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49話 ホームステイ

「湊。あの美女達との関係をもう一度教えろ。」

 開口一番。樫村がそんなことを言った。今は朝のホームルーム前。目の前に立つ樫村は何やら殺気立っている。

「美女ってネリネ達のことか?」

「そう!ネリネさんとミルトニアさんのことだ!昨日あんな程度の説明だけで、はいそうですか。ってなるわけないだろう!」

 そんなに説明していなかったっけ?ちゃんとした様な気がするけどな。

「二人して何騒いでるのよ。何か面白い話?」

 騒ぎに気付いて立花も寄ってきた。

「そうなんだよ、立花ちゃん!湊ったら美人な外国人二人とお知り合いなんだぜ!出会った経緯とか聞いておこうと思ってさ!」

「美人な外国人、二人?」

 怪訝な顔をする立花。

「アンタ、そんな知り合いいたの?」

「ああ、知り合ったのは最近だけどな。」

「ふーん。」

 何か言いたげな立花。なんだよ、一体。

「それでそれで?両親の知り合いって言ってたけど湊とはどういう関係なんだよ。」

「俺と彼女らは友達だよ。それ以上でも以下でもない。」

「ほぉ〜。じゃあ、俺がアタックしても文句は言わないな?」

 樫村がネリネ達にアタック?俺には関係ないと言えばないが、考えてみるとネリネ達が相手をするとは思えないけどちょっともやっとするな。

「まぁ、そこは俺は関係ないから樫村の好きにしたらいいさ。」

「ん、思った反応と違うな。まぁいい。彼女達は今どこに住んでるんだ?この辺?」

 あ、その辺の設定考えてなかった。本当のことを言うか?コイツらなら言っても問題ないか。そこは信頼している。

「ああ、ここだけの話なんだが、俺の家に住んでるんだ。いわゆるホームステイってやつだな。」

『………』

 水谷と立花がなにやら絶句している。なんだ、一体?

