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42話 買い物

 俺とネリネ、ミル、スーリア、ひより、桃花の六人は買い物に出発すべく俺の家に集まっていた。ネリネとミル、スーリアの三人は昨日届いた洋服を着ている。ひよりと桃花の二人も今日は私服に着替えている。

「買い物に行くのはわかってるけどどこに行くんだ?近場の服屋とかか?」

「そこだとすぐ買い物終わっちゃうでしょ!今日は船橋に行きます!あそこなら色々あるし、一日中楽しめるでしょ!」

 ちょっと遠くだがあそこなら大きめのショッピングセンターもあるし欲しいものは買い揃えられるな。

「船橋となると電車だな。」

「そうですね、電車で行きましょう。でも駅までどう行きましょうか?自転車も二つしか無いですし。」

 桃花が疑問を口にする。駅まで少し距離がある。そこまでどう行くかという問題もある。自転車で行くのがちょうどいい距離である。

「なにか問題かしら?」

「はい。移動には乗り物を使う予定なんですけど、乗り場に行くのに距離があるんです。そこまでの移動をどうしようかと。」

「歩いてはいけない距離なの?」

「歩けない距離じゃないですけど、時間がかかっちゃうんですよ。」

「なら、走るしかないわね。」

「え、走る?」

「そうよ、走るわ。走れば時間もかからないわ。」

「いや、でもせっかく買ったお洋服とか髪のセットとかが汗で崩れちゃうんじゃ?」

「歩いていける距離なら汗なんてかかないし髪も乱れないわ。ねぇ、ミル?」

「ネリネちゃんと一緒にされたくないんですけど私は。でもまぁ、冒険者でしたし、少しくらいなら走れないこともないですよ。」

「俺も鍛えたから駅くらいまでなら息も切れないと思う。それに自転車より速いと思うぜ。」

「どうしよう、ひより!異世界の人たちに私たちの常識が通用しない!」

「まぁまぁ、桃花。なんとかなりそうでよかったじゃない。」

「ひよりは呑気過ぎ!」

 桃花が珍しく声を荒げている。まぁ確かに、異世界人の体力を知る機会なんてないしびっくりするのもしょうがないか。

「じゃあ、ひよりと桃花が自転車を使って他は走ろうか。スーリアはペンダントの中に入ってな。」

 というわけで移動開始。ネリネとミルはひより達が乗る自転車に興味津々だ。

「どういう構造で走っているのかしら?車輪を回しているのはわかるんだけれども。」

「自分で漕ぐことで鎖を動かして車輪を回してるようですね。それでこの速度が出るのは不思議ですね。車輪が大きいのがいいんですかね?」

「ちょっと二人とも走りづらいんだけど!?自転車の周りをくるくる走らないで!?」

 ひよりの自転車の周りを走りながら見る二人。はたから見るととても、シュールだ。ひより可哀想。

「よーしっ!こうなったら!」

 ひよりが自転車のスピードを上げた。よほど鬱陶しかったんだろう。二人を抜いて…抜いて…抜けない!?

「えーん、なんで抜けないの!?早すぎない、二人とも!?」

「このくらいならわけないわ。スピードはこのくらい出るのね。少ない力でここまでスピードが出るなら良い乗り物ね。」

「ちょっと見るのに熱中しちゃいましたね。反省です。でもホントいい乗り物ですね、自転車!」

 急ぐ三人をよそに、俺と桃花は後ろから一定の速度で走る。

「先輩、体力がたくさんついたんですね。学校の体育くらいなら無双状態じゃないですか?」

「手を抜いたつもりだったんだけど、スポーツテストでやらかしちゃったからな…。」

「どんどん遠い存在になっちゃいますね…。」

「ん?何か言ったか?」

「いえ!?なんでもないです!少しスピード上げましょうか。置いてかれちゃいます。」

「ああ、そうだな。行こうか。」

 俺と桃花はスピードを上げ、三人を追いかけた。ちなみに朝早かったこともあってかすれ違う人はいなかった。


 駅に着いた。駅で切符を買って電車に乗るんだが折角なので、異世界組に買ってもらうことにする。ちょっとずつ日本にも慣れておいてほしいしな。まずはネリネから。

「えーと、ここにお金を入れるのね。え?お金って銀貨じゃないの?この紙がお金なの…。すぐ破けちゃいそうね。で、ここの穴にお金を通して、あ、吸い込まれたわ。見たことない字がたくさん出てきたんだけど!?数字?これ数字なのね。目的地までの金額を押せばいいのね。ひより、わからないから教えてくれる?これなのね。ありがとう。っ!?音が鳴ったわ!で、何か出てきたわ。これが切符?随分小さいわね。無くしちゃいそうだわ。後銀貨?も出てきたわね。これは何?お釣り?じゃあ、これも受け取るのね。銀貨も中々精巧なデザインをしているわね。私たちの国のと比べても小さいわね。」

