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73話 ひより談義

 ミルと二人でコーヒーを飲んでいると作業を終えた桃花がやってきた。さっきのことがあるので若干気まずい。

「ふぅ、やっと終わりました。あ、先輩。私もコーヒーを頂いてもいいですか?」

「いいよ。もう桃花の家でもあるんだからそう畏まらなくていいよ。もっと自由にしていいから。」

「はい、わかりました。じゃあポット使いますね。」

 お湯を沸かし始める桃花。桃花が家にいることも多いのであまり違和感はない。桃花は先程のことをもう気にはしていないようだ。

「そう言えばネリネの姿が見えないな。どこいったんだ?」

「ネリネちゃんなら庭ですよ。日課を済ますそうですよ。ネリネちゃんこっちに来てからも毎日やってますから。」

 ネリネの日課は剣の素振りだ。やはり達人たるモノ毎日の研鑽が大事らしい。そういう俺も最近は素振りしてるんだけどね。

「なるほどな。ひよりの姿もないな。いつもなら騒がしくしてるのに。」

「ひよりならクラスの子とお出かけですよ、先輩。私も誘われましたけど引越しですから断りました。」

「ひよりも友達付き合いがあるよな。まさか男もいるんじゃ?」

 クラスの子と出かけたとなると男女で出かけた可能性もある。ひよりは男女問わず人気だ。男もいるとなると心配だ。

「ミナト君。男の子がいると何かまずいんですか?」

「まずいってことはないけど、ひよりのお父さんにひよりのことを任されている身としては心配にもなる。ひよりは男女間の関係に疎いからな。ちょっとしたことで勘違いさせていることもあるかもしれない。」

「先輩がそれを言いますか…。安心してください。女の子だけでのお出かけです。男の子はいません。」

 それなら安心だ。ひよりに手を出す男もいない。

「でも先輩。ひよりのことをそんなに気になりますか?ひよりは結構モテますから、そのうちそういう話もあるかもしれませんよ?」

「ひよりが誰かと恋人になるって姿が想像できないな。ひよりはまだまだ子供だからそういう話は当分ないだろう。」

「先輩。ひよりも一人の女の子です。もう先輩が思ってるほど子供じゃないかもしれませんよ?」

「そうですよ、ミナト君。女の子は人知れず女になるモノです。いつまでも子供なのは男の子の方なんですから。」

「なんだよ、二人とも。妙にひよりのことわかったように…。」

 ひよりとの付き合いはこの中では俺が一番長い。だから俺が一番アイツのことを知っていると思っていた。だが違う側面もあるのだとしたら…。俺の中で少しモヤモヤとした感情が湧き上がった。

「ミナト君?どうしたんですか?眉を寄せて。」

 モヤモヤした気持ちが顔に出ていたようだ。情けないな、俺は。自分の感情もコントロールできないなんて。

「いや、なんでもないよ。みんな恋愛に近そうで羨ましいなって思ってさ。」

「私よりミナト君の方が近い気がしますけどね…。」

「そうですね。先輩はとてもモテますし…」

「そんなことない思うけどなぁ。告白されたことも里見さんだけだし。ミルも桃花も可愛いんだし恋人作ろうと思えばすぐだろ。」

 と言うと二人とも俯いてしまった。なんだ?

「桃花ちゃん、この男は昔からこういう事を平気で言いやがるんですか?」

「それがそうなんだよね、ミル。だから困ってるのよ。」

「???」

 よくわからないがおれがおかしいらしい。そうしているとネリネが帰ってきた。

「ふぅ、素振りも終わると、とても気持ちがいいわ。

筋肉に力が宿る感じね。あ、ミナト。今シャワー借りてもいいかしら?」

 ちょうど素振りが終わったのかその格好Tシャツに短パンととてもラフな格好だった。

「ネリネちゃんが一番恋愛とは程遠いかも知れませんね。」

「いきなりなんの話!?」

 俺たちはみんなして笑った。

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