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30話 ドラゴン②

 予想外の魔法攻撃をくらい、ちょっと絶望しかけている私。後どのくらい続くのだろうか。後どのくらい避け続ければいいのだろうか。果たして終わりは来るのだろうか。弱気になってしまう。だが、このくらいでへこたれてたまるか!また三人と再会して旅を続けるのだから!ドラゴンの攻撃は止まってはくれない。ドラゴンがこちらへ突進してきた。その巨体が走ってくるのである。かわすのも容易ではない。魔力を足に込めて精一杯横へ飛ぶ。ギリギリのところで巨体をかわす。ドラゴンがこちらへ振り返るのと同時に前足で攻撃するべく突っ込んできた。バックステップでそれをかわす。かわす。かわす。都合三回の攻撃を避ける。その後ドラゴンが一度後退し私と距離をとった。今までなかった行動に警戒する。その後ドラゴンが一度咆哮をしたと思ったら口元が光り輝き始めた。昔話でもあったことを思い出した。

「古来より生きし龍。その息吹をもって全てを滅さん。」

 ドラゴンの代名詞とも言える攻撃、ブレスが放たれようとしている。ブレスを避け切れるとは思えない。噂によればドラゴンのブレスのみで、国の騎士団隊が壊滅させられるとかなんとか。ブレスを撃たれるわけにはいかない。魔力を手に集中させてこちらも光り輝かせる。限界まで魔力を集中させて!!

「金剛光波っっ!!!はぁぁぁぁぁ!!!」

 ドラゴンに向けて光の魔力波を放った。その魔力波はドラゴンの眼に向かい当たった。生物である以上、視覚を司る目を強い光で攻撃すれば一瞬でも動きが止まるはず。その試みは成功し、ドラゴンの動きが止まった。止まっているその間に少し息を整える。ドラゴンとの攻防は一瞬の隙が命取りになる。休める時に休まなくては。そのあと少し距離をとる。体力が続く限り避け続けられる!そう思った矢先のことだった。ドラゴンがこちらに背を向け、その大きな翼を羽ばたかせ空へと飛び去っていった。私は呆気に取られてその場に座り込み、深いため息を吐いた。

「はぁー。死ぬかと思ったわ、流石に。でもどうして途中で去っていったのかしら?」

 助かった安堵からか、すぐにはその可能性に気がつかなかった。ドラゴンが飛び去っていった方向が、ミナト達が逃げていった方向だということに。気がついた私は再び足に魔力を込めて、ドラゴンを追いかけた。


 

 ネリネがドラゴンを惹きつけてくれている間に、俺とミルは山を降る。ネリネなら一人でもきっと大丈夫だと言い聞かせて。ネリネ一人を置いてきてしまった罪悪感を消せぬまま、ミルと二人で山を降りる。

「ネリネ大丈夫かな。俺たちのために残させてしまって…。」

「ネリネちゃんなら大丈夫ですよ。さっきの動きからも、倒すことは無理でも倒されることはありません。全部の攻撃を避け切ってドラゴンから逃げてきますよ。」

「そうだよな!さっきのネリネの動き凄まじかったもんな!大丈夫だよな!」

「それよりも私たちの方が心配ですよ。この山を二人で降りるんですから。モンスターが出ないとも限りませんからね。出てきたモンスターにも時間はかけられません。戦うか逃げるかすぐ決めますからね!」

 冒険者の歴が長い分、こういう時のミルは頼りになる。それに比べて俺というやつは…。

「前からモンスターです。…普通のウルフですね。後で追いかけられても面倒なのでちょっぱやでたおしちゃいましょう!」

 ウルフが四体現れた。現れた四体のその内の一体を目掛けて切り込んだ。先制攻撃だ。今更ウルフに手こづる俺ではない。最初の一体はそのまま斬られ倒れた。そのままの勢いで二体目に迫る。こちらの早い動きにウルフは戸惑っている。その隙に二体目のウルフに近づきウルフの持つ棍棒を裂いた。その後ウルフの首目掛けて剣を突き刺した。これで二体目のウルフも倒れた。これで残り二体!残りの二体目もミルが詠唱を終え…、