『ホームステイ!?一緒に住んでる!?』

 二人が大声を出した。

「やかましいぞ、二人とも!?」

「湊、どういうことだ!ひよりちゃんや桃花ちゃん、凪沙先輩だけに飽き足らず!ネリネさんやミルトニアさんまでもハーレムに入れようって言うのか!」

「湊アンタ、女の人と同棲してるの!?付き合ってるの?どこまでいってるの!?」

 二人して捲し立ててくる。そんなに一斉に言われてもこたえられんて。

「ちょっと落ち着けって二人とも。二人が思ってることはないから。日本に不慣れな二人を助ける意味合いでしかないから。」

「でも一緒に住んでるんでしょ?しかも美女二人と!そんなの許されるわけないわ!」

「いやいや、やましいことはないって!」

「信じられるわけないでしょ!年頃の男女が一つ屋根の下で暮らしてるのよ?なにもないわけないじゃない!」

「ちょっと妄想たくましいけど、立花ちゃんの言う通りだ!白状しろ湊。今まで起きた嬉し恥ずかしエピソードを!」

「そんなものはない!」

 興奮する二人を相手に取り戦う俺。実際家でそういうことないんだからしょうがない。

「いいなー、湊は彼女達の湯上がり姿や寝起き姿、パジャマ姿とか色々見れるんだろうなぁ。羨ましいなぁ。そんなの彼氏でも中々見れないぞ。」

「やめろ、樫村!妄想するな!」

「ぐぬぬぬぬ。湊!部屋はまだ空いてる!?私もホームステイするわ!」

「何言ってんのお前!?」

 樫村も立花も見てられないくらい狼狽えている。もうどうしていいかわからないよ。

「とにかく!お前達の思ってる様なことは何もないから!」

「ほんとかよー、湊ー。」

「そうよそうよ。健全な高校生なら何かしらあるわよ!」

「無いもんは無いんだ。こればっかりは信じてもらうしかないけど、俺が信じられないか?」

『うん。』

「なんでや!?」

 結局二人とも文句を言いたいだけでどうにかしようってわけではないみたいだ。ホームルームを知らせるチャイムが鳴りこの話はここまでとなった。


 二日目の放課後もネリネ達と合流して家に帰る。今日はネリネ達より早く待ち合わせ場所に着いたので、人だかりが出来ることはなかった。

「ホームステイってことにして話しちゃったんですか!?先輩!」

「ああ、信頼できるやつらだから問題ないと思うけど、まずかったか?」

「いえ、信頼されてる方ならいいと思いますけど…。学校側に知られると面倒ごとになりますよ。」

「そこは言う奴らじゃないから大丈夫だよ。」

 なんだかんだ言われても俺は二人を信じている。本当に困ることはしないってことはな。

「みな兄の家にみんないるって楽しいよね。私もホームステイしちゃおっかなぁ?」

「お前はやめとけ。親父さんが涙ながらに引き止める姿が目に浮かぶぞ。」

「えー!」

「なら私ならいいですか、先輩?」

 じーっとこちらを見つめてくる桃花。こういう時の桃花の目は、目を離せない魔力がある。

「桃花こそ、理由ないだろ。それに親御さんがダメって言うだろうし。」

「理由ならありますよ。ミルと一緒にいれば魔力を制御する方法を教わることができますから。この強大な魔力を早く制御したいですから。」

 思った以上にまともな理由だ。桃花の魔力は強大だ。それを使いこなせないうちに暴走してしまったら大惨事だ。それを早めに抑えたいという気持ちはわからないでもない。

「でも近い歳の男女が一つ屋根の下なのは親御さんも心配するだろう。」

「そこは許可をもらう自信があります。それにネリネさんとミル、スーリアがいるんですから問題も起きませんよ。」

「そ、それはたしかにそうだけど。」

「それとも、私がいると何か問題ありますか?」

 これは俺の負けですね。勝てませんわ。

「そこまで言うならいいよ。ウチに来ても。親御さんの許可を取るのは絶対だからな。」

「はい!わかりました!先輩と共に暮らせるの楽しみです!」

 このニコッと笑う笑顔に弱いんだよなぁ、可愛い。

「ちょっと待ってよ、みな兄!桃花もみな兄の家に住むなら私も住みたいよ!私だけ除け者みたいじゃん!」

「いやでも、ひよりはお隣さんだし来る理由ないしな。親御さんの許可取れるなら来てもいいけど。昔はよく泊まりに来てたけど、中学生あたりからそれもダメになったろ。だから許可も取れないと思うけど。」

「ぐぬぬぬ。それは確かに取れなさそうだけど。」

「だからあきらめろ。許可がとれたら来てもいいから。」

「うぁぁぁぁ!みな兄がいじめるよぉ!」

 人聞き悪いこと言うな。俺は正論を言っているだけだ。

「こっちの国でも親の言う事は強大なのね。」

「そうみたいですね。そこは全国共通なんですね。」

「未成年だからな。そのあたりはしょうがないだろ。」

「私は冒険者だから一人前扱いのはずなんですけどね?私の親はいまだに会うとあーだこーだ言ってきますよ。特に結婚関係がうるさいですね。」

「ミルの年で結婚とか言われるんだ。」

「今はまだいいんですけど、女性冒険者の結婚って遅くなることが多いんですね。だから早めに相手を見つけろってうるさくて。」

「それは大変だな。ミルも恋愛には苦労しそうだもんな。」

「なんですと!!私が苦労するわけないじゃないですか!そこになおれですよ!」

 ミルが反論する。ミルはキューピッドになる事はあれど、当事者になる気配がない。だからそんなことを言ったのだ。

 ネリネは親を亡くしているからこう言う話題は振りずらい。でもネリネも楽しそうに話に加わっている。それはよかった。

 俺たちは楽しい放課後を過ごしていた。

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