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68話 嵐を呼ぶ転校生

 里見さんは俺を殺すことから、俺と子供を作ることに目的をチェンジしたことにより、ネリネはトドメを刺さなかった。ヒールをかけはしたが痛みが残っているらしく、里見さんは顔を歪めていた。だから再度ヒールをかけようとしたのだが、雌猫の力は借りないとコレを拒否。雌猫呼ばわりされたミルがちょっとピリッとしたがこの場では何も起こらなかった。後で八つ当たりされたが。このまま置いていくのは気が引けたが本人の希望により放置。どうやらお迎えが来るらしい。俺たちは横たわる里見さんを置いて帰宅した。ちょっと冷たい気がするけど本人の希望だしな。

「でもホントよかったよ。ネリネの手を汚さずにすんで。」

「そうですね!私の機転に感謝してください!」

「ありがとう、ミル。私もできることなら手を下したくなかったから助かったわ。でも、もしかしたらミナトは今までよりも大変になるかもね?」

「ホントだよ。命狙われてた方がまだ対処できるってもんだよ。子供を作りたいって、いわゆるそういうことだろ?」

「さぁ?どういうことかわからないけど命を失うことはないわね。それにその件は本人同士の問題だもの。私たちは関係ないわ。」

「そうですそうです!命がかかってない以上私たちは関係ありませーん。どうぞご自由にしちゃってくださーい!」

「薄情者めー!むしろちょっと楽しんでないか?」

 二人の笑い声が聞こえる。ああ、戦いに勝てて良かった。これでまた、日常が戻って来る。家に着くと明かりがついていた。夜遅くだが、ひよりか桃花がいるのだろう。俺たちは少し足を早めて家の中へと入った。


 週末が明け今日から月曜日。週末はほとんど疲れを癒すのに使って何もしていない。特にネリネは脇腹に刺し傷があったため、ミルの回復魔法をかけて安静にしていて。深い刺し傷ではなかったのですぐに快復するだろう。俺は今日から部活再開ということもあり朝早く起きた。コーヒーを淹れ、優雅な朝を満喫する。最近コーヒーを飲めるくらいの時間に起きられている。体の調子がいいんだな。ネリネとミルはまだ起きていない。スーリアも今朝はまだ寝ているようだ。コーヒーを飲んでいるとピンポーンとチャイムが鳴らされた。ひよりが来たようだ。玄関へと向かう。

「おはよう、ひより。お前もコーヒー飲むか?」

「おはよう、みな兄。うん、飲む!甘いやつでお願い!」

「OK!」

 俺はひよりのために砂糖たっぷりミルクたっぷりの甘いコーヒーを作ってやる。流石の俺もここまでのコーヒーは飲めないな。甘すぎて。

「んー、甘くておいしい!みな兄腕をあげたね!」

「インスタントに腕もなにもあるかよ。」

 他愛のない話をする俺たち。ああ、日常が帰ってきたなぁ。

「みな兄は今日から部活再開だね。部長が泣いちゃうからあんまり休まないでよ〜。」

「お前は俺の事情知ってるだろ?とてもじゃないけど部活する余裕はなかったよ。でも、うん。凪沙先輩のフォローはちゃんとするよ。」

休んでいる間も先輩からメッセージが結構届いた。返信するのも一苦労だったからな。直接会って話さなきゃ。

「そろそろ行こうよ、みな兄。まったりしすぎると遅れちゃうよ。」

「おお、確かにそうだな。そろそろ行くか。」

 俺はコップを片付けて家を出た。


 朝の部活も終わり、教室へと向かう。朝の練習は軽い基礎練習なのでそこまで疲れていない。久しぶりの部活は楽しかったな。学校生活いいじゃないか!戦いに明け暮れる日々よりもこういった日常を満喫したいよ、まったく。教室に着くといつもより騒々しいことに気づいた。なんだ、いったい?すでに登校していた水谷に何事かたずねる。

「おはよう、樫村。この騒ぎは一体何事だ?」

「湊、おはよう。知らないのか!?今日この学年に転校生が来るらしいんだよ!この中途半端な時期にだぜ!?それにその転校生がとびきりの美少女らしくてな!それでみんな騒いでいるってわけ!みんな自分のクラスにきてくれーってな!」

 なるほど、そういうことか。確かにイベント事の少ない時期だ。転校生イベントは盛り上がるだろう。それが美少女と言えば尚更だ。そういう俺も聞いてテンションが上がる。うちのクラスに来るかなぁ。

「って言ってももううちのクラスに来ることはほぼ間違いないぜ!?ウチのクラスの席が一つ増えてるんだ。これは転校生くるだろう!」

「おお!それは間違いないな!」

 いよいよテンションが上がりまくる。これはきたぞ!そこでクラス担任がやってきた。

「ああ、みんな静かに。ってこの様子じゃもう知っているようね。大人しくしなさい!今紹介するから。今日からこのクラスに転校生がきます。みんな仲良くするように。入っておいで。」

 先生に促され教室内に入って来る転校生。黒の長髪で頭に髪留めをつけていた。目鼻はくっきりとしており、見れば忘れられないであろう美人であった。制服はまだ間に合っていないのかブレザーではなくセーラー服であった。ってこの人は!?

「里見さん!?」

 俺は思わず声を上げた。里見さんが何故ここに!?

「片桐君、来ちゃいました。」

「来ちゃいましたって唐突だね!?」

「ええ、片桐君をびっくりさせたくて。」

 その目論見は成功だよ。とてもびっくりしている。先週死闘を繰り広げた里見さんがいるのだから。

「なんだ、二人は知り合いか?」

「はい。いずれ妻となり、子供を作る予定です!」

『なにぃぃぃぃぃぃ!?』

 クラス中が沸いた。

「こら、片桐!若いうちから婚約だと!私に対する当てつけか!どうせ私は独身ですよ!わーん!」

「先生誤解です!婚約してません!彼女が勝手に言ってることです!」

「湊、お前ってやつは!美少女と婚約だなんて許せん!」

「だから樫村、誤解だってば!」

「湊?後で話があるから顔を洗って待ってなさい!」

「立花!喧嘩する前みたいな口上やめて!?」

 里見さんの一言でクラス中は大騒ぎだ。俺は関係ないんだ!誰かとめてくれー!

「これからよろしくお願いしますね、片桐君♪」

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