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70話 二人の実力

「みな兄!帰ろー!」

 上級生のクラスということを全く考えていないような声でひよりがクラスにやってきた。大きい声なもんだからクラス中が、ひよりに注目している。少しは恥ずかしさとかないのかな。ひよりは俺を見つけると手を振り始めた。恥ずかしさとかなさそうだ。ひよりの後ろにいる桃花は恥ずかしそうにうつむいている。こっちが正しい反応だよなぁ。最近俺の周りの美少女率が高いせいか周りの視線が痛い。今も俺を殺さんとばかりの男子の視線を浴びている。ひより頼むから大人しくきてくれ。

「と言うわけで俺は帰るわ。またな。」

「美少女二人と帰るだなんて、羨ましいぞ湊。」

「そう言う樫村こそ今日は美少女二人とお出かけだろ。羨ましいぞ、樫村。」

「そういやそうだったわ!俺今日は楽しんじゃうぜ!」

「だ、誰が美少女よ、誰が。褒められても嬉しくないんだから!」

「片桐君。私以外の女性を褒めるなんて減点です…。

「じゃ、じゃあなーみんなー。」

 俺は早々に立ち去る。何が起こるかわかったもんじゃないからな。

「よっす、ひより、桃花。二年の教室まで来なくても良かったんだぞ?来づらいだろうに。」

「別に気にしないよ、私は。桃花は少しもじもじしちゃうけどね。」

「私は別のとこで待とうって言ってたんです。でもクラスまで行ったら早いよねってひよりが言うから…。」

「まぁ、ひよりなら気にしないか。それじゃ帰ろうか。」

 俺は二人と一緒に帰宅した。


 俺たちは何事もなく家へ帰った。家に着いたが、だれもいなかった。

「ミルとネリネはまだ仕事中か。まだこっちの世界に慣れないだろうに偉いよなぁ。俺も夏休みはバイトしなきゃ。」

「バイト始めて2週間だっけ?そろそろお邪魔してもいいかな?」

「もうちょっとしてからにしたら、ひより。今行くと邪魔になっちゃうかも。」

 そう、ネリネとミルがアルバイトを始めた。近所のラーメン屋さんだ。ネリネ達がこっちの世界に来て数ヶ月。湊に甘えてばっかりいられないって言って働く事を決めたらしい。それならってことで、近くで募集していたラーメン屋かコンビニにしたらと勧めてみた。コンビニはやることが多いし、配膳ならできそうとのことでラーメン屋になった。二人同時に採用されるとは思わなかったけども。今の所ミスらしいミスもなく、そつなくこなしているらしい。

「じゃあしばらくゆっくりしてるか。コーヒー入れるけど飲むか?」

「私甘いの!」

「私は今日はブラックでお願いします。」

「はいよ〜。」

 三人分のコーヒーを入れてまったりする。はぁ、幸せなひと時だなぁ。

「そう言えば二人はバイトしないのか?」

 まったりしてる二人に問いかける。

「私は今もらっているお小遣いで満足しているのでアルバイトする気は起きないですね。社会勉強としてのアルバイトは興味ありますけど。」

 と真面目な桃花の考え。就活中の大学生と同じくらいの考えを持っていそうだ。高校生のバイトはお金目当てで行くもんだと思うが(偏見)。

「私は学校生活慣れてきたからそろそろバイトしようかなーって思ってるよ。でもネリネさんや桃花達といると楽しいから、その時間が減っちゃうのは嫌だなぁって思うんだよね。」

