18話 イルフ街
イルフ街に到着した。イルフ街は活気に溢れる街だった。ラークー街や王都ラーガと違い、商いをしている人たちの商品が出土された発掘品の物が多い。アクセサリー類も多い。
「イルフの街に着いたのはいいけど、どうやって探すか。こんなに商店が多いと探すのも一苦労だな。」
「やっぱり大きい店から探すのがいいんじゃないですかね。その分商品も多いと思いますし。」
ということで、大きいお店から探すことになった。そこに魔導具が売っていると早いんだが。
この街で売ってそうな大きい商店がどこか近くの商店に聞いてみた。
「すみません、魔導具を探しているんですけど、売ってそうなお店ってあります?」
「魔導具か。魔導具関係だったらヨルア商会さんが一番だろうね。出土する魔導具を手広く販売しているからね。」
「ありがとうございます!行ってみます!」
聞き込みの結果ヨルア商会がオススメの商店らしい。すぐにその商店に行ってみることにする。
ヨルア商会は街の中心部にあった。大きい建物で、商店というよりは博物館なんじゃというくらい大きかった。中に入ってみると大中小様々な商品でいっぱいだった。小さいものだと手のひらに収まるサイズだが、大きいものだと持ち運びは到底無理そうな建物クラスのものまであった。大きいサイズのものは何に使う魔導具なんだろうか。
「これだけ魔導具があるとどれがどういう魔導具なのかわからないわね。」
「そうですね。私も魔導具はあまり詳しくないのでわからないものが多いです。」
俺もよく地元のスーパーとかで、どこに何の商品があるか分からずグルグルするって経験したことあるもんな。詳しくないと探すのも一苦労だったりするよな。
「何かお探しですか?よろしければご案内させていただきます。」
そう困っていた時に話しかけてくれたのは、柔らかな物腰の女性だった。歳は20代の後半くらいだかろうか。背筋のピンと伸びた姿勢の正しい美人だった。
「申し遅れました。私、ヨルア商会に所属する従業員のクルミと申します。どうぞよろしくお願い致します。」
そうクルミと名乗った女性は礼儀正しくお辞儀をした。この接客態度だけ見ても、ヨルア商会の接客レベルの高さがうかがえる。
「私たちはとある魔導具を探してこの街まで来ました。そこで魔導具ならヨルア商会さんが一番だと聞きまして、こちらに来ました。」
「そうでしたか。当店を選んでいただき、誠にありがとうございます。ところで、どのような魔導具をお探しでしょうか?当店にある魔導具ならいいんですけれど。」
「転移の魔導具を探しています。」
「転移の魔導具…ですか。転移魔法と何か関係のある魔導具ということならありますが。」
「本当ですか!見せてもらうことはできますか!」
と、俺は興奮気味に返事をした。転移魔法に関係する魔導具なら、元の世界に帰れるかもしれない!そう期待した。
「かしこまりました、こちらです。」
はやる気持ちを抑えながらクルミさんの後ろを付いて歩く。一歩一歩がもどかしい。走り出したい気持ちを必死で抑える。
「こちらが、その商品です。転移魔法に関係するのはこの一品のみです。転移魔法の到着地点になる魔導具です。魔力を事前に練り込んでおくとこの魔導具が置いてあるところに転移することができます。もちろん距離が遠くなれば使う魔力も大きくなります。いわば転移魔法のサポートをしてくれる魔導具になります。」
説明を聞いて崩れ落ちた。俺が探しているものは国から国への移動を可能にする魔導具だ。転移魔法のサポートでは元の世界に帰ることはできない。この魔導具を日本に置ければ帰れるかもしれないな。
「他にはありませんか?例えば国から国への移動を可能にする魔導具とか。」
ネリネが続いて質問をしてくれた。しかし、
「国から国にですか。魔力の消費が大きいので、そこまでの長距離移動を可能にする魔導具は聞いたことがないですね。申し訳ございませんが、当店にはございません。」
更なる返答に愕然としてしまった。この街でも有数の魔導具のお店。その従業員がしらないのである。この街にはないのかもしれない。それもそうである。そもそもの話、レウイシアさんも文献でようやく知っているレベルのものなのだ。簡単に出てきたら、その存在をみんなが知っているはずである。
「そうですか、ありがとうございます。他のところ探してみます。」
「お力になれず申し訳ございません。またのご来店をお待ちしております。」
俺たちはヨルア商会を後にした。
ヨルア商会を出た俺たちは途方にくれていた。探し物の手がかりが見つかると思っていたが、それがなかったからだ。
「ミナト、元気出して。これで終わりってわけじゃないんだから!」
「そうですよ!まだお店は沢山あります!片っ端から探してみましょうよ!」
「最初ダメだったからって諦めるのは、私の契約者らしくないよ。」
みんなが励ましてくれる。俺はみんなに励まされてばっかりだな。そうだ、俺だけがクヨクヨしてばかりもいられない。
「そうだよな。元々無くて当たり前のものなんだ。そう簡単に見つかるわけないよな。よし!こうなれば隅々まで探してやるぜ!」
そう決意を新たに他の場所を探しに行こうとした時、
「お客様〜!少々お待ちください!」
背後からそんな声が聞こえ、振り返った。そこにはヨルア商会で別れたクルミさんが走ってきていた。
「どうかしたんですか、クルミさん?」
「追いつけてよかったです。実は魔導具関係でお話ししておきたいことがありまして。」
魔導具関係という言葉に俺たちは反応する。何かヒントになるようなことがあったのだろうか?
「最近イルフ街の南東に新しい遺跡が発見されまして、そこからは今までとは種類の違う魔導具がよく出土されます。ですので、その辺りを探してみてはいかがでしょうか?お目当ての魔導具が見つかるかもしれません。」
次にどうすればいいかわかっていなかった俺たちにとっては渡に船の内容だった。
「わざわざありがとうございます!でもどうして教えてくれたんですか?」
「相当ショックを受けていらっしゃったようでしたので。少しでもお役に立てればと思ってお伝え致しました。」
そうだったんだ。ちょっと情けない話だが次に繋がったのでOKとしよう。
「もし、不要な魔導具を入手されましたら、是非当店へお持ちください。高額で買い取りさせていただきますので!」
こうゆうところもやり手だなと感じさせられる。
ということで俺たちの次の行動も決まった。目指せイルフ街の遺跡へ!