 ひよりに教えてもらいながらなんとか切符を買えたネリネ。数字は教えないといけないかもしれないな。次はミル。

「ふっふっふっ。ネリネちゃんのを見てましたから、私は完璧ですよ。ここにお金を入れて…え、戻ってきましたよ!?なんでですか!?もう一回入れてみます…今度は戻ってきませんね。それでさっきネリネちゃんが押してた文字は…これですね!え、その隣!?間違えちゃいました!?ああ、切符は出てきちゃいました!コレ交換できないんですか!?」

 見事に失敗したミル。桃花に乗越精算のことを教えてもらっていた。最後にスーリア。

「私はこういうのはパスするよ。常に湊と一緒にいるし湊にやって貰えばいいしね。それに最悪ペンダントの中に入れば、交通費はかからないし。」

 とわりかし最低な事を言っていた。仕方ないので俺が買ってあげた。これで全員分切符を買えたな。改札を通ろう。

「切符をこの装置に通すの?ここに入れて…吸い込まれたわ!あ、前の扉が開いたわ。これで進んでいいのね。え?切符を忘れてる?ああ、ここに切符が出てきているのね。これをとって中に入るのね。」

 改札に入る行為はすんなり入れた。ミルとスーリアも続いてすんなり入れた

 少しだけ待ったが電車は来た。その長さにみんなビックリしていた。

「長いですね!この長さで動くんですね。」

「そうだよ!移動も早くできるしなくてはならない乗り物だよ!さぁさぁ、ドアが開いてる間に乗ろう。置いてかれちゃうよ!」

「置いていかれることがあるの!?切符も買ったのに!自分でタイミングを測って乗り込まなくちゃいけないのね。」

「そんなに難しくありませんよネリネさん。一定時間空いてますから。」

「そ、そうなのね。わかったわ。」

「そんなにビビらなくていいと思うよ、ネリネ。普段のモンスター狩りの方がよほど怖いと思うけどね。」

「そんなこと言わないで、スーリア。慣れてない事は怖いのよ!」

 意外とビビリなネリネにみんな微笑みながら、電車に乗り込んだ。

「我が契約者様!この乗り物はなんだい!すごく速いじゃないか?景色がドンドン切り替わっていくよ!アハハ!凄いねぇ!」

「自転車と名前が似てたので速度は同じくらいかと思ってましたけど、だいぶ違いますね。これなら遠い距離でもすぐに移動できますね!」

「コレだけの大きさの乗り物をこの速度で移動させるなんてどのくらい魔力をつかっているのかしら。」

「ネリネ、この国では魔法は無いから魔力は使ってないよ。変わりに電力を使ってるんだ。」

「電力?サンダーボールとかの電気?電気で動くの?」

「そう。俺も詳しい理屈はわからないけど、この国の色んなものは電気で動いているんだ。」

 そう。普段から意識していないから忘れがちになるが、この国の機械は電気で動いている。異世界の魔力と同じ感じだよな、きっと。

「ネリネ達の国だと旅になる距離も、電車のおかげでその日中に行って帰って来れるんだ。」

「それは便利ね。その便利な乗り物が一般市民でも乗れるなんて、湊の国はとても市民に対して考えられているのね。」

 異世界にいて国から国に移動するときに徒歩以外の案はそういえば出ていなかった。乗り物自体はあったんだろうけど、縁がなかったな。料金の問題であったり移動距離の問題等あったのだろうか。

「しばらく乗ったら、電車を乗り換えするよ!今日の目的地まで直接行ってくれるわけじゃないからね。近くなったらまた言うね!」

 ひよりが楽しそうにスーリア達に伝える。スーリアは聞いているのかわからない感じで外をずーっと見ている。ミルもひよりに頷きながらも外を見ている。ネリネもソワソワといった感じで外を見ていた。電車に乗っただけでも今日は出掛けて正解だったかもしれない。

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