも眠れたなら良かったわ。」
「はい!…ミルはまだ少し眠そうだね。顔でも洗ってきたら?」
「はい、そうします…。普段より早く起きてるので眠気が取れなくて…。」
「早く行って目を覚ましてきな。じゃないとミルの朝食俺が食べちゃうぞ。」
「それはやめてください…!すぐに行ってきます。」
早歩きで洗面所へ向かうミル。
「まったくミルったら。桃花。なにか手伝うことはあるかしら?」
「もう出来ますからこっちは大丈夫です。テーブルを拭いてもらってもいいですか?」
「わかったわ。」
ネリネがふきんを持ってテーブルを拭き始める。その姿を見て、俺も何かしなくてはと思い桃花に聞いた。
「桃花。俺にも何かやらせてくれ。何もしないのはちょっと落ち着かない。」
「んー、でしたら出来上がってる分配膳をお願いします。」
「おう、わかった!」
俺は出来上がっている料理を運んでいく。
「朝食できました。食べましょう。」
出来上がったご飯を次々に並べていく。朝ごはんは目玉焼きとソーセージ、サラダにご飯に味噌汁といった、定番なものだ。並べ終わるのと同時にミルが帰ってきた。ついでにスーリアもちゃっかりと席に座っている。
「ではみんな座ったな。じゃあ作ってくれた桃花に感謝しつつ、いただきます。」
『いただきます。』
みんながご飯を食べ始める。みんなが異世界からこっちの世界にきて二ヶ月くらい経った。その間にネリネとミルは箸の使い方を覚えた。スーリアも最初は練習したが投げた。こっちの世界の調味料も覚えて、今では好みのものを使っている。目玉焼きに、ネリネと桃花は塩胡椒、俺とミルは醤油、スーリアはソースを使っている。別段強く勧めたわけでもないんだけどな。
「桃花、今日のご飯とてもおいしいわ。作ってくれてありがとう。」
「いえ、ネリネさんに喜んでもらえて嬉しいです。これからも頑張って作りますね!」
「こっちの国はご飯が美味しくて良いですよねえ。元の国に帰るのが嫌になりそうですよ。」
「あっちの世界はもっとざっくりした料理が多かったもんな。あ、ミル、お弁当ついてるぞ。」
「お弁当がつくってどういうことですか!?つけてないですよそんなの!」
「いや、ご飯粒がついてるんだが。そうかコレは通じないか。」
「我が契約者様よ。食べないのならういんなーをよこすがよい!」
「はいよ、食べな。」
のほほんと朝ごはんを食べる俺たち。この時間に平和を感じる。しばらくしてご飯も食べ終わって桃花と二人で食器を洗っていると、
ピンポーン。
と音がした。いつも通りひよりがやってきたようだ。
「みんな、おはよう!今日はいい天気だよ!」
ひよりは今日も元気いっぱいだ。一緒にいるだけで元気になる。
「おはよう、ひより。もうすぐ片付け終わるから待ってて。」
「うん、わかったー。でもアレだね。二人並んで食器片してると新婚さんみたいだね!」
桃花の手が止まった。ひよりの冗談を間に受けたのだろうか顔が赤くなっている。
「ひ、ひより!誰が新婚さんみたいだって!冗談でも言っていいことと悪いことがあるよ!」
「えー、お似合いだと思うけどなぁ。仲良さそうだし。シシシッ!」
変な笑い方をするひより。それを見た桃花は、
「ひより?ひよりの当てられそうな教科、もう教えないからね?わかった?」
「ええ!?それは困るよ!ごめんよ、桃花〜!」
ひよりが泣いて謝っていた。その後何故か、
「ここでラブコメの気配を感じたんですが、きのせいですか?」
「気のせいだからさっさと出かける支度をしろ。」
ミルが半分洋服半分パジャマという残念な姿でやってきたのだった。