「炎の槍よ、我に仇をなす敵を貫け!フレイムランス!貫けぇぇ!!」

 二体目掛けて炎の槍が高速で飛んでいく。その炎の槍でウルフは串刺しにされた。これで全部倒した。この場を離れよう。早く離脱して、ネリネの帰りを待とう。ウルフにかかった時間はそんなでもなかったはずだ。俺とミルは他のモンスターが出てこないうちにそそくさと移動する。そのつもりだった。近くで何か地鳴りのようなものが聞こえた。その地鳴りがどんどん近づいてくる。

「なんの…音だ…?」

「嫌な予感しかしないんですけど…。」

 そしてついに、そいつは俺たちの前に再び現れた。先程俺たちと対峙したドラゴンだ。ネリネが気を引きつけているはずのドラゴンがそこにいた。俺たちが逃げてからさほど時間はたっていない。それでもこうして目の前に現れたということは…!

「ネリネを…ネリネをどうしたっ!」

 ドラゴンに問いかけても返答があるわけではない。しかし問わずにはいられない。ネリネはいったいどうなったのか。

「ネリネをどうしたんだ!お前!!」

「駄目です!ミナト君!駄目です!!」

 ミルが何かを言っている気がするが、気にしている場合ではない。俺はドラゴン目掛けて剣を振り上げ詰め寄った。剣には炎を纏わせている。ドラゴンの前足にあたり、ドラゴンの爪を少し削った。怒りに任せてそのまま前足を攻撃する。弾かれることはないが、深い傷にもなっていない。浅く切れているだけだ。それを煩わしく思ったのか、ドラゴンが前足を振り上げた。前足にぶつかった俺は後方へ飛ばされた。数メートルは飛んだ。受け身も取れずゴロゴロと転がる。かなりの衝撃だった。だが、立ち上がれないほどではない。

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 再びドラゴンへ詰め寄る俺。それに合わせてドラゴンが前足を振り上げた。俺はその動きを見て、ギリギリのところでかわし、ドラゴンの首目掛けて飛んだ。今は普段よりも身体が軽い。今なら色んなことができそうだ。ドラゴンの首に剣で斬り込む。この攻撃も剣が深く入らず浅く斬るだけの結果となった。ドラゴンの皮膚はとても硬い。こちらの攻撃が一切通らない。それでも俺は攻撃をやめない。こいつはネリネを…!

 俺が攻撃をしている間ドラゴンもただ見ているだけではなかった。攻撃をして無防備になっている俺目掛けて前足で踏み潰そうと上から押しつぶそうとした。俺が気づいた時にはもう遅い。かわすことのできない場所まで来ている。ここまでか、と俺は思った。ネリネの仇を打つこともできないままここで終わる。そのことだけが今思う心残りだった。

「はぁぁぁぁぁぁ!咆哮波!」

 ドラゴンの前足に何かが当たり、俺を踏み潰そうとしていた前足は俺を踏まず、その隣を踏んだ。

「間に合ってよかったわ。無事でいてくれてよかった。」

 現れたのはドラゴンにやられたと思っていた、ネリネだった。

「ネリネ!無事だったのか!ドラゴンが来たからてっきり…!」

「ドラゴンが途中でこちらの方へ移動してしまって、慌てて追いかけてきたの。みんな無事でよかったわ。」

 ドラゴンから目を逸らさずに俺たちは言葉をかわす。ネリネが生きていてよかった。本当によかった。さてそうなるとやることはひとつだな。

「みんなそろったことだし、やることはひとつだな。全員でドラゴンから逃げる。これしかない。」

「ええ、そうね。囮になってもまたおなじことになっては意味ないものね。なんとかドラゴンの気を引いた後逃げましょう。」

 俺たちの目的は決まった。ドラゴンとの戦いもそろそろ終わりにしたいものだ!

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