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67話 予想しなかった結末

 ケルを倒し、ネリネの方へ向かうとこちらも決着がつこうとしていた。ネリネが素早い居合斬りをした。いや多分した。速すぎて何をしたのかわからなかった。血を撒き散らしながら吹き飛ぶ里見さん。その後地面に倒れた彼女に向かいネリネは歩き出した。何をするんだと一瞬考えたがすぐに思い至った。里見さんにトドメを刺そうとしていることに。今にも里見さんに剣を振り下ろそうとしている。

「待ってくれネリネ!」

 振り下ろした剣は里見さんの顔の真横に刺さった。よかった間に合った。

「何故止めるの、ミナト?これはアナタのためなのよ?ここで里見咲良を殺しておかないといつまでもアナタが殺される危険性をはらむことになる。そんなことは仲間として見過ごせないわ!」

「わかってる。わかってはいるんだけどダメだ!里見さんとは分かり合える気がするんだ。ちゃんと話がしたい。」

「話って、狂人と話しても混乱するだけよ。わかってちょうだい。」

「それでも話をさせてほしい。頼むよ、ネリネ。」

 俺はネリネにお願いした。里見さんとはちゃんと話をすれば大丈夫な気がするんだ。里見さんの認識がズレてるだけだからそれを正せば大丈夫なはずだ。

「…わかったわ。ミナトに任せる。でも危険だと判断したらその時はトドメを刺すわ。」

「ありがとうネリネ。しっかり話をするよ。ミル、ヒールをお願い。」

 里見さんにヒールをかけてもらい、俺は目を覚ますのを待つことにした。里見さんが目を覚ましたのはそれから十分後のことだった。


「目は覚めた?」

 俺は目を開けた里見さんに問いかけた。最初はよくわかっていないような様子だったが、すぐに自分の状況を察したようだ。

「そうですか、私は負けたんですね。ケルもやられちゃいましたか。ウチの子の中で一番強い子だったんですけどね。」

 そう静かに話す。表情からは何も読み取れない。

「ところで私は何故まだ生きているんですか?敗れたからには命はないものと思ってましたが…。」

「俺がお願いしてやめてもらったんだ。里見さんと話がしたくてね。」

「話ですか?私からお話できるようなことはないと思いますけど…。」

「いや聞きたいことがあるんだ。」

「聞きたいこと?」

「そう。俺のことを好きだと言いながらどうして殺そうとするのか。そこを詳しく聞きたかったんだ。」

 そう。俺が聞きたかったことは何故殺そうとするのか。普通ならそのような発想には至らない。好きな人に執着型のヤンデレでももう少し段階を踏むと思う。

「普通なら好きな人とはデートしたりイチャイチャしたりしたいと思うものじゃないかな?でも里見さんはそうじゃなかったから。」

「一番に愛する人を殺すことで永遠に一緒にいられる。私は片桐君とずっと一緒にいたかったんです。」

「だから、そこがおかしいんだよ。殺したら一緒にはいられない。死体と一緒にいたいなら話は別だけどそうじゃないよね?」

「ええ、死体と一緒にいたいわけじゃありません。片桐君自身と一緒にいたいんです。」

「?よくわからないな。俺が死んだら俺自身といても俺は動かない死体なわけじゃないか。それでは一緒にいることにはならないんじゃないか?」

「?おかしなことを言いますね。片桐君を殺すことによって常に片桐君を感じることができるようになるんですよ?それはとても幸福なことです。なにせ、好きな人を永遠に感じることができるんですもの。」

 彼女は何を言っている?俺と彼女との会話がズレていることを感じる。俺が間違っているのか?俺の認識がおかしいのか?

「ミナト、限界よ。彼女は根本からおかしいわ。このままでは私たちの障害になる。やはりここでトドメを!」

「アナタ達に何がわかると言うのです。本気で人を愛したことのないアナタ達に…!私の気持ちはわかりません!」

「本当に愛していると言うならば、殺すのではなく共に生きて愛を育むものでしょ。殺したらそこで終わりじゃない!」

「終わりではありません。それは始まりです。言いましたよね。永遠に共にいられると。」

「…!?」

 俺もネリネも絶句してしまった。あのネリネを持ってしてもダメだった。里見さんの持論は変わらない。このままではずっと俺は命を狙われることになるだろう。それではダメなんだ。それでは里見さんを殺さなくてはならなくなる。できるだけ人死には出したくない。どうしたら…。

「あのー、里見咲良さんは子供は欲しくないんですか?」

 今まで黙って話を聞いていたミルがそう話しかけた。

「…子供ですか?」

「はい、子供です。愛する人との間に産まれる子供は可愛いものらしいですよ。それはそれは愛を注ぐのだと。好きな人と自分に似ている子供可愛くないわけがないですよねぇ?」

 ミルの話を真面目に聞く里見さん。んん?話が変な方向へ?

「ミナト君を殺したら子供はできません。なので殺すのをやめて、ミナト君と愛を育んで子供を成すことを目指しませんか?」

 おい、ミル!言ってることとんでもねぇぞ!?

「確かに子供のことは考えたことありませんでした。でもそうですね。片桐君との子供はとても、それはとてもとてもとてもとてもとてもとてもとーっても、可愛いでしょうね!」

 里見さんのテンションもおかしなことに。え、里見さんの持論、こんな簡単に変えられちゃうの?え、それにこの流れってまさか?

「片桐君。そういうわけですので、私と子供を作ってください!」

「お断りします。」

「なんでですか!!」

 俺は間髪入れず断った。この年で子供とか責任取れないわ。童貞には荷が重すぎるわ。

「ネリネ、今からでもトドメ刺そうか?」

「えっ?今ミナトが狙われるものが命から貞操に変わったからトドメ刺さなくて良いと思ったんだけど?」

「ネリネ!?」

 ネリネにこんなことを言われるとは!?冗談キツイぜ。

「片桐君、私は諦めません。必ず片桐君と子供を作ってみせます。覚悟してくださいね」

 覚悟しません。全力で逃げます!

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