「それはちょっとわかるな。みんなといると楽しいもんな。」

 アルバイトをすればお金が増える。でもその分みんなとの時間が減ってしまう。考えどころだよなぁ。

 そんな話をしているうちにネリネ達が帰ってきた。

「おかえりネリネ、ミル。お仕事お疲れ様。」

「ただいま。みんなも試験お疲れ様。出来栄えはどうだったのかしら?」

「ただいま帰りました!今日からみんなで楽しく遊べますね!試験試験と遊べなかったですからねー。私はつまらなかったですよ!」

 二人もテスト終わりを労ってくれた。

「二人とも。試験のことは聞かないでくれ…。」

「私は調子良かったよ!初めての期末試験だったけど大丈夫そう!」

「私はいつも通りだったかな。よくもなく悪くもなく。」

「そう言って桃花はいつも高得点だからなぁ。羨ましいよ。」

「先輩も毎日勉強していれば点数取れますよ。サボっているのがダメなんじゃないですか?」

「うっ、正論が痛いよ…。」

 俺以外の二人は調子がいいようだ。俺も油断せずに勉強していれば…。

「じゃあ帰ってきてさっそくだけど裏庭へ行きましょう。日が暮れる前にやっておきたいわ。」

「はーい、ネリネさんお願いしまーす!」

 俺たちは裏庭へ移動する。これから今日の用事を行なうのだ。

 裏庭へ移動した俺たち。今日行うのはひよりと桃花がどのくらい魔法がつかえるようになったかの確認だ。二人ともまだ習い始めてから時間が経っていないが才能があるようで色んな魔法を覚えている。それがどのくらいものにできているかチェックするのだ。危ない魔力運用をしていたら指導もしなくてはいけないらしい。

「スーリア、いつもの頼むよ。」

「最近呼ばれるのってこの時だけじゃないかい?もっと私を呼んでくれていいんだよ?」

「わかったわかった。こまめに呼ぶよ。」

「ん、頼んだよ。それじゃあ、結界!」

 家全体を囲むように結界が張られた。これで外から中の様子は見えないし、中の音が外に漏れることもない。

「それじゃあ、ひよりちゃん、桃花ちゃん。行きますけど準備はいいですか?」

「はい!いつでもいいよ!」

「私も大丈夫!」

「わかりました。ではファイアーボールからいきましょう。的を用意しましたのでそれに目掛けて魔法を放ってください。」

 ターゲットはミルが魔法で用意した的だ。魔力耐性があるらしく、何発かは魔法を受けても大丈夫らしい。二人が魔力を高める。初級呪文なので必要魔力は少ない。

『炎纏し眷属よ、その身を持ちて我が敵を燃やせ、ファイアーボール!』

 二人の前から大きい火球が現れた。体の半分以上の大きさの火球だ。俺が昔作ったファイアーボールよりも大きい。そのまま火球は前方へ飛んでいき、的へ当たった。

「ファイアーボールはOKですね!モンスターが出てきてもこれなら大丈夫です!むしろこれだけの期間でよくここまでの出来になりましたね!次行きましょう!」

 ミル的にもこれは問題なかったようだ。ていうかすごいな二人とも。


 その後も色々と魔法をこなしていく二人。そのどれもが高クオリティであった。二人とも短い期間でよく仕上げたものだ。余程魔法が使えるようになったのが嬉しかったようだ。魔法の属性だけで言ったら俺よりも多く使えるようになってるかも?

『地の呪縛からその身を解き放て、フリューゲン!』

 空を飛ぶ魔法だけは差が大きく出た。ひよりが地上から一メートルくらいで、桃花が五メートル程。桃花の方が高く飛ぶことが出来た。元々桃花の方が魔力量が多いのでここで差が出たのだろう。

「くぅー!私も自由に空を飛べるようになりたいなぁ!」

「私もここまでしか飛べないからもう少しちゃんと飛べるようになりたい。今だとふらふら飛んでるから。」

「でも二人ともちゃんと飛べてますからねー。意外と難しいんですよ、この魔法。飛べてるだけでも凄いことなんですよ!」

 ミルが二人を褒める。魔力制御とかが難しいからな。

「二人とも今日はこのくらいにしましょう!二人とも凄いですよ!この短い期間でここまでモノにするとは。先生としては鼻が高いです!」

 ミルが絶賛している。俺の時とは違いちゃんと出来てるもんなぁ。俺は魔法は苦労した方だし。

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