34話 説明会
カップラーメンを食べ終えた俺たちは、小休憩を取ることになった。言うなれば昼寝だ。今日は朝から大変だったから少し眠いのだ。
怪鳥から始まりドラゴンに遭遇。やられたと思ったら現代に帰ってきてと、色々とありすぎた。
みんなも同じ気持ちだったようで小休憩に賛成してくれた。三人には客室に布団を敷きそこで寝てもらい、俺は自分の部屋で眠りにつく。久しぶりの自分のベッドは快適という他言うことなかった。これは気持ちよく眠れそうだ。
布団に入って、さぁ寝るぞ!となった瞬間、
「ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!」
と、音が鳴り妨害された。
「だぁぁ!うるせぇ!睡眠妨害だ!」
急いで一階に降り、玄関の前に立つ。見ると、ネリネ達も近くに来ていた。同じく睡眠を妨害されたのであろう、目を細め迷惑そうにしている。こうしている間もピンポンピンポンと鳴り響いている。こんなことをするのは一人しかいない!
「うるせぇ、ひより!!気持ちよーく昼寝しようとしてたのに邪魔しやがって!寝る寸前だったから機嫌悪いぞ!」
「みな兄こそ、なにも説明しないでさっさと帰っちゃってさ!気になっちゃって今日の授業全然頭に入ってこなかったよ!どうしてくれるのさ!」
「そうですよ!説明不足も甚だしいですよ、先輩!それとひより?授業はちゃんと受けようね。」
睡眠妨害をしてきたのはやっぱりひよりだった。桃花も一緒にやってきたようだ。
「さぁ、みな兄!何がどういうことなのかちゃんと説明してもらうからね!納得できるまで帰らないから!」
「私もひよりと同じ気持ちです。奥の方にいらっしゃる方々のことをしっかりと教えてもらいますからね!」
興奮した様子で喋る二人。これは正直に話さないと帰ってもらえないかもしれないな。まぁ、誤魔化す必要もないんだけれども。
「わかったわかった。話すから。ちゃんと話すから聞いたら帰ってくれよ。こっちは朝からバタバタしてて疲れてるんだから。」
「?朝は私と一者に学校へ行っただけじゃない。そんなに疲れることじゃないと思うけど。」
「まぁ、色々あったんだよ。そこも含めて喋るからちょっと待ってくれ。」
面倒だけど、話さないといけないか。結構ややこしい内容だけど話せるだろうか。
中へ二人を入れてリビングへ通す。二人ともよくウチにも来るのでそこは慣れたものだ。テーブルは四人掛けなので、俺とひよりと桃花、そしてネリネが座った。ミルとスーリアはテレビ前のソファーに座ってもらった。
「なんで皆さん、先輩のジャージを着てるんですか?先輩のご趣味ですか?」
「勘違いされるような言い方やめて!?さっきの服以外の服がないから俺のジャージを貸してるの!」
「それに、さっきより女の子増えてるよね!みな兄ったらいつから女たらしになったの!?」
「またも人聞き悪い言い方!?さっきからずっと居たんだよ、理由もあるの!」
ひよりと桃華からのじーっという視線を避けるように俺は視線を逸らす。あーどこからどうやって話すべきか。
「さて、何から話した事やら…。朝ひよりと登校して桃花と合流した。ここまではOKだよな?」
「そこまではOKです。そのあと学校へ向かい、その途中で鏡のような物が現れて、それに湊先輩が吸い込まれたんです。」
「そう、そこが重要だ。俺は鏡に巻き込まれた。それで、なんと、異世界に飛ばされてしまったんだ!」
真面目なトーンで俺は言った。事実だからこれ以外に言いようがない。冗談に聞こえるかもしれないけれども、事実だ。だから、
『は?』
そんな冷たい声出さないでくれ!女子って信じられないくらい冷たい声出す時あるよね!
「冗談に聞こえるかもしれないけど事実なんだ。異世界に行ってたんだ、俺は。」
「異世界ってあの異世界?漫画とかアニメでよくあるやつ?みな兄?流石にその冗談は笑えないよ。」
「湊先輩。私凄く心配したんですよ?急に先輩が消えちゃって…。なのに先輩ときたら、そんな嘘を言うんですね。そうですか、そうなんですね。私たちに真実は伝えられないと言うんですね。そうですか、うふふ。」
「真実なんだからこれ以外に言いようがないんだ!アニメや漫画でよくある、魔法のある異世界に行ってたの!しかも、数ヶ月いました!帰ってきたら数分しか経ってなくて驚きだけど、数ヶ月異世界に居たんだ!」
「そうやってすぐバレる嘘を重ねて!湊先輩にとって、私たちはそんな嘘をつくような関係だったんですか!」
「本当のことなんだからそれ以外言えないのはしょうがないだろう!だったら証拠を見せる!よーく見ておけ!炎纏し眷属よ、その身を持ちて我が敵を燃やせ、ちっちゃく、ファイアーボール!」
俺は詠唱を行い、ファイアーボールを手のひらに具現化させる。魔力をあまり練らなかったので、ちっちゃいファイアボールが出来上がる。
それを見て二人は驚く。
「みな兄の掌に火が!?」
「え、え?先輩の手が燃えてる!?」
二人とも目を丸くして手のひらの炎の球を見ている。
「これで信じてもらえたか?俺は魔法のある異世界に行っていたんだ。それも数ヶ月間。こっちの世界では何故か数分しか経ってないみたいだけど。」
そう言いながらファイアボールを消す。
「そこで世話になったのが、ここに座るネリネとあっちに座ってるミルとスーリアだ。何故かこっちに帰ってくる時に一緒になっちゃってこっちの世界に来ちゃったんだ。」
未だに信じられないのか目を丸くしている。
「私たちもまだ事態を飲み込めていないのだから、信じられないのも当然よね。改めて私はネリネ。ミナトとはちょっとした縁で旅を一緒にしていたの。仲良くしてもらえるとありがたいわ。」
「では、私も自己紹介を。私はミルトニアと申します。皆さんにはミルと呼んでもらっています。どうぞよろしくです。」
「私はマスデバリア。呼びづらかったらスーリアって呼んでくれていいよ。」
異世界組が自己紹介を行う。それにならい、
「あ、ええと、私はひよりです。楠本ひよりと言います。」
「私は柚木桃花と言います。よろしくお願いします。」
現代組も自己紹介を行う。これで互いに名前がわかったな。
「というわけなんだ。まだ信じられないところもあるだろうけど、全部事実なんだ。」
「信じられないもなにも…。」
「魔法を見せられたら、信じるしかないですね。」
なんとか信じて貰えたようだ。
「それならよかった。ああ、俺が魔法を使えるって、他の人には言わないでくれよ。目立ちたくないし。」
「言っても信じてもらえないよ!普通は!」
それもそうか。俺が魔法を使えるなんて言っても、頭がおかしくなったと思われるだけか。
「とりあえず、事情はわかったな。だから今日も朝からドラゴンと戦った後にこっちに飛ばされてきたからまだ疲れてるんだ。少し眠らせてくれ。」
「ドラゴン!?ドラゴンって本当にいるんだ!」
「ちょっとそのあたりのことを詳しく知りたいんですけど!」
「昼寝の後にしてくれ。かなり眠たいんだ。」
「わかった…。夕飯の時に来るから、その時に教えてね!」
「今晩は、私も同席します!絶対に教えてくださいね!」
今日の夕飯はいつもより賑やかになりそうだ。